スムーズなオフィス勤務再開に役立つ4つの効果的なキャリアコーチングの方法

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この1年余り、雇用主はリモートワークに合わせた組織運営の見直しを迫られ、従業員はリモートワークと子育てやオンライン学習などのプライベートでの役割とのバランス調整に苦戦しています。そして業種を問わず、多くの企業がパンデミックによるビジネスニーズの変化に伴う人員体制の再編や人員整理を余儀なくされています。

ワクチン接種が進み、各種の規制が緩和されるにつれ、雇用主はオフィス勤務の再開に向けて計画を立て始め、採用活動も再び活発化しています。ですが多くがポストコロナ時代の「ニューノーマル」にどう適応すべきか疑問を抱えたままです。マッキンゼーの最近の調査※1)によると、経営幹部の10人に9人がコロナ収束後はリモート勤務とオフィス勤務を併用すると答えていますが、その多くは両者を恒久的に混在させるための仕組みの詳細を考え始めたばかりです。

この移行期間には組織と従業員が課題を応分に負担することになります。これを踏まえ、組織はこの変化の時にエンゲージメントと生産性をどう高められるでしょうか。一つの策は従業員に対する個別コーチングの提供です。これによって仕事の世界が変化を続ける中で各自が自分のキャリア目標とスキルセットをビジネスニーズと合致させることができ、その結果、人材のアジリティが促進されます。

組織と従業員の両方にメリットのあるキャリアコーチングについていくつかのシナリオをこれからご説明します。

 

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オフィスワーク、ハイブリッドワークモデルへの移行を簡単に

多くの企業は段階的にオフィス勤務を再開させています。つまり、一部の従業員は完全オフィス勤務に戻り、それ以外はハイブリッド型またはリモート勤務の継続です。ポストコロナに導入した多くの新しいプロセスと同様、未知のことが多く、バーチャルな働き方やキャリアに対する各自の考え方はそれぞれです。

例えば、CNBCとSurveyMonkey(※2)の新しいデータによると、雇用者の半数以上(52%)が出勤し、対面で働く人の方がリモート勤務者よりも今後のキャリア機会が有利と考えています。この調査所見と同様に、ガートナーの最近の調査でも、マネージャーの64%(※3)がリモート勤務者よりもオフィス勤務者の方がパフォーマンスが高い、よって在宅勤務者よりも昇給させる可能性が高いと考えていることがわかっています。CHRO(最高人事責任者)からは男性はオフィス勤務に戻り、女性はリモート勤務を続ける傾向があるとの指摘が挙がっています。そして企業は全従業員の機会の公平性にこれまでよりも力を注ぐようになっています。

これらを踏まえ、女性よりも男性の方が多いオフィス、マネージャーがオフィス勤務者をえこひいきするコロナ収束後の職場を想像してみてください。女性にとっては公平性の獲得、組織にとってはボトムラインに大きな影響があることがわかっているダイバーシティの実現に課題が続くことになります。

関連記事:職場の女性:マネージャーやリーダーが女性の定着率を改善し、キャリアアップを促すためにできること(英語サイト)

 

オフィス勤務に戻るか、リモートワークを続けるかの選択は、働く人にとって人生における重要な判断です。個々人のさまざまな人生の節目と同様、この時は人生を振り返るタイミング、変化のタイミングになり得ます。それぞれにワークライフバランスを考え、自分と価値観が一致する企業で働きたいと考えるからです。調査では、多くの人がポストコロナのタイミングで自分にとっての選択肢を見直していることがわかっています。事実、プルデンシャルの調査(※4)によると、雇用者の42%が勤務先のリモートワーク制度が終わったら、転職活動を始める予定と答えています。さらに、キャンバが米国で行った調査(※5)では、雇用者の半数が在宅勤務の方が生産性が高い、52%が2021年も柔軟な在宅勤務制度を希望する、30%が今後もずっと完全在宅勤務を続けたいと回答しています。オフィス勤務の方がパフォーマンスが高いという先入観に対処することなく、あるいは単にリモートワークを続ける雇用主は、柔軟な選択肢を提供する企業への人材流出リスクにさらされるかもしれません。

生産性を高め、従業員のポストコロナの職場への適応をサポートし、男女またはオフィス勤務者・リモート勤務者に公平な競争の場を確保するための一つの方法はキャリアコーチングサポートの提供です。昨年起きた諸般の課題によって多くの従業員にとって個人または仕事上の優先事項がおそらく変化しています。キャリアコーチは、オフィスに戻るにしろ、在宅勤務を続けるにしろ新しい目標設定を助け、そうした個人目標とより幅広いビジネスニーズとの整合化を助けます。また、狙いを絞ったキャリア開発プラン作りもサポートできますので、自分の熱意とビジネスニーズに基づき、それぞれのキャリアで成長を続けるために必要な正しいスキルを磨くことができます。

関連記事:リスキリング、アップスキリングによってリモート勤務者のエンプロイーエンゲージメントを高める3つの方法英語サイト)

 

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オンボーディングにおける意欲と生産性を高める

新型コロナウイルスの感染拡大防止対策として課されていたさまざまな制限が緩和され、従業員が職場に戻ることによって、労働市場にも明確な回復の兆しが見え始めています。米国の失業率は2020年4月の14.8%をピークに、最新の労働省労働統計局(※6)データでは6.1%にまで改善しました。RiseSmartが最近公表したレポート、「キャリアモビリティの見通し」(※7)では、調査に参加したHR担当者の87%が今後数カ月に採用の予定があると回答しています。一方、Jobviteの調査(※8)では新規採用者の30%がポジションが自分の期待とは違った、嫌な経験をした、あるいは職場の文化になじめなかったといった理由で入社後30日以内に退職していることがわかりました。新規採用者のオンボーディングではコーチングによるサポートが効果的です。エンゲージメント、自信、信頼を高め、いち早く生産性を上げ、新しい職場環境にうまく慣れる可能性を高められます。

オンボーディングは手に負えないプロセスに見えるかもしれません。この状況下で多くの新規採用者が経験しているバーチャルオンボーディングの場合は特にそうです。新規採用者を受け入れる場合は、マネージャーが積極的に個々の状況確認を行い、環境への適応といち早い生産性アップをサポートすることが重要です。こうした状況確認によって新規採用者が支援されている、気にかけられていると感じることができ、パフォーマンス目標を立てて、追跡ができます。

関連記事:コロナ禍でのバーチャルオンボーディングの進め方(英語サイト)

新規採用者に合ったパフォーマンス測定項目を設けることが肝要です。そうすればマネージャーは新規採用者が役割に適応し、問題なく仕事をしていることを安心して確かめられますし、本人にとっては新しい組織で勤務を開始するにあたってすぐに実行に移し、努力できる目標になります。話し合いの機会を頻繁に設けると測定項目の現状を振り返り、圧倒されることなく学び、挑戦を感じられるよう調整を図ることができます。

キャリアコーチによる補足サポートも新規採用者にとってプラスになります。マネージャーと最初の目標と測定項目を決めたら、現在の役割ではもちろん将来の役割の成功を可視化することによって組織との関係性を強化し始められます。この種のパーソナルな支援は難しい調整期間を乗り越える手助けになり、組織への定着を図ることができます。キャリアコーチは新しい組織の政治学やあやをうまく切り抜けるための知恵や最善策をアドバイスすることもできます。これらは新しい仕事を幸先良くスタートさせるために重要な要素でありつつも、新しい上司とではなかなか難しいトピックです。

関連コンテンツ:randstad risesmartグローバル調査:従業員の効果的なスキリングには戦略的ガイダンスが必要(英語サイト)

 

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成長管理に取り組む

経済回復に伴い、各企業はポストコロナの環境に対応した再編と成長を始めていますが、多くは人手不足または必要なスキル不足を含め、成長管理に苦戦しています。また、Spring HealthとHarris Pollが先頃米国で行った共同調査(※9)では、雇用者の76%が燃え尽き症候群を実感していると申告しています。

新型コロナウイルスの感染拡大が急速に広がった時期は、多くの企業が人員体制の再編や人員整理を行い、それ以外も採用活動を凍結しました。コロナ禍で採用活動を継続していた企業も、急速に変化するビジネスニーズに対応したスキルセットを従業員に備えさせる課題に直面しました。ガートナー(※10)によると、1つの仕事に必要なスキルの数は2017年以降年々、10%ずつ増加しています。そしてパンデミックが従業員のスキルギャップをさらに悪化させました。2020年12月ランスタッド・ワークモニター労働意識調査(※11)によると、世界全体で雇用者の40%が新しいデジタル時代に求められる新しいスキルの習得に苦戦しています。

組織が変化し、成長する時には、従業員が「兼務」で別の役割も任され、責任が増すことが往々にしてあります。リストラが行われるとポジションが廃止されることもありますが、だからといって作業量は変わらず、むしろ少なくとも当面の間、増えることさえあります。こうした場合、組織に残る従業員やマネージャーにはプロセスの修正、新しいスキルの習得、作業分担の見直しが求められます。反対に組織が成長軌道であっても、その場合は増員が行われ、やはり責任の増加に対処する必要があるかもしれません。

マイクロソフトのグローバル調査(※12)によると、雇用者の40%が年内の転職を検討しています。コストがかさむ「退職の津波」を回避するための有効策の一つは、ニューノーマルへの適応をサポートするキャリアコーチングの提供です。コーチングは従業員にとって次のようなメリットがあります。

 

  • 「兼務」の仕事量にうまく対処できるようになる
  • 物事や状況の見方を変え、成長機会と捉えられるようになる
  • 新しいシステムやプロセス、アイデアに慣れ、変化に対するレジリエンスを常に高められる
  • 健康的な仕事の習慣を身につけ、ストレスを軽減できる

 

キャリアコーチングは、天候の変化にうまく対処する力が身につくため、エンプロイーエンゲージメントや生産性、定着率の向上にも有効です。コーチングによって今、追加的に負っている責任が自分の経験の幅を広げ、社内での新しい機会につながる可能性もあることを本人に理解してもらうことができます。コーチングは増えた作業量をなくすものではなく、むしろ組織が集中的に取り組んでいる短期的状況において従業員が成長の諸課題に対処し、責任を機会と捉えるための方法を見つける手助けです。

関連記事:社内のキャリアアップ機会によって従業員ファーストを推進するための3つの方法(英語サイト)

 

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継続的なキャリアサポート、キャリア開発

ここまでにご説明した3つのシナリオに加え、キャリアコーチングは一般従業員にもマネージャーにも、キャリアのどの段階にあっても有効な手段です。新型コロナウイルスが収束に向かうにつれ、従業員たちは自分の価値観やキャリア戦略を改めて考え直しています。事実、前述のプルデンシャル・ファイナンシャル(※13)の調査では年内の転職を予定している人のうち72%はパンデミックをきっかけに自分のスキルセットを見直した、80%が自分のキャリアアップを心配していると答えています。

ハイパフォーマーは新しい課題と機会の中でも成長し、自らのスキルを磨きます。現在の雇用主の下でこうした機会が見つけられないのであれば、どこか別の場所を探す可能性が高まります。キャリアコーチングは次のような意味で自分のキャリアへの意識を高めます。

 

  • 新しいスキルを身につけ、現在の役割で秀でる
  • プロジェクト参加や社内ギグワークによって存在感を高める
  • 社内での新しい役割を模索し、キャリアの選択肢やスキルフィットを詳しく理解する
  • ピープルリーダー、プロジェクトリーダーとしてのマネジメントスキルを強化する
  • 質の高いキャリア開発プランを立てる

 

キャリアコーチングの効果を高める

ランスタッド・ソースライトが最近公表した「人材動向」レポート(※14)によると、Cレベル役員とHRリーダーの77%が人材戦略において人員のアジリティの強化を図っていると答えています。キャリアコーチングと効果的なテクノロジーを組み合わせれば、この目標の達成に向けて確かな足場を築けます。

コーチングを通じて、従業員は詳細な業界知識とキャリア開発、スキリング、ネットワーキングの最新ベストプラクティス情報を持つキャリアスペシャリストから専門的サポートを得ることができます。個別コーチングなら、本人が労働市場データを理解し、自分にとってのキャリアの選択肢について視野を広げることができます。その結果、眠っていたスキルを発掘したり、これまで認識していなかった新しいスキルの習得が可能になり、組織としても深刻なスキルギャップを改善できます。

受賞歴のあるRiseSmartのプラットフォームをはじめ、適したテクノロジーと組み合わせることによって、従業員は労働市場データ、スキリングコース、ネットワーキングツール、面接ガイドなどのリソースに24時間365日アクセスできます。テクノロジーを駆使しながらもあくまでも人間を中心にしたキャリアコンサルテーションなら、ポストコロナ時代の仕事の世界への適応、オンボーディング、新しい役割やプロジェクトへの挑戦、社内異動機会の探索、ネットワークスキルの強化など、いずれについても成功を後押しできます。

キャリアコーチングを通じたモチベーションアップや、各自の具体的目標に基づく成功に必要なアドバイスやリソースの提供についてさらに詳しくはリンク先をご覧ください。

 

キャリア開発バナー

[参考]

※1 https://www.mckinsey.com/business-functions/organization/our-insights/what-executives-are-saying-about-the-future-of-hybrid-work
※2 https://www.cnbc.com/2021/05/01/return-to-office-fears-remote-workers-worry-about-careers.html
※3 https://www.gartner.com/smarterwithgartner/9-work-trends-that-hr-leaders-cant-ignore-in-2021/
※4 https://news.prudential.com/increasingly-workers-expect-pandemic-workplace-adaptations-to-stick.htm
※5 https://www.prnewswire.com/news-releases/covid-one-year-on-americans-are-more-productive-working-from-home-canva-study-reveals-301238113.html
※6 https://abcnews.go.com/Business/unemployment-rate-falls-march-employers-add-916000-jobs/story?id=76788420
※7 https://info.risesmart.com/career-mobility-outlook-report
※8 https://www.jobvite.com/wp-content/uploads/2018/04/2018_Job_Seeker_Nation_Study.pdf
※9 https://www.prnewswire.com/news-releases/study-finds-76-of-us-employees-are-currently-experiencing-worker-burnout-301191279.html
※10 https://www.gartner.com/en/human-resources/research/talentneuron/leveraging-skills-adjacencies
※11 https://workforceinsights.randstad.com/hr-research-reports/workmonitor-december2020
※12 https://www.microsoft.com/en-us/worklab/work-trend-index/hybrid-work
※13 https://news.prudential.com/presskits/pulse-american-worker-survey-is-this-working.htm
※14 https://content.randstadsourceright.com/en/the-rise-of-the-agile-workforce.-talent-trends-randstad-sourceright

 

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