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物流業界で従業員の「やる気に満ちた状態」を維持するために
従業員のモチベーションが高い職場では、人が定着しやすく、日々の仕事にも前向きに取り組んでくれます。物流業界のように業務がハードな現場では、特にこの「やる気」が、チームの生産性や安定した運営に直結します。
前回の記事「物流業界における従業員のモチベーションとは?エンゲージメントの高いチームの姿」物流業界ならではの課題や、従業員のやる気に影響する要素を整理しました。今回はそこから一歩進んで、現場で実際にどう工夫すればモチベーションを高められるのか、具体的なアプローチをご紹介します。
物流業界の従業員モチベーションに関する主要な統計データ
最新の調査結果から、物流現場の「今」が見えてきます。
物流業界で高まる「モチベーション」の重要性
マッキンゼーの調査によると、いま多くの業界で「生産性の向上」が最優先事項になっており、それは物流業界も例外ではありません。経済的なプレッシャーが強まる中、競争力を維持していくには、業務効率を高めるだけでなく、従業員のモチベーションにもきちんと向き合う必要があります。
そのためには、まずは基本的な環境づくりが欠かせません。たとえば、業界水準に見合った賃金、安定した労働条件、雇用の安心感といった「土台」がしっかり整っていることが前提です。
しかし、これだけでは長期的にやる気を引き出し続けるのは難しいのが現実です。従業員が仕事に前向きに取り組み続けるには、日々の業務の中で成長を実感できたり、自分の頑張りがきちんと認められたりすることが大切です。また、自分の仕事がチームや社会にどう貢献しているかを実感できることも、モチベーションの維持には欠かせません。
現場のモチベーションを高める5つのポイント
ランスタッドがこれまでに数多くの企業と取り組んできた中で、物流業界で従業員のモチベーションを高めるために特に重要だと感じたのが、次の5つのポイントです。
- チームワークを優先する
- 成果をしっかり認める
- 安全かつ安心して働ける職場づくり
- 成長の機会を提供する
- 働く意味や目的を感じられる環境
1. チームワークを優先する
物流の現場では、ピッキング担当、積み込み担当、ドライバーなど、さまざまな役割の人が連携して業務を回しています。この「つながりの強さ」こそが、働く人にとってのやりがいや安心感を生み出す鍵であり、モチベーションを維持するうえでも欠かせません。
チーム志向の文化が根づくと、雰囲気も効率も大きく変わります。たとえば次のような取り組みは、シンプルで効果的です。
- 朝礼やショートミーティングの実施
1日の目標を共有したり、前日の成果を称え合ったりすることで、チームとしての一体感が生まれます。
- オープンな情報共有
会社の方針や日々の目標、各自の役割がどう貢献しているかを伝えることで、納得感とやる気につながります。
スピードが求められる現場では、「いまどれだけ成果が出ているか」をその場で共有するだけでも、チームの士気がぐっと上がります。
たとえば、「今日は昨日よりも出荷件数が20%アップ!」といった一言があるだけで、日々の努力がちゃんと見られている、評価されていると実感できます。こうした積み重ねが、モチベーションやチームの一体感を育てていくのです。
また、情報を“伝える”だけでなく、“聞く”姿勢も同じくらい重要です。現場で働くスタッフからの提案や気づきを吸い上げるフィードバックの仕組みを持つことで、「現場の声が反映される職場」という信頼感が生まれます。
チームワークとコミュニケーションがしっかりしている職場は、自然と人が育ち、成果もついてきます。こうした日々の積み重ねが、モチベーションの高い職場づくりにつながっていきます。
2. 成果をしっかり認める
物流の仕事には、表には見えづらい作業がたくさんあります。その分、「ちゃんと見てくれている」「評価されている」と感じられるかどうかが、働く人たちのやる気に直結します。
Workhumanの分析によると、こうした「認識されている感覚」は、モチベーションを高める非常に効果的な要素だとされています。
特別な仕組みを用意しなくても、ちょっとした工夫で「見ているよ」「ありがとう」の気持ちは伝えられます。たとえば―
- みんなの前でしっかり伝える
チームミーティングや社内ニュースでの紹介などで、頑張っている人をしっかり言葉にして称えてください。たとえば、納期をきっちり守ってくれているドライバーや、日々のノルマを上回る出荷量を達成した倉庫チームなど、一見あたりまえな事でも評価の対象になります。
- インセンティブの仕組みをつくる
ミスのない出荷や無事故の日数に応じたボーナスなど、分かりやすい目標に対するご褒美があると、日々の頑張りにも張りが出ます。
- お金だけじゃない“うれしい”を
特別休暇や社名入りグッズ、ちょっとしたランチの差し入れなど、小さなサプライズも、気持ちをぐっと前向きにしてくれます。
こうした積み重ねが、「ここで働いていてよかった」と思える空気をつくります。
「がんばりを認める文化」が根づくと、従業員のエンゲージメントも高まり、長期的なモチベーションの維持にもつながります。
3. 安全かつ安心して働ける職場づくり
物流業務は倉庫作業や荷積み、運転など身体的な負担が大きいため、自分の安全が守られ、大切にされていると感じることがモチベーションを保つ上で非常に重要です。また、サポートされていると実感できる環境が、やる気を維持するための鍵となります。
従業員の健康や安全に対する本気の取り組みが、信頼を築き、やる気を維持するポイントです。
そのためには、適切な安全教育を行い、無理のないシフト時間を設定することが大切です。これにより、事故や過労を防ぎ、ストレスを軽減することができます。自分の健康が守られていると実感すると、モチベーションも高まり、雇用主への信頼も深まります。
また、快適な環境が提供されることで、従業員の生産性やエンゲージメントも向上します。小さな改善が大きな効果につながることもあるので、以下の点を見直してみてください。
- リラックスできる休憩室の設置
- 清潔で整備された作業環境
- 倉庫スタッフ用の気温調整(例:夏場の冷水、冬場の暖房)
また、職場の快適さだけでなく、リーダーシップも重要です。リーダーがポジティブな指導を行うことが、チーム全体の雰囲気に大きな影響を与えます。問題解決を積極的に行い、チームを励まし、親しみやすいサポート型の上司は、厳しいだけの上司よりも圧倒的にモチベーションを高めます。リーダーは、公正で対応が迅速であることが求められます。仕事量や人間関係のトラブルにも素早く対応し、チームメンバーが大切にされていると感じられるようにすることが重要です。
これらを実践することで、物流企業は安全でサポート力のある職場を作り、従業員のモチベーションとパフォーマンスを向上させることができます。
物流業界の従業員モチベーションに関する主要な統計データ
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4. 成長の機会を提供する
現場作業や未経験からのスタートであっても、「成長できる実感」があることは、モチベーションの大きな原動力になります。人材サービスの現場で数多くのキャリアを支援してきた私たちは、物流業界においてもキャリア形成の道筋を明確にすることの重要性を実感しています。
たとえば、機械の操作資格の取得や在庫管理ソフトの研修、物流コーディネーションのスキルアップなど、実務に直結するトレーニングの機会を設けることは、業務の効率化だけでなく、働く人自身の「できることが増えた」という実感にもつながります。
また、「自分にもこんな未来が描ける」と感じられるキャリアパスの見える化も大切です。たとえば、ピッキング担当からシフトリーダーへ、ドライバーから配車管理担当へといった社内のステップアップ事例を紹介することで、「ここで働き続けたい」という前向きな気持ちを育てることができます。
業務ローテーションによる“越境”経験も有効です。たとえば倉庫業務から配車調整を学ぶなど、異なる業務に触れることで仕事に新鮮さが生まれ、柔軟な現場体制づくりにもつながります。
さらに、先輩社員が新人をサポートするメンター制度を取り入れるのもおすすめです。入社初日から「見てくれている人がいる」と感じられる環境は、安心感と早期戦力化の両方に貢献します。
5. 働く意味や目的を感じられる環境
従業員のモチベーションは継続的に育むものですが、その過程で特に重要なのは「働く意味や目的」を感じさせることです。自分の仕事がどれほど意味のあるものであるかを理解することで、日々の業務も価値あるものに変わります。
そのためには、自身の業務がどう貢献しているのかを従業員に伝えることが大切です。例えば、「時間通りに届けられた荷物が、お客様の信頼を築いている」や「正確なピッキングが、病院や店舗の必需品を確保している」など、具体的に伝えてみてください。
物流チームが会社にどう貢献しているのか、また信頼性や顧客満足といった核心的な価値をどのように体現しているのかを定期的に伝えましょう。災害支援や医療品の緊急配送など、効率的な物流がどのように人々の役に立ったかといった実際のストーリーを共有するのも有効です。自分の仕事が他者に直接貢献していると感じることは、大きなモチベーションになります。
まとめ
- 基本的なニーズを満たす―競争力のある給与、安定した働く環境、雇用の安定が、従業員のモチベーションを維持するために欠かせません。
- チームワークとコミュニケーション-透明性のあるオープンなコミュニケーションと強い協力関係が、従業員のエンゲージメントを高めます。
- 成果をしっかり認める―金世的なものだけではない様々な評価を通じて、従業員の貢献を認めることがモチベーションを強化します。
- 安全かつ安心して働ける環境づくり – 職場で健康が守られ、大切にされていると感じることで、よりエンゲージメントを高めることができます。
- 成長の機会を提供する – キャリア開発、研修プログラム、社内での異動機会は、従業員がモチベーションを維持するためには欠かせません。
- 働く意味と目的を持つ – 日々の業務がどこに繋がっているかを伝えることで、従業員のエンゲージメントモチベーションを維持することができます。
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