深刻な人手不足に陥る 2030年問題とは?

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「2030年問題」とは?

2024年問題とは違うが、課題は同じく「人手不足」

最近よく耳にする「20XX年問題」。すでに時を迎えた「2024年問題」は、過度な時間外労働を制限する法改正により、物流ドライバーなどの人手不足加速が懸念されている状況を指します。

総務省統計局「人口推計(2022年(令和4年)10月1日現在)結果の要約」より引用

 

一方、数年後に迫る「2030年問題」は、2030年に15歳以上65歳未満の生産年齢人口比率が6割を大きく下回る見込みであることに由来します。総務省統計局「人口推計(2022年(令和4年)10月1日現在)結果の要約」によると、2022年の時点ですでに「59.4%」となっています。

生産年齢人口が急激に減ることで、労働力の供給が足りなくなり、それに伴ってさまざまな社会的・経済的な「問題」が起こるとされています。

 

2025年問題、2040年問題も

さらなる「20XX年問題」も見られます。

まず、直近に迫る「2025年問題」は、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、WHOと国連の定義に基づく「超高齢化社会」を迎えることで、医療・介護の負担が増える「問題」です。税金で補われる社会保障費用は増加し、その結果現役世代に大きな負担がのしかかることが予想されます。加えて、就職氷河期で十分なキャリア形成を行えず、社会的・経済的に厳しい立場に置かれている労働者も多い「団塊ジュニア世代」が、団塊世代の親の介護などを担うケースが増えることで、さらなる労働人口減少も懸念されています。

そして2030年問題の先に控えている「2040年問題」は、高齢化や生産年齢人口減少がさらに進むことで、2025年~2030年問題が抱えていた事態がより深刻化することを指しています。

 

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2030年問題により予測される企業への影響は?

人材獲得の競争激化

2030年、生産年齢人口が減少することで労働需要に対する人手不足は644万人とも予測されています。企業の採用活動は、応募者から欲しい人材を選ぶのではなく、限られた労働力の中で、他の企業などと競り合いながら欲しい人材を獲りにいく激しいものになると見られます。

 

人材にかかるコストの上昇

2030年前後は、大幅な人手不足から売り手(就職志望者)に優位な「売り手市場」が続くと見られ、人材確保のために人件費が高騰することも想定されます。賃金アップはもちろん、福利厚生や環境づくり、採用活動自体もこれまで同様とはいかず、よりコストがかかるようになると見られます。

 

人手不足を解消できないことによる事業への支障

人材獲得競争も、人材コスト上昇も、ある程度対応できればその分影響を抑えられます。しかし、人材も採れない、コスト上昇にもついていけない……となると、人手不足を解消できず、やがて事業運営に直接的な支障をきたすことになります。

まず、現状の従業員数を前提とした業務のあり方は維持できなくなります。事業規模の縮小などでしのげればまだよいのですが、ここで「人手不足だから」と既存人材に無理を強いると、労働条件悪化による人材流出につながってしまいます。また、商品・サービスの質の低下や、それに伴う業績不振リスクも懸念されます。

 

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2030年問題解決のために取り組むべきことは?

多様な人々が働きやすい職場環境の整備

もはや欲しいスキルを持つ人材や無難な人材だけを採れるという時代ではありません。しかし、多様な人材を活用することは人手不足対策に留まらず、異なるバックグラウンドや経験を持つ人々が、新しいアイデアや視点をもたらすといったメリットにもつながります。自社に合わせてもらうだけでなく、自社側でも勤務形態の見直しやバリアフリー化など、多様な働き方や環境を整備することを考えていきましょう。

 

リスキリングやシニア活用で既存の人材を活かす

専門職や特有のスキルを持つ従業員が不足しているケースなどでは、既存の従業員に新たなスキルを習得させる「リスキリング」も重要なポイントです。これまで活用できていなかった特性が発揮され、全体の生産性向上につながることも十分考えられます。また、「労働意欲を持つシニア人材」を活用するため、社内の定年年齢の引き上げや、業務委託契約の体制を整えるといった対策も有効です。いずれもこれまでの人事施策とは違ったノウハウが求められますから、外部から経験豊富な専門家を迎えて相談するのもおすすめです。例えば「ランスタッド ライズスマート」では、キャリアコーチングのプロがリスキリングを含めた働き手のキャリア開発をサポートしています。

 

DXによる業務効率化

人手の絶対数が減少するわけですから、「人材以外の手段で補う」ことも視野に入れておきましょう。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用し事務処理などの反復作業を自動化する、逆にAIを活用して難易度の高い作業、リソースを割かれやすい作業を省力化するなど、DXによる人手不足解消の手段はまさに日進月歩の状況にあります。

 

アウトソーシング・BPO活用

「自社で従業員を採用する・活用する」のではなく、不足している人材を外部から調達する形で人材不足を解消する方法もあります。特定の業務を外部へ委託する「アウトソーシング」で自社従業員の業務負担を軽減することもできますし、「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」であれば、「営業事務の一切を委託する」といった形で、いわば部署をまるごと外注するようなこともできます。また、ランスタッドの「RPO(採用代行)サービス」のように、「採用業務を委託し、不足している人材を確保してもらう」という活用方法もあります。それぞれの分野で専門会社も多数ありますし、業務量によってはフリーランスや副業人材などの活用も視野に入れておきましょう。

 

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人手不足の対策も多様化している今、まずは「知る」ことから

ご紹介してきたとおり、2030年問題を乗り越える前にも2025年問題があり、乗り越えた後にも2040年問題が控えています。これから人事はもちろん、企業そのものにとっても「人手不足対策」は常に取り組まなければならない課題と考え、アンテナを張っておきたいところです。

いかがでしたでしょうか?ランスタッドでは、人事に関する最新トレンドをおまとめした資料なども多数ご提供しています。タレントマネジメント関連を含めた様々な資料をご用意しておりますのでぜひご活用ください。

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