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組織の生産性を高めるには? 従業員のワーク・ライフ・バランスを改善し、メンタルヘルスを維持するためのヒント
テクノロジーの発達によって、働き方やコミュニケーションの手段が多様化しています。そして、こうした環境の変化に伴い、働く人たちのワーク・ライフ・バランス、特にメンタルヘルス(精神面の健康)に影響が生じています。雇用主側は、どのような対応策を取ることができるのでしょうか。
テクノロジーによって変化した仕事の環境
「ワーク・ライフ・バランス」という言葉が日本で使われるようになってから、約30年の月日が流れました。30年前の社会状況や労働環境と比較すれば「仕事と生活の双方の調和」は、ある程度進んでいると言えるでしょう。個人のライフスタイルに配慮した制度の導入や、長時間に及ぶ労働時間の是正など、雇用主側も様々な企業努力を重ねています。
しかし時代は、刻一刻と変化していくもの。近年、ワーク・ライフ・バランスの実現において、新たな課題が発生しています。
職場で起きている、メンタルヘルスの課題
対面での会話、もしくは固定電話やFAXがコミュニケーションの主流だった時代と異なり、現代の私たちは、“常時接続可能”な世界で日々暮らしています。携帯電話やメールに加えて、複数のチャットやSNS、PCやスマートフォンから通知されるリマインダー……。
それはプライベートだけではなく、仕事でも同様です。ビジネスチャットや社内SNSなどが導入されることにより、働き手はいつでもどこにいても「つながる」「コミュニケーションが取れる」環境で仕事をするようになりました。
このような変化によって利便性が高まり、生産性が向上した職場もあるでしょう。ただ便利になったことで、働き手はいつどこにいても、ちょっとした仕事であれば対応できてしまうようになりました。
一つひとつは小さなことであっても、業務時間外の仕事の連絡や対応が日々積み重なると、仕事とプライベートの時間がうまく切り分けられない状況に陥りやすくなります。いずれ、快適なワーク・ライフ・バランスが維持できなくなっていくケースもあるでしょう。
働き手の精神的な健康を損なうことは、雇用主にとって重大なリスクです。そうした状況を避けるため、企業が主導して実施できる対応策にはどんなものがあるのでしょうか?
従業員のメンタルヘルスを維持するため、雇用主が主導できる施策のヒント
●会社主導で、プライベートの時間と勤務時間の線引きを明確にする
最もシンプルな対応策の一つは、勤務時間とプライベートの時間の線引きを徹底すること。コアタイム以外は、メール、通話、チャットなどのやり取りを会社主導で禁止にするのです。もちろん、緊急の用件など仕方ない場合もあるでしょう。しかし会社で決められた基本の線引きがあれば、働き手は「個人の時間」と「仕事の時間」を切り分けてワーク・ライフ・バランスを整えやすくなります。
●在宅勤務とフレックススケジュールの実践
個々が自由に、働く時間をコントロールできる仕組みを整えるのも効果的です。業務を遂行する上で影響が少ないのであれば、フレックスタイム制度や在宅勤務制度などを導入し、全員が決められた時間に出社し、決まった時間まで会社にいる勤務スタイルを見直すのもよいでしょう。特に育児や介護などを担っている働き手はフレキシブルな働き方を導入することで、ワーク・ライフ・バランスを大きく改善できるでしょう。
●「自分のための休暇取得」を奨励する
日本では、付与されている有給休暇を「自分自身のため」ではなく、家族の用事のため、通院や役所に出向くためなどで使うケースが多いのではないでしょうか。しかしそれでは休暇を取得したとしても、本当の意味での「休息」には繋がりません。ストレスを緩和するためには、「自分のために時間を使う休暇」を定期的に設ける必要があります。例えば近場の温泉地やリゾートへ日帰り旅行をする、自宅でガーデニングを楽しむ、または、ただゆっくり寝るだけの時間を作ってもいいかもしれません。自分のための時間を作り十分にリフレッシュすることで、ワーク・ライフ・バランスが改善され、仕事での生産性が高まることが期待出来ます。
●ウェルネスプログラムを行う
休暇を取ること、仕事用のデバイスやツールから離れること、個人的な活動に時間を費やすことなどを、会社やチーム全体の「健康目標」として掲げるウェルネスプログラムも効果的な施策の一つです。休暇の取得や個人の活動を「組織・チームの目標」に組み込み、協力し合って達成する。働き手個人の判断や努力に任せるのではなく、会社としてワーク・ライフ・バランスを実現できる仕組みを作ることも出来るのです。
雇用主が「従業員の健康」に投資することで得られるメリット
働き手が適切な形でワーク・ライフ・バランスを実現し、身体的にも精神的にも健康で働ける状態にあることは、雇用主にも大きなメリットをもたらします。
経済産業省は2013年から「健康経営」の実践を推進しており、雇用主側が従業員のための健康投資を行う意義について、「企業が経営理念に基づき、従業員の健康保持・増進に取り組むことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や組織としての価値向上へ繋がることが期待される」としています。
出典:経済産業省 公式サイト「健康経営の推進」より
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenko_keiei.html
今回はテクノロジーの進化によって変化したビジネスコミュニケーションにフォーカスしましたが、働き手の健康に影響を及ぼす環境要因は、他にも多く存在します。これから先、新たな要因が生まれることも考えられます。
新しい環境から起こる問題には、これまでにない対応が必要です。時代の変化を見極めながら、常に「次の対応策」を検討する視点が求められています。
本コラムは、ランスタッド・エヌ・ヴィーが制作したコンテンツをベースに加筆しています。
原文(英語のみ):https://www.randstad.com/workforce-insights/future-of-work/6-tips-for-a-healthy-work-life-balance/