派遣
2つの待遇方式「派遣元労使協定方式」の場合
「労使協定方式」は派遣会社(派遣元企業)が派遣社員を含む労働組合または社員の過半数代表と労使協定を結び、それに基づいて派遣社員の待遇を決定する方式です。
Point
- 対象は「賃金」と「賃金以外の待遇」
賃金とは、基本給・賞与・手当・退職金のことです。
賃金以外の待遇とは、福利厚生・教育訓練などが含まれます。 - 「賃金」を決める2つの条件
1. 一般の労働者の賃金水準(一般賃金)と同等以上。
2. 派遣社員の成果や能力などが向上したら賃金もアップする。 - 「賃金以外の待遇」は派遣会社正社員と均等・均衡
教育訓練と福利厚生施設の利用については、派遣先正社員との均等・均衡
- 一般の労働者の賃金水準(一般賃金)って?
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「一般賃金」は派遣社員の賃金の比較対象。
同じくらいの能力と経験を持ち、同じ地域で同じ仕事をする正社員の、平均的な賃金のことです。「基本給・賞与・手当等」が含まれます。
労使協定方式を適用するための準備
派遣会社が派遣社員の待遇を決めるプロセスは下記のようになります。
「派遣元労使協定方式」でパートタイマーor有期契約の派遣社員の場合は?
短時間または有期契約の派遣社員の賃金は、同じくらいの能力・経験で同じ地域で同じ仕事をする正社員(一般労働者)と同じかそれ以上に。
それ以外の待遇は派遣会社の正社員との間で不合理がないようにし、派遣先企業が提供する福利厚生施設などは、差別なく利用できるようにします。
派遣会社が協定を遵守した賃金テーブルを使用しているかチェックしよう!
一般賃金の内容は、毎年6~7月に発表される「職業安定局長通知」(以下、「局長通知」)でチェックします。
局長通知には「賃金構造基本統計調査」と「職業安定業務統計」の2種類があり、派遣会社は派遣社員の仕事内容に合った職種を選びます。
賃金構造基本統計調査を用いる場合
約130職種の一般賃金が、通勤手当分(72円)を控除して示されています。派遣先の地域指数をかけて計算します。
- 賃金一覧はコチラ( 厚生労働省ホームページ)
- 平成30年賃金構造基本統計調査による
職種別平均賃金(時給換算)
- 地域指数はコチラ( 厚生労働省ホームページ)
- 平成30年度職業安定業務統計による地域指数
職業安定業務統計を用いる場合
約400職種を網羅しています。賞与指数をかけて特別給与込みの給与を計算し、地域指数をかけて算出します。
- 賃金一覧はコチラ( 厚生労働省ホームページ)
- 職業安定業務統計の求人賃金を基準値とした一般基本給・賞与等の額(時給換算)
- 地域指数はコチラ( 厚生労働省ホームページ)
- 平成30年度職業安定業務統計による地域指数
派遣社員の賃金テーブルを把握して点検しよう
新ルールにより職種ごとに賃金が設定され、従事する業務の性質や担う役割に応じて派遣社員の時給が上がる場合も。派遣先企業は、新しいルールが正しく運用されているか厳しくチェックしましょう。「派遣元労使協定方式」は不備があると無効になり、自動的に「派遣先均等・均衡方式」が適用されてしまいます。
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Step1
派遣会社が協定を遵守した
賃金テーブルを使用しているかチェック -
Step2
労使協定に不備や違法状態がないか点検
局長通知と地域指数は毎年変動するため、派遣社員の賃金テーブルは毎年作成して労使協定を結ぶ必要があります。
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Step3
通勤交通費・退職金の考え方を確認
「派遣元労使協定方式」職務給の賃金テーブルサンプル
職務給の賃金テーブル(例)を使って運用チェックの流れを見ていきましょう。
Step 1
局長通知の一般賃金をチェック
Step 2
労使協定で定めた派遣会社の賃金テーブルと比較
Step 3
それぞれのランクの仕事を担当している派遣社員が、一般賃金の相当年数の額以上になっているかチェック
〈Point〉賃金テーブルの等級ごとの賃金が、一般賃金の何年目に対応するかは労使協定で定めます。