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インクルーシブな人材活用を軸にしたイノベーションと変化の推進
世界トップレベルのインクルージョンモデルとエンプロイヤーブランドを構築するために考えるべき3つの重要ポイント
企業のエンプロイヤーブランドを通じて、ダイバーシティ&インクルージョンに配慮した人材活用をアピールする必要性がかつてなく増しています。その理由の一つは、こうした価値観を支持し、バックグラウンドに関わりなくすべての従業員が一体感を感じられる場所を見つけられるよう後押しをする組織に人材が一層の関心を寄せているからです。マッキンゼーをはじめとする複数のコンサルティング会社もこうした考え方の重要性を立証しています。調査によると、ダイバーシティ&インクルージョンに積極的に取り組んでいる企業は業績が高いという結果が示されています。
その一方で、インクルージョンは主観的で数値化が容易ではありません。測定や追跡が比較的簡単なダイバーシティと違い、インクルージョンという測定項目は移動目標です。アンケート調査はエンプロイーエンゲージメントのある時点のスナップショットを示すにすぎず、企業としての福祉や仕事上の要求などそれ以外の多くの要因が認識に影響している可能性もあります。企業としてのインクルージョンの取り組みを有効に測定する手段がなければ、戦略や実行の妥当性を把握するのは困難です。
ですが、この取り組みの指針としてデータ主導型アプローチを構築する方法があります。真の変化と持続可能な成果を導くための一貫性のある実行可能なイニシアティブもその一つです。ダイバーシティの目標と企業価値観とを一体化させることによって、有効なインクルージョンプログラムから定着率、生産性、NPS(ネットプロモータースコア)の改善などの具体的な測定項目と結果を導き出すことができます。
ベースラインと目標を設定する
他の多くのイニシアティブと同様、インクルーシブな文化を醸成するための取り組みの第一歩は問いから始まります。インクルージョンにもっと力を注ぐべき理由は何か、何を成功の姿とするかです。明確で正当な理由がなければ、組織全体の賛同を得ることはできません。ステークホルダーに具体的な前進はなく、ただその振りだけで終わってしまいます。従い、エンゲージメントの強化、定着率の改善、インターナルモビリティの強化、リーダーシップ育成など、目標を明確に定めることから始めるのが肝要です。
目標が明確に定められていれば、測定項目の数値化が容易になります。従業員満足度調査からエンゲージメントスコアを導き出すことができ、定着率、インターナルモビリティ、リーダーシップ育成も簡単に追跡できます。こうした指標は個々で見てもインクルージョンの取り組みの全体像を捉えることはおそらくできません。ですが情報を集約することで成功と機会を総合的に把握できます。
データ収集プロセスの一環として、NPSやリーダーのバックグラウンドの多様性比率など具体的な数字であるかどうかはともかく、総合的視点から検討すべきインサイトを見つけ出す必要があります。と同時に忘れてならないのは事例情報です。これも従業員の認識を理解する重要な情報源になります。フォーカスグループインタビューの実施やインクルージョン審議会の立ち上げを検討してください。米国人材マネジメント協会(SHRM)も従業員の認識をCレベル役員に伝えるための有効な手段であると述べています。
経営陣に売り込む
これらの最初のステップはインクルージョンの取り組みの次の重要段階の土台になります。次の段階とはCレベル役員へのプランの売り込みです。インクルージョンの取り組みに経営陣のコミットメントがなければ、真の変化はおそらく実現できません。そして経営陣の賛同を得るにはビジネスケースと目標が明確かつ達成可能であることが鍵です。だからこそ強固な土台作りがものを言います。
経営陣にインクルージョンを売り込む時は、あなたのプランがイノベーションやエンゲージメントにプラスになるだけでなく、エンプロイヤーブランド、コーポレートブランドにも長期的な効果を与えることを伝えてください。ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)への投資はGlassdoorスコアや求人応募者数などの測定値に目に見える影響を与え、ひいては採用コストの抑制といった経済的メリットにもつながります。
最後に、企業価値観の推進におけるインクルージョンの役割を明確にすると提案の説得力が増します。インクルージョンや社会正義に対する認識の高まりとともに、多くの企業が組織内のD&I推進が十分かどうかを見直しています。昨今は、Netflixなどの企業がこの問題にスポットライトを当てたこともあり、インクルージョンに対する関心が特に高まっています。
一般従業員とコミュニケーションを図る
経営陣の賛同はどのインクルージョンの取り組みにも間違いなく必要ですが、一般従業員からの賛同も同じく大切です。一般従業員にインクルーシブな文化の醸成を支持してもらえなければ、まとまりのない体制が続きます。Cレベル役員に対するビジネスケースを作成する時と同様、全従業員がこれに取り組むべき理由を簡潔に強調してください。
そして、インクルージョンプログラムには研修とフィードバックの仕組みを盛り込みましょう。さらに(特にバックグラウンドが異なる参加者を集めて)フォーカスグループディスカッションを行います。このディスカッションの本質はすべての人の声を聞くことだからです。ディスカッションから明らかになった情報を基に、重要人材の喪失などのギャップやリスクを洗い出します。最も重要なポイントは、組織全体を目指す結果を実現するために必要な変化を受け入れる態勢に整えることです。
インクルージョンは測定も変化も比較的難しい取り組みかもしれません。ですが、企業のD&I戦略において決して軽視はできません。強固な土台を構築し、十分な賛同を得ることで従業員の積極性とインクルージョン意識を高めることができ、魅力あるエンプロイヤーブランドを構築できます。
著者
Francesca is a business-driven and creative thought leader with 20 years of experience in consumer marketing, talent marketing, employer branding, diversity and culture. |
※本記事は、ランスタッド本社配信の記事を再編集の上掲載しています