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組織やチームのパフォーマンスを向上させる「組織の心理的安全性」とは
従業員一人ひとりがモチベーション高く働き、それぞれが持つ個性や能力を存分に発揮できる。そんな組織・チームを作るために必要な要素の一つとして、「心理的安全性」が注目されています。具体的にどのような状態を指すのか、また実践していくためにはどうしたらよいのか、ご紹介します
組織やチームにおける「心理的安全性」とは何か?
「心理的安全性」というキーワードが注目されるようになったのは、Google社が2016年に行った研究発表がきっかけでした。同社のリサーチチームが、チームのパフォーマンスに関する研究プロジェクトを実施した結果、「チームが機能するために心理的安全性(サイコロジカル・セーフティー)が最も重要」との結論に行き着いたのです。
Googleのリサーチチームによると、心理的安全性の高いチームには以下4つの傾向がみられたそうです。
1)組織からの離職率が低い
2)チームメンバーが発案した多様なアイデアをうまく利用することができる
3)収益性が高い
4)マネージャーから「効果的に働く」と評価される機会が多い
※出典:Google「「効果的なチームとは何か」を知る」(2016)
https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/steps/introduction/
そもそも、組織・チームにおける「心理的安全性」という概念を最初に提唱したのは、ハーバード大学で組織行動学を研究するエイミー・エドモンソン氏でした。同氏は心理的安全性について、「対人関係においてリスクのある行動をしても、このチームでは安全であるという、チームメンバーによって共有された考え」と定義しています。
「心理的安全性」が高い組織とは
実際に心理的安全性が担保された組織・チームには、どんな特徴があるのでしょうか。以下、具体的に4つの項目で説明していきます。
① 質問・相談をしても「無知だ」と思われない
仕事上、わからないことや疑問に思ったことを、上司やメンバーに気兼ねすることなく質問できる状態。「こんなことを質問したら無知だと思われるのではないか」「答えてもらえないのではないか」という不安を抱くことなく、質問・相談ができます。メンバー間のコミュニケーションが円滑になり、お互いを助け合うカルチャーが醸成されています。
② 失敗やミスをしても「無能だ」と思われない
自分のミスを速やかに受け止め、メンバーと共有して課題解決に当たることができます。メンバーが何か失敗したときに「自分が一方的に責められるのではないか」「すぐに罰せられたり、評価を下げられてしまうのではないか」という不安を先に抱くことが少なく、ミスの隠蔽、トラブルの拡大などが起きにくくなっています。
③否定的な意見を述べても「ネガティブだ」と思われない
周囲のメンバーとは異なる意見、もしくは反対意見なども、敬遠されることなく自由に発信できる空気があります。仕事のクオリティ及びチームのパフォーマンスを向上させるために必要なことであれば、否定的な意見、厳しいフィードバックなどもしっかり受け入れられるようになっています。
④自分の意見やアイデアを述べても「邪魔だ」と思われない
自分の意見や考え方、新しいアイデアなどを、自発的に発信ができます。「自分が発言しても邪魔になるのではないか」「こんなアイデアは必要とされないのではないか」などの心配がない状態が維持されており、メンバーが主体性をもって発言・行動することができています。
「心理的安全性」という言葉の印象から、社員に対して厳しいことを求めない、もしくは仕事に対するハードルが低い状態をイメージする人もいますが、決してそうではありません。
上記4つの項目からわかるように、個人が自分にとって何かしらリスクのある行動を取るとき、「このチームなら大丈夫」と信じられることが、心理的安全性のある組織・チームの大きな特徴になります
心理的安全性を生み出すための、3つの心がけ
自分たちの組織・チームで、「心理的安全性」が担保された状態に近づけるためには、どんな取り組みが効果的なのでしょうか。ここでは個人が取り入れられる心がけ、日常の行動にフォーカスしてお伝えします。
① できるだけポジティブな言動を心がける
人とコミュニケーションを取るとき、不機嫌な顔でネガティブな言葉を投げかけられるだけで、次にまた声をかけるときにためらいが生まれてしまうものです。ごく基本的なことですが、メンバー間でやり取りするとき、対応も含めてポジティブな言動を心がけてみてください。
② 人の意見や話を傾聴する
人の話を聞く姿勢一つで、コミュニケーションのしやすさが変わります。会議やミーティングなどでメンバーに発言を促すとき、出てきた意見やアイデアを頭ごなしに否定したり、真っ先にネガティブなフィードバックをしたりするのを止めましょう。誰でも発言しやすい空気を作ることが、心理的安全性を生み出すための基本です。
③ チームメンバーの相互理解を深める
日頃から、積極的にチームメンバーとのコミュニケーションをしっかり取ることも重要です。メンバー同士はもちろん、上司と部下の間でも相互理解を深めるとよいでしょう。その際、上記①と②のポイントを忘れずに実践してみてください。一方的に自分の話をするのではなく、相手の話に耳を傾ける。相手の話を否定せず、ポジティブな言動を心がける。この2点が大切です。
まとめ
これまでの企業では、どちらかといえばトップが決めたことをミスなく正確に遂行することに重きが置かれているケースがほとんどでした。しかし現在の組織・チームには、相互に影響を与え合いながら、共に新しい価値などを生み出していくことが求められています。
「心理的安全性」が重要視されるようになった背景には、そうした社会の変化、組織・チームに求められる役割の変化があります。
心理的安全性が担保されると、組織やチーム内では情報共有が活発になり、メンバー間のコミュニケーションが活性化します。オープンかつフラットな空気が醸成されることで、メンバー同士がお互いに助け合い、協力し合って仕事に取り組む関係性が生まれ、プラスの相互作用が起きやすくなるのです。
このような組織・チームの状態は、従業員のエンゲージメントやモチベーションの向上にも影響を与え、結果的に組織・チーム全体の生産性が向上していくでしょう。
高いパフォーマンスを発揮する組織・チームを作るために、まずは今回ご紹介した個人で実践できる心がけなど、小さなところから取り組んでみてはいかがでしょうか。