あなたの会社は「ブラック企業」と勘違いされていませんか?ミスマッチによる「ブラック企業」認定を防ぐために

あなたの会社はブラック化していませんか? ブラック企業の特徴・定義とは

「ブラック企業」はスラングのように自然発生してきた言葉で、現在のところ法律や省庁などによって明確に示された定義もありません。そのため、あくまで一般論ではありますが、ブラック企業は下記の4つの特徴が見られると言われます。

 

特徴1:残業時間が長い

webimage-093F8B9D-6C3E-4E83-B893533B186BFE14法律上、残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とされ、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。

また、臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、月45時間を超えることができるのは年間6か月まで。その上で、年720時間を超えたり、複数月の平均が80時間(休日労働を含む)を超えたり、1か月でも月100時間を超えたりするような場合は、「時間外労働の上限規制」に違反していると見なされ、罰則が科されるおそれがあります。
ちなみに月80時間残業した場合、1日あたりの残業時間は4時間ほど。これ以上の残業が毎月続くような環境であれば、ブラック企業と言えそうです。

 



特徴2:労働条件が悪い

webimage-653963AE-3D1D-430C-BB20C797F825F424労働条件が悪い、具体的に言えば法定の条件を満たしていないといった状況も、ブラック企業の特徴のひとつです。

これらは「支払われるべき賃金が支払われない」ケースと、「取れるべき休暇・休憩が取れない」ケースに大別されます。例えば前者では「賃金が地域別最低賃金を下回る」こと。

雇用の際にその時点の最低賃金以下で契約させられた場合はもちろん、最低賃金が改定された場合に、改定後の最低賃金に合わせた見直しが行われず、結果として下回っているといったケースも含まれます。また「不明瞭な理由で一方的に賃金を下げる」ことも、法律違反の可能性があります。企業が賃金を下げるには、懲戒処分にあたる、降格する、就業規則の変更、労使の合意などといった正当な根拠が求められます。そして、企業が時間外労働に対して法に定められた対価を支払わない、いわゆる「サービス残業」が横行している職場もこれにあたります。

後者には、休日が法に定められた「最低休日日数(年間105日)」を下回っている、本来は企業の承認なく取れるはずの有給休暇取得を不当に阻止されたり、休む理由の届け出を求められたりするなど「有給休暇を自由に使えない」、また1日あたり所定の時間を超えて働く場合に定められた「45分(6時間以上働く場合)または1時間(8時間以上働く場合)の休憩時間」が与えられないといったケースがあたります。



特徴3:人事権が正しく行使されていない

webimage-C03DA00B-ED5A-40D7-9CAE37C04C1D8639法に定められた解雇の条件はとても厳しいものです。無断欠勤や業務命令違反、犯罪行為などの合理的な理由なく解雇された場合、人事権の濫用とされる場合があります。

退職届を出していないのに解雇ではなく自己都合退職扱いにされた場合も違法です。逆に、退職届を出しても所定の退職手続きをせずそのまま働かせようとする、無理な引き留めを行う、退職届を受け取ろうとしないといった「辞めさせない」ケースもブラック企業には多いようです。

また「退職させる・させない」といったことだけでなく、企業にとって不都合な意見を述べただけで降格や転勤を命じられるといった合理的な理由のない人事異動や、管理者の恣意的判断がまかり通る不明瞭な人事評価なども人事権の濫用と言えるでしょう。



特徴4:ハラスメントが横行している

webimage-3DB60319-914E-4E28-A58F5E0E24E2EE63パワハラやセクハラは刑法犯にあたらなければ責任がない、企業ではなく個人の問題だなどと考えていないでしょうか。

実は、2022年4月より「パワハラ防止法」(「労働施策総合推進法」改正の総称)が全面施行され、企業側にもパワハラやセクハラが起きた場合の是正措置や、相談窓口の設置が義務付けられています。しかし、企業風土としてパワハラまがいの業務指導が恒常化しているなど、パワハラやセクハラに関する理解が進んでいない企業では、そもそもこうした措置や窓口がない、あっても形骸化しているといったことも考えられます。

厚生労働省が全国の事業所とその労働者から対象者を無作為抽出して実施した「令和2年 労働安全衛生調査(実態調査)」のうち、個人を対象とした「仕事や職業生活に関するストレス」に関する調査では、「現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安やストレス(以下「ストレス」という。)となっていると感じる事柄がある労働者の割合は 54.2%と半数を超えています。

また、ストレスとなっていると感じる事柄がある労働者について、その内容(主なもの3つ以内)を見ると、「仕事の量」が 42.5%と最も多く、次いで「仕事の失敗、責任の発生等」が 35.0%、「仕事の質」が 30.9%となっています。
つまり、多くの人が残業時間や労働条件にも大きく関わる内容でストレスを抱えているのです。

このことから見ても、従業員が自らの職場をブラック企業だと判断するのは、違法行為がある場合はもちろんのこと、それに加えて「労働環境や条件が入社前に想定していた内容と一致していないように感じられる」とき、もっと言えば「採用面接時に入社しても良いと判断した内容から、実態が乖離していると感じた」ときだと言えます。
このミスマッチを防ぐには、採用ページで無用に見栄を張り、不都合な内容を隠そうとするようなことはやめ、採用面接でも企業のありのままの様子を伝えることが重要です。誠実な姿勢は、良い人材を得ることだけでなく、企業自体の評判の向上にもつながるでしょう。

 

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ミスマッチによる「ブラック企業」認定を防ぐために…採用時に企業と求職者がすり合わせるべきことは?

法的に問題がなくても、不幸なミスマッチによって従業員の求めるものが与えられない企業は、ブラック企業と呼ばれかねないリスクを負っています。こうしたミスマッチを防ぐには、採用時に次のような内容で労使が合意していて、互いに親和性があることが求められます。


・労働条件への納得

給与水準、福利厚生、雇用の安定、ワークライフバランスなど、入社してから「話が違う」といったことにならないよう、あらかじめしっかり確認しておきましょう。


・就業環境

フリーアドレス制やテレワーク/在宅勤務など、職場環境も多様化しています。入社直後の就業環境についてあらかじめ見学などで確認してもらうのはもちろん、複数の拠点や勤務形態がある場合は、転勤・転属などの意思も確かめておきましょう。


・評価基準

従業員の働きはどのように評価され、ステップアップしていけるのか、明確に示しておきましょう。また入社後の不信につながりますから、短期間にころころと評価基準を変えてしまうような事態は避けたいところです。


・入社後のイメージ

オンボーディングやその内容について予告したり、業務内容への関心につながる情報を提供したりするなどして、仕事への期待を高めましょう。入社直後のイメージだけでなく、将来的なキャリアアップの機会や、教育訓練の機会について伝えておくのも有効です。


・企業文化への親和性

採用予定者は企業としてのミッションに共感してくれているか、 そして企業のミッションへの取り組み方を理解してくれているかといったことを見極めましょう。もちろん、企業自体ミッションと取り組み実態とのズレがあっては元も子もありません。

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企業の魅力度や現状を、ありのままに伝えるには?

「しっかりとすり合わせを行ったとしても、採用企業から直接発信された情報だけでは判断し切れない」という応募者にとって、貴重とも言える「客観的な評価基準」があります。「エンプロイヤーブランド」といって、ランスタッドが世界30カ国で20年以上にわたりリサーチしてきた「勤務先としての企業の魅力度」のことです。

エンプロイヤーブランドが高まることは、働き手にとってその企業がより魅力的になることに他なりません。欲しい人材に「働きたい」と思ってもらえる企業になることは優秀な人材を得ることにつながり、優秀な人材を得ることは企業のさらなる成長につながります。ポイントは、企業側が外面だけでなく実態としても「働きたい」と思ってもらえる企業になること。

エンプロイヤーブランドが向上することで、社内のエンゲージメントが向上し、企業の良さについて発信する社員が増えていきます。エンプロイヤーブランドの考え方、「ランスタッド・エンプロイヤーブランドリサーチ(REBR)」の国内レポートなど、詳細はぜひこちらよりご覧ください。

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