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定着率を上げる方法は?離職率の高い会社によくある「残念な特徴」を知ろう
人事用語でいう「定着率」とは「入社後一定の期間を経て引き続き在籍している従業員の割合」を指します。「一定の期間」に明確な決まりはありませんが、半年、1年、3年、5年……といったタームで算出されることが多いようです。
定着率の一般的な計算方法は次のようになっています(1=100%とする場合)。
定着率=(一定の期間の経過後に勤続している人数 ÷ 一定の期間の開始時の人数)×100 |
ちなみに新卒採用の定着率を計算したい場合は、次のような式になります。
定着率=(入社人数 – 一定の期間を経た時点での離職人数)÷入社人数 |
一方、「離職率」は「入社後一定の期間へ至るまでに離職した従業員の割合」を指します。こちらも「一定の期間」に明確な決まりはありませんが、同じ企業に対して、同じタームで算出した場合下記になります。
定着率+離職率=1(100%) |
つまり、定着率がわかればその時点の離職率もわかるのです。
定着率が高いほど「長く在籍している従業員の割合が多い」ことになりますから、一般的に「上がる」ことが改善とみなされます。一方、離職率は高いほど「早期離職してしまう従業員の割合が多い」ことになりますから、一般的に「下がる」ことが改善とみなされます。
離職率が高い=定着率が低い会社の特徴は?
労働内容や成果が正しく評価されない
よく聞く「給料が安い」という不満ですが、なにも「働きに見合わないほどの高給をもらいたい」と言っているわけではないのです。そこには「自分の労働内容や、自分が出した成果を考えれば、もっともらえてもいいはずだ」という、人事評価への疑問が隠れています。そんな中で、自分の見立てに合う評価をしてくれる会社があれば転職を考えるのは当然でしょう。
長時間労働が常態化している
明らかに過大な業務量が課せられていて、「残業しなければ業務スケジュールをこなせない社員が多い」状況が常態化しているのは、いわゆる「ブラック企業」の特徴としてもよく取り上げられます。定時になっても誰も席を離れる様子すらない、「用事がある」と申し出なければ周囲より先に退社できない、それすら頻繁にあると疎まれる……といった風に、「業務量に関わらず長時間労働する」状況も要注意です。
休暇が取りにくい
上司の納得する理由がなければ有給休暇が申請できない、有給休暇の申請をすると閑散期でも「忙しいからまた今度にして」とやんわり拒否されるなど、「本来理由に関係なく取得できるはずの休暇が申請しづらい」状況は、従業員にとってストレスが大きいものです。また、常に部署全員が揃わなければこなせないほど業務量が多い、業務が過度に属人化していて担当者以外はフォローできないといった「休むと業務が滞るので休暇が申請しづらい」状況も要注意です。わからないことがあると休暇中の社員であってもすぐ電話するなど、「休暇中に過度に業務対応を強いる職場」も疎まれかねません。
人材育成の体制が整っていない
OJTと銘打ちながらも個々の業務のことしか教えてもらえず事業の全体像がつかめなかったり、入社後すぐに独り立ちさせられて大量の業務を任されたりする状況も要注意。従業員の育成を「目の前の仕事をこなせるようにする」としか考えていない企業では、従業員もキャリア形成への不安を感じることでしょう。
多様な働き方に対応できていない
新型コロナウイルス感染者数が減少傾向にあったら業務上の理由もなくすぐ全員出社へ逆戻り、育児や介護を担う従業員へのサポートが手薄で職場の理解が進んでいないなど、これから当たり前になっていくであろう「多様な働き方への取り組みが遅れている」職場。今まさにこうした働き方への対応が必要な従業員にとってはもちろんですが、特に多様な働き方が必要ない従業員であっても「企業としての将来性に乏しく、長く働けるか不安」という印象を与えかねません。
求人情報と仕事内容が乖離している
「求人情報にありのままを書くのは『馬鹿正直』というもの、法に触れない範囲で少しおめかしするのが当然だ」と考える人も中にはいらっしゃるかもしれません。ただ、こちらが「少し」だと考えていても、求職者がそこから実情を推測するのは案外難しいものです。入社してみて「思っていた仕事内容と違う」、「これではやりたいことができない」となれば早期離職につながりますし、仮に離職しなかったとしても、会社との信頼関係は危うい状態といっていいでしょう。
ハラスメントへの意識が低い
パワハラ、セクハラなどのハラスメントは、相手に対して「貶め、傷付けても構わない対象だ」という差別意識を持っていたり、そもそも自分の行為が相手にとってパワハラ・セクハラにあたることを理解していなかったりすることから生まれます。自発的な改善が難しいだけに「ハラスメントへの意識が低い従業員が多く、会社側も改善の取り組みが遅れている」のは由々しき状況です。多様な働き方への対応と同様に、実際にハラスメントを受けている従業員だけでなく他の従業員にも「将来性に乏しい」印象を持たれてしまいます。
定着率が高い=離職率が低い会社になるためのポイントは?
社内制度を見直す
「給料を見直す」と言っても、ただ基本給を上げるだけでは不十分です。評価制度を改善せず、一度上げただけでその後昇給しなければ、やがて離職につながってしまいます。給料だけでなく、適正な勤務時間や休暇の取りやすさ、ハラスメント対策なども考慮すると、人事評価制度や勤務制度、休日制度、福利厚生など見直しの必要な制度は多岐にわたります。ときには根本から改善が必要な場合も出てくるでしょう。
労働環境を見直す
長時間労働や休暇の取りにくい状況などが常態化している場合、ただ「改善するように」と号令をかけただけでは持ち帰り残業などの意図しないしわ寄せが起こりかねません。そもそもそうなっている原因を突き止め、実効的な改善策を打ち立てるようにしましょう。
また、長く務めているベテラン社員には「多少扱いが悪くても辞めないだろう」と長時間労働を強いておきながら、新入社員だけは「すぐ辞めると困るから」と残業させず、休暇も自由に取らせるなど「特定の社員だけ働きやすくする」と、ベテラン社員がリストラの不安を抱いたり、不満を溜めこんだりしかねません。ことによっては新入社員も萎縮してしまう悪手です。労働環境の見直しは、全員平等を前提に考えましょう。
すぐ実行できる対策として、従業員の健康を気遣うため、全面禁煙や喫煙所撤廃などに取り組むのも有効です。
教育制度を見直す
入社後研修や業務マニュアルはもはや「あって当たり前」。もっと踏み込んだ教育制度が必要です。職場の先輩がOJTで仕事を教えるだけでなく「メンター制度」や「1on1ミーティング」などを制度化し、フォローアップを目に見える形にしていきましょう。また、新入社員だけでなく、中堅~ベテラン社員のマネジメント研修や、リカレント教育にも取り組み「業務をこなすだけでなく、キャリアを積んでいくことができる」教育制度を目指します。
ハラスメントへの意識を高めるためにも、社員教育は重要です。全社的な研修などで「なにがハラスメントにあたるか」を学んでもらい、環境改善を図りましょう。こうした取り組みは「会社は従業員によるハラスメントを容認しない」という姿勢のアピールにもなります。
求人への取り組みを見直す
定着率を改善するには、まず求人の段階から見直すこともポイントです。採用担当者や配属先の担当者が「雇ってやる、面倒を見てやる」といった目線で振る舞うのを容認することは、入社後の長時間労働や働きにくさ、ハラスメント横行などにつながりかねません。そもそも応募者の意欲を削ぎ、入社辞退につながる可能性もあります。採用にあたって予め自社の立場は応募者と対等だと確認し、意識のすり合わせをしておきましょう。
また、会社を良く見せようと実態と乖離した情報を提供していないか、そもそも情報量に乏しく、入社後のミスマッチが懸念されないかなども、自分たちの主観ではなく、求職者の視点に立ってチェックするようにしましょう。求人情報のまとめ方について、詳しくはこちらもご覧ください。
定着率改善は手がかかるもの、パートナーの力も借りて根気強く取り組んで
ここまででご紹介してきたとおり、定着率を高めるための取り組みは人手も時間もかかるものが多々あります。制度改定や社内風土の醸成など、すぐには理想通りに実践できない部分も少なくありません。ただ、実情が追いついていない中でも「改善への取り組みがある」ことをアピールすれば、将来に希望が見え、従業員の離職を防ぐきっかけにもなります。「自社には無理だ」とあきらめず、根気強く取り組みたいところです。長時間労働解消のために派遣会社からワークシェアリング人材を派遣してもらうなど、社外の信頼できるパートナーの手を借りることもぜひ検討してみましょう。
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