目指せ有休取得率70%!有休消化推進で働きやすい職場に

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有休取得率とは?現状はどうなっている?

有休取得率はどうやって計算する?

「有給休暇取得率」は、企業が付与した有給休暇日数のうち、従業員が実際に有給休暇を取得した日数の割合をいいます。本記事でもそうですが、有給休暇の略称から「有休取得率」と略されることが多いようです。有給休暇は年度末まで残っていると次の年へ繰り越されることがありますが、有休取得率は繰り越し分を除く「年次」で計算されるのが一般的です。

なお、厚生労働省が発表した「令和5年就労条件総合調査の概況」での有給休暇取得率算出方法は「年次有給休暇取得日数計/年次有給休暇付与日数計×100(%)」となっています。

有休取得率 = 年次有給休暇取得日数計 / 年次有給休暇付与日数計 × 100(%)

 

過去最高の「有休取得率62.1%」、しかし目標には未だ届かず

有給休暇は1947年に施行された労働基準法で、所定の条件に応じて付与しなければならないと定められています。その後、2019年には「年間5日の有給休暇の確実な取得」が義務化されました。

2023年に発表された「令和5年就労条件総合調査の概況」によると、労働者1人の平均有休取得率は 62.1%となっており、1984年以来最高を記録しています。一方で、政府の目標とする平均有休取得率は70%ですから、改善しているとはいえ、まだ十分とまでは言えないようです。

厚生労働省「令和5年就労条件総合調査の概況」より引用

 

 

有休取得の進まない原因は?

「人手不足で休むと仕事が回らない」職場

厚生労働省令和4年度「仕事と生活の調和」の実現及び特別な休暇制度の普及促進に関する意識調査報」によると、有休取得をためらう人は約40%にのぼりますためらう理由として上位に挙がったのは「周囲に迷惑がかかると感じるから」、「後で多忙になるから」、「休むための仕事の調整が手間だから」。つまり、1人でも休めば仕事に穴が開き、従業員本人や周囲が何らかの手立てで埋め合わせなければならない状況が推測されます。

 

「休みを取りにくい雰囲気」のまん延

有休取得をためらう理由の上位に「周囲に迷惑がかかると感じるから」が挙げられているのに加えて、「職場の雰囲気で取得しづらいから」、「上司がよい顔をしないから」といった、「有休取得のマイナスイメージによる取りにくさ」を感じている人もそれぞれ2割ほどいます。

私用で休む場合など、取得理由によって批判されるのを恐れる従業員もいるでしょう。本来、「有休の取得理由を伝えること」は必須ではなく、また「取得理由によって申請を拒否する」こともできません。しかし、使用者には業務運営を妨げないよう有給休暇の時季を変更する「時季変更権」があることから「取得理由を尋ねること」自体は違法にはならないのです。つまり、上司や職場の有休取得に対する理解がなければ、心理的な負荷のない有休取得は難しいといえます。

 

「有給休暇を残しておかなければならない」現行制度

先の報告書によると、有給休暇を残しておきたい・利用するつもりがない理由の上位には「病気やけがに備えて残しておきたいから」、「急な用事のために残しておく必要があるから」といった内容が並んでいます。従業員当人の責任とは言えない不測の事態も考えられますが、他にこうした状況をカバーできる制度がないため、有給休暇を温存せざるを得ない状況が垣間見えます。

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有休取得率アップのために取り組むべきことは?

「休みを取りやすい」風土の醸成

有休取得に「上司がよい顔をしない」状況は、トップダウンで変えていかねばなりません。企業として「有休取得を奨励する」メッセージを発信し、また上長から率先して有給消化を進めていきましょう。「リフレッシュ休暇」、「ボランティア休暇」など、従業員が休暇を申請しやすくなる独自制度を設けるのも、休みやすい雰囲気づくりにつながります。

 

有休取得の目標を掲げ、計画を立てて管理する

「有休取得目標達成」といっても全社平均の値で、実際にはしっかり有給休暇を取っている従業員とほとんど取れていない従業員がいる……というのでは、本来の目的から逸れてしまいます。

ここは全社的な目標設定だけでなく、個人まで絞り込んで取得日数・取得率両方の目標を設定しましょう。勤怠管理システムなども活用して組織単位で有給休暇取得計画の表(カレンダー)などを設け、管理していくとよいでしょう。部署、職種、職位別の集計データなども活用し、改善のポイントを洗い出していきます。

 

「計画的付与制度」の整備

「計画的付与制度」は、年次有給休暇の付与日数のうち5日を除いた残りの日数について、労使協定を結ぶことで計画的に休暇取得日を割り振れる制度です。使用者は業務への影響を抑えながら計画的に有休取得率を高められますし、従業員は確実に休暇を取れるようになり先の予定を立てやすいといったメリットがあります。

厚生労働省「働き方・休み方改善ポータルサイト」より引用

 

「時間単位の有給休暇」の導入

有給休暇は原則1日単位となっていますが、これも労使協定を結ぶことにより、年5日の範囲内で、時間単位で取得できます。通院、子どもの行事参加、家族の介護など「1日休むほどではない」事情がある従業員は多いものです。そんな時、時間単位で休暇を取って用事をこなし、また他の時間は出社して仕事への影響を抑えるといった柔軟な使い方ができるので、有休取得率改善につながります。

 

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有給取得率アップ施策の事例

有休取得を動機づける休暇名称の導入

A社は火・水・木曜のいずれかの曜日で休む「スポット休暇」や、自分や家族の記念日の「アニバーサリー休暇」、「リフレッシュ休暇」といった独自の休暇制度を導入しました。いずれも有給休暇を活用して取得するもので、事業年度が始まる11月に社員それぞれが取得日を年間スケジュールへ組み込み、計画的な運用を行っています。

 

他部署の仕事を覚えて誰か休んでも業務をカバー

B社は時間単位の年休制度導入に加え、「他部署の仕事内容を覚えるとボーナスが加算される」制度を設けました。休む従業員本人や他の従業員への「しわ寄せ」を避け、フォローする従業員にインセンティブを与えることで前向きに業務をカバーできる体制をつくり、休みを取りやすくしています。2020年度の有給取得率は、全従業員平均で69%になったといいます。

 

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「自分のために休むのも仕事のうち」と言える職場づくりを

「有給休暇はなにかあった際に使う保険のようなもの」、「自分のためだけに休むのは気が引ける」といった価値観がまだぬぐい切れていない方も多いものです。しかし、適切に休暇を取ることは従業員の心身の健康維持にもつながり、企業にもメリットをもたらすはず。有給休暇以外も含めた休暇制度全般については、 こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。

 

ランスタッドでは、有給取得率の問題以外にも人事に関する最新トレンドをおまとめした資料なども多数ご提供しています。ぜひご活用ください。

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