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カスタマーサービス・サポートスタッフが求めること。それは大切されている実感
ロックダウンの忘れられないイメージと言えば、シャッターの閉まった商店、ひとけのない空港やホテル、飲食店が真っ先に思い浮かぶかもしれません。
カスタマーサービス・サポート従事者は今回の大混乱の最前線に立たされました。ランスタッドの2021年エンプロイヤーブランド・リサーチでは、聞き取り調査を行ったカスタマーサービス・サポート従事者の半数以上が勤務を続けていましたが、昨年は3人に1人がコロナ禍で労働時間増、労働時間減または収入減を経験していることがわかりました。多くが感染の恐怖からだけではなく、不安やストレスによる安全や健康の問題を心配しています。
経済活動が回復に向かい始めても混乱は続きます。小売販売のオンライン化が進んだことによって、多くの店舗従業員が職を失うリスクにさらされ、同様に多くの宿泊施設、飲食店、旅行業事業者が受けた財務的痛手によって、そこで働く従業員にとって将来の見通しは不透明です。
取り組むべき優先課題
ランスタッドのカスタマーサービス・サポート従事者レポート(※1)では、会社に対する忠誠心は昨年のコロナ禍で大切にされ、きちんと支援されたと従業員が実感したかどうかが大きく影響することが明らかになりました。また、優秀な人材を確保し、定着させるうえでもこうした感情が重要な役割を果たすことがわかっています。調査結果とその意味の分析を踏まえ、取り組むべき3つの優先課題を割り出しました。
1、配慮の姿勢を示す
この厳しい時期に表す配慮やサポートの姿勢は、雇用主としてのパーパス(存在意義)、価値観、文化を示す正真正銘の証です。これがエンプロイヤーブランドに直接的に影響します。
勇気付けられることに、調査結果によるとカスタマーサービス・サポート部門を持つ雇用主の大半はこれを正しく理解しているようです。この職に就いている人の5人に3人以上(63%)がコロナ禍で雇用主から提供された支援の結果、忠誠心が高まったと感じています。
その一方で、国別に見ると支援とその結果としての忠誠心がかなり低調なところもあり、特にCIS地域においては従業員の3分の1近くが忠誠心が低下したと答えています。また、コロナ禍で男性よりも女性の方が勤務時間の短縮や賃金カットの影響を受けやすいこともわかっています。
カスタマーサービス・サポートスタッフは大切にすべきです。是非もなく正しい行為ですが、実際にそうすることによって雇用主としての魅力が高まります。ウェイターしかり添乗員しかり、彼らにはブランドの顔としての役割があります。スタッフがハッピーにしていれば、お客様もハッピーです。これらは従来から重要なポイントですが、ホスピタリティ産業(※2)などの業界において人手不足が深刻化する中、従業員に配慮する必要性はますます高まっています。人手不足の結果として売り手市場になり、調査によるとカスタマーサービス・サポート従事者のおよそ4人に1人が今後半年内の転職を考えています。
ランスタッドのエンタープライズアカウント担当バイスプレジデント、シェイラ・ハーヴェイは、「どの階層でも大切にする雇用主が従業員と生涯にわたる関係性を築くことができる」と強調しています。「離職率の高いポジションであっても、従業員は大切な消費者であり、ブランドの支持者にも中傷者にもなり得ます。従い、エンプロイヤーブランドは製品のブランディングと同様に重要であり、マーケティング戦略の一環として考慮する必要があります」
2、不安に対処する
カスタマーサービス・サポート従事者にとって、雇用の安定は賃金、ワークライフバランスと並ぶ雇用主選びにおける三大基準の一つです。経済危機が起きると必然的に優先順位が上がる項目ですが、契約条件が緩く、不安定であることも多いカスタマーサービス・サポート従事者にとっては特に不安の種になります。
不安を感じている従業員はそうでない従業員と比べて向こう半年内に転職を考える確率が2倍以上に高まることから、従業員を安心させ、雇用の安定を確保することはますます重要です。雇用に対する不安と転職の意向は特に北米とCIS地域で相関関係が認められます。
シェイラ・ハーヴェイは、パンデミックによってサービスセクターにおける雇用不安の現実が特に浮き彫りになったと言います。「余剰人員の解雇に対する不安は計り知れません。カスタマーサービス・サポートスタッフは大切にされている実感を欲しがっています。組織の価値ある資産として育てていく必要があります。多くの企業はこれに気づき、スキルトレーニング、キャリアコーチングその他のリテンションプログラムを通じて現場スタッフへの投資を行っています。こうした対策によって従業員が今後のニーズに備えることができます」
3、ワークライフバランスを改善する
ワークライフバランスはすべてのカスタマーサービス・サポート従事者にとって雇用主選びの重要な基準の一つですが、調査によるとこれまで夜間、週末、その他不規則または人があまり働かない時間帯に働いていた人にとっては特に重要であることがわかっています。例えば、調理師については賃金を抑えてワークライフバランスが第1位の理由に挙がっています。ウェイター、バーテンダーについては働きやすい職場の雰囲気に次ぐ第2位です。
ビジネスの性質に照らして、どの程度のワークライフバランスの提供が可能でしょうか?そのレベルはおそらく想像を超えています。ワークライフバランスは今や柔軟な働き方以上に重要視され、実際のところ、コロナ禍を受けた働き方改革の手段として、ワーク・ライフはバランスはもちろんブレンドも大切であることに着目する必要があります。鍵は仕事とプライベートの調和です。カスタマーサービス・サポート従事者にとっては働く時間ができる限り楽しいこと、従業員の間に強い連帯感があること、そして同僚や客と接する時に自分らしくいられることが大切なポイントに含まれています。
最後に、シェイラ・ハーヴェイは「ワークライフバランスは誰にとってもますます重要になります。昨年私たちが経験したような不安定な環境において経済的プレッシャーをなんとかしなければならない、子どもや家族の面倒をみなければならない人にとってはなおのことです」と指摘します。また、「企業が共に働く人たちの一生に仕事がどのようにフィットするかを認識し、柔軟でインクルーシブな職場の維持に努めることによって全員が利益を得ることができます」とも述べています。今一度、ワークライフバランスを見直してみてはいかがでしょうか。
本記事は、ランスタッド本社配信の記事を再編集の上掲載しています。