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製造業で勤務する人々をいかに惹きつけるか
COVID-19によるサプライチェーンの混乱、驚異的な労働力不足、消費者需要の変化を経て、製造業の多くの企業や従業員は、通常の状態に戻ろうと準備しているのではないでしょうか。製造業の職場がパンデミック前の状態に完全に戻ることはないかもしれませんが、生産レベルはすでにパンデミック前の水準に向かいはじめている兆しがあります。
実際、世界の生産量上位国(※1)である中国と米国では、すでに2019年の生産レベルを超えているようです。英国、カナダ、オーストラリアを含む他の多数の主要国は、遅くとも2022年第4四半期までに2019年の水準に並ぶと予想されています。これは世界の製造業にとって良いニュースのように思えますが、アルゼンチンや南アフリカなど一部の国では、2024年または2025年まで大流行前の生産水準にならないかもしれません。
2018年、Deloitteは製造業の労働力不足を250万人(※2)と予測しています。世界の多くの地域ですでに生産レベルが上昇していることから、世界中の製造業でこの規模以上の人手不足が発生すると考えてよいでしょう。
貴社が前進するために必要な優秀な人材を調達し、惹きつけ、継続して活躍してもらう能力を確保するために、今こそ人材獲得戦略を評価し、必要な調整を行うべき時ではないでしょうか。
ランスタッドでは、スキル不足や労働者の期待値の高まりなど、製造業で起きている変化に関して把握をしています。このような変化を乗り切り、成果につながる採用活動を展開するために、私たちはポスト大不況の雇用市場で高品質の候補者を採用する能力を確保するために、貴社の参考になるような重要なステップをいくつか挙げたいと思います。
エンプロイヤーブランドを見直す
調査によると、72%(※3)の求職者がに企業が募集しているポジションに応募する前に、潜在的な将来の雇用主を調査しているようです。ソーシャルメディアや口コミサイトなどのおかげで、この調査はかつてないほど容易に行えるようになりました。米国(※4)と英国(※5)の求職者の約半数が、評判の悪い会社では働かないと考えていることが、さらなる調査で明らかになっており、エンプロイヤーブランドがいかに重要であるかを現しています。残念ながら、製造業のネガティブイメージが深刻化していることも、この業界の雇用主にとって、問題を悪化させる一因となっているようです。
強力なエンプロイヤーブランドがなければ、見込みのある人材獲得の努力を文字通り半減させることになってしまいます。特に製造業では、労働者の業界に対する誤解(※6)が多いためこの傾向があります。そこで自社独自のエンプロイヤーブランドの強化だけでなく、業界のブランドイメージの向上にも取り組む必要があります。
幸いなことに、エンプロイヤーブランドを高め、質の高い候補者を惹きつけるために、今すぐできることがあります。
1.エンプロイヤーブランドの調査の実施
エンプロイヤーブランドを向上させるには、まず雇用者像の現状を調査することが必要です。エンプロイヤーブランドの調査を実施し、現在働いている従業員や将来の従業員が、雇用主であるあなたの会社についてどう考えているのかを把握しましょう。この調査によって、あなたの会社の強みが浮き彫りになると同時に、改善が必要な領域が明らかになります。最も重要なことは、この重要なデータによって、あなたの会社がブランドの再構築に向けて正しい方向に進んでいることを確認することです。
2.安全な職場環境づくり
世界中の職場がフル稼働で再開し始めている一方で、パンデミック後の職場に対する労働者の不安は依然として高い状態です。実際、5カ国4,500人(※7)以上の労働者を対象にした最近の調査によると、100%が職場復帰に何らかの不安を抱えています。職場での健康と安全を優先することで(※8)このストレスを軽減し、同時にエンプロイヤーブランドの評判を高めることができます。安全教育、社交的なワークステーション、柔軟なスケジュール設定、手洗い場など、パンデミック後の実践は、エンプロイヤーブランドイメージを高め、従業員や転職希望者に安全を重視していることを知らせる上で大きな役割を果たすことができます。
スキルアセスメントを実施する
製造工場をざっと見渡すと、この5年間だけでも業界がどれほど変化したかがわかります。オートメーションとデジタル技術が、果てしなく変化・発展しつづけていることは否定できません。この技術がますます高度になるにつれて、労働者にも高度なスキルが必要とされるようになります。
製造業の経験豊富な労働者が200万人(※9)不足すると予測されている今こそ、製造業企業は行動を起こすべき時なのではないでしょうか。経験豊富な労働者の必要性が切迫してくることを待つことはできません。その代わり、現在と将来の両方の雇用ニーズにできるだけ早く対応できるよう、今から計画を立てましょう。
1.現在および将来のスキルニーズを評価する
スキルアセスメントを実施する際には、自社が今必要としているスキルと、将来的に必要となる可能性の高いスキルの種類を特定することが重要です。今日のスキル不足を考えると、このステップは雇用主が将来の業務に備えて労働力を準備するために不可欠なものです。
さらに、ハードスキルだけでなく、敏捷性、コミュニケーション、批判的思考、適応性などのソフトスキルも確認するようにしましょう。社内の複数の職種でスキルアセスメントを実施することが重要であり、特に人材確保が最も困難な職種のスキルアセスメントを実施することが重要です。
2.ジョブ・ディスクリプションの更新社内のさまざまな役割にどのようなスキルが必要かを判断したら、ジョブ・ディスクリプションを更新する時間をとりましょう。ジョブ・ディスクリプションを更新する際には、候補者の視点から考え、役割、会社が期待すること、仕事で成功するために必要なスキルセットが明確に定義されていることを確認する必要があります。社内のすべてのレベルにおいて正確なジョブ・ディスクリプションがあれば、必要なスキルをすでに持っている、あるいは経験やOJTを通じてこれらのスキルを身につけることができる候補者を採用できる可能性が高くなります
3.オンボーディングプロセスにトレーニングを組み込む
新入社員にはどのようなスキルを身につけてもらいたいのかが明確になったことで、新入社員の教育プロセスや目標の設定と、整合性をとることが容易になりました。新入社員が職務に適したスキルを身につけ仕事で成功できるように、入社時のプロセスに体系的なトレーニングプログラムを組み込んでください。
最適な報酬体系を見極める
2021年に発表されたランスタッド・エンプロイヤーブランド・リサーチ(※10)によると、従業員が転職先を探す際に最も重視するのは給与と福利厚生です。平均より低い給与を提示するようなことはしないでください。今日の経験豊富な求職者は自分の価値を知っており、適切な給与の求人案件を待ち望んでいるのです。
競争力のある給与と福利厚生がなければ、特に競争の激しい今日の雇用市場では、有能な候補者を惹きつけることは不可能ではないにしても、非常に難しいことでしょう。しかし、特定の市場で最適な給与がどのようなものであるかを判断するために今から手を打つことによって、業界標準に沿った理想的な報酬体系を構築するのに役立ちます
1.業界標準の研究
COVID-19、スキル不足、競争の激しい雇用市場という複数の要因の組み合わせにより、多くの市場で給与が上昇しています。もし貴社がパンデミック以降、給与や賃金に関する詳細な業界調査を行っていないのであれば今がその時です。ランスタッドでは、貴社に代わって詳細な業界調査を行い、貴社が特定のマーケットに最適な給与を正確に特定するお手伝いをします。私たちの革新的な計算プロセスは、実際に企業が給与を増やしながら、コストを削減するのにお役立ていただいています。
2.リモートワークの機会を探す
パンデミック発生時、製造業を含む多くの雇用主は、生産レベルを維持するためにリモートワークに頼らざるを得なかったこともあったのではないでしょうか。しかし、市場が開き始めるとリモートワーカーたちは、少なくともフルタイムで職場に戻ることを急いではいないようです。実際、多くの社員が在宅勤務を好み、このような労働条件を期待するようになったのです。
製造業でリモートワークは不可能に思えるかもしれませんが、マシンエンジニアや品質管理職など、リモートワークが可能な職種もあります。まず、それぞれの職務を検討し、どのようなタスクや業務がリモートワークに移行できるかを判断することから始めてください。そして、在宅で必要なデータをリアルタイムに取得できる遠隔監視システムに投資することをお勧めします。
雇用主はまた、リモートワークが不可能な職務に対して、より柔軟性を持たせる方法を模索する必要があります。例えば、圧縮されたシフトや柔軟なシフトオプション、パートタイム雇用を可能にするなどの戦略を用いることです。
3.労働者のニーズを把握する
今日の求職者は、内定を受諾する前に会社の福利厚生を詳しく見るようになっています。重要なのは、有意義な福利厚生を含む充実した報酬パッケージを提供することです。しかし、パンデミック以降、労働者のニーズが変化していることも覚えておいてください。例えば、健康保険は、特に政府が運営する医療機関がない国で働く人々にとって、これまで以上に重要なものとなってきています。有給休暇やフレキシブルなスケジュールも重要です。従業員の多くはパンデミックが落ち着き始めたにもかかわらず、家庭教育や高齢の両親の介護など、家族の問題に対処しているのです。どのような福利厚生が従業員にとって重要なのか、時間をかけて従業員のニーズを把握し、評価することが大切です。
タレントパイプラインを構築する
もはや "後出しジャンケン "では、必要な人材を確保することはできません。むしろ、必要なときに利用できるタレントパイプラインを構築し、先手を打つことが重要です。採用の一歩先を行くことで、より早く、より質の高い候補者を確保することができます。
しかし、成果を生み出す有意義なタレントパイプラインを構築するには、時間がかかることを覚えておいてください。そのためできるだけ早くそのプロセスを開始することをお勧めします。ここではそのためのヒントをいくつかご紹介します。
1.複数の役割を担うタレントパイプラインの開発
効果的なタレントパイプラインの構築とは、企業が必要とする幅広いスキルを持つ候補者を単にプールしておくということではありません。むしろ社内のさまざまな職務に対応する複数のタレントパイプラインを構築することが望まれます。このタレントプールは、社内の特定の職務の基準に合致するスキルと資格を持つ候補者で構成されるべきものです。また、採用が難しい職種のために、別のタレントパイプラインを構築することも必要です。
2.受動的な候補を積極的に探す
スキル格差が拡大しているおかげで、現在の職務を満たすのに十分な数の積極的な候補者が求人市場に存在しません。製造企業は、より深く掘り下げ、受動的な候補者の積極的な採用にも力を入れ始める必要があります。従業員の紹介やソーシャルメディア・マーケティングなどのソーシング戦略は、受動的な候補者を惹きつけることに非常に効果的です。これらの候補者はまだ働いていることを忘れないでください。転職の意欲はあっても、積極的に転職先を探しているわけではありません。このことを念頭に置き、受動的な候補者に対しては、最初の応募プロセスを簡略化するような措置を講じたいものです。そうでなければ、このような求職者に応募してもらうのは難しいかもしれません。
3.HRパートナーにサポートを依頼する
プロの人材紹介会社と仕事をする最大のメリットは、事前にスクリーニングされた候補者の膨大なタレントプールにすぐにアクセスできることです。ランスタッドのチームは他の人材紹介会社とは異なり、お客様の採用ニーズ、企業目標、全体的な目的をより深く理解するために時間をかけています。採用担当者やフロアマネージャーと連絡を取り合い、仕事で成功するために必要なスキルセットを正しく把握します。このような情報を収集した上で、革新的なテクノロジーを駆使し、各企業独自の基準に基づいてカスタマイズされたタレントパイプラインを構築しています。
HRテクノロジーの活用
デジタル技術は、製造プロセスの改善に有効なだけでなく、採用活動にも役立ちます。このHRテクノロジー(※11)は正しく使用すれば、雇用主が採用プロセスを合理化し、候補者のエンゲージメントを高め、より良い結果を導くのに非常に効果的です。採用の成果を上げるためにこのテクノロジーを活用する方法はいくつかあります。
1.採用プロセスの合理化
貴社が応募者の離脱率の高さに悩んでいるとしたら、それは応募プロセスが長すぎる、あるいは煩雑であることが原因かもしれません。調査によると応募者の最大60%(※12)が、プロセスが長すぎるために途中で辞めてしまっているそうです。HRテクノロジーは応募プロセスを合理化し、より簡単に完了できるようにすることに役立ちます。例えば適切なデジタル技術を用いれば、モバイルデバイスで応募プロセスを完了させることができます。
2.応募者のフィルタリング
時によって雇用主は、募集中の職種への応募を得ることそのものに苦労はしません。むしろ1つの募集職種に数十人、数百人の応募が集まることもあるのではないでしょうか。問題は適切なスキルを持つ候補者を見つける方法です。現実には雇用主は推薦状のチェックなどの煩雑な作業を行う時間がないのではないでしょうか。幸いなことに、ランスタッド・リレベート(※13)のようなHRテクノロジーは、推薦状チェックのプロセスを自動化・最適化することで、雇用主がより良い判断を下せるように設計されており、採用成果を向上させることができます。
3.候補者エンゲージメント
HRテクノロジーのもう一つの大きなメリットは、採用プロセスを通じて候補者のエンゲージメントを向上させることができる点です。このテクノロジーを正しく設定すれば、応募者にリマインドメールを即座に送信したり、候補者がオンラインで面接の予約を取ったりすることができます。さらに、Modern Hire(※14)のオンデマンド自動面接採点ツールなどのテクノロジーは、採用プロセスを合理化し採用成果を向上させるのに役立ちます。これらの機能は候補者の体験を向上させるだけでなく、貴社のエンプロイヤーブランドを高め、候補者が内定を受け入れるように背中を押すことができます。
[参考]
サンドラは、インハウスのコンセプトを世界中に導入する責任者です。このビジネスコンセプトは、労働力を最適化し、フレックスワーカーの生産性を高い働き方に導くことで、企業と労働者両方に付加価値を与えるというものです。 |
※本記事は、ランスタッド本社配信の記事を再編集の上掲載しています