リスキリングと表裏一体?「アンラーニング」とは?

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アンラーニングとは?

2022年の流行語大賞にもノミネートされた「リスキリング」に関連して、さまざまなHR用語が注目され始めています。そのひとつが、リスキリング成功のカギを握る「アンラーニング」です。

アンラーニングは直訳すると「既存の知識、習慣を捨て去ること」。しかしビジネスにおいては当然、捨て去って終わりということではありません。

HR用語としての「アンラーニング」は、なぜ既存の知識や習慣を捨て去るのかといった目的や、アンラーニングの後に何を目指すのかといった展開も含まれます。

アンラーニングの目的は、環境変化の激しい現代社会を生き抜くため、過去の経験にとらわれず変化に適応していくこと。そのために、これまで身につけてきた知識やスキルをアンラーニングして新しい知識・スキルを取り入れ、次のステージを目指すのです。こうした意味合いから、日本語では「学びほぐし」という別名で呼ばれることもあるようです。

リスキリングやアウトスキリング、転職準備において、過去の経験や習慣へのこだわりが足かせになってしまうことは決して珍しくありません。アンラーニングは、こうした課題の解決に重要なマインドセット転換につながる取り組みなのです。

 

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アンラーニングのメリットは?

・新しい知識・スキルを柔軟に取り入れられる

アンラーニングにより、これまで身につけてきた知識やスキルをいったん捨てることで、「今まではこうだったから」といったこだわりもなくなります。リスキリングなどで身に着ける「これから必要な新しい知識・スキル」を一から柔軟に取り入れるための下地が整うのです。

・これまでの環境に起因する不平・不満を防げる

これまでの環境に最適化された「仕事のやり方」や「当たり前」。当然がゆえに無意識だったこの考え方も、アンラーニングによってあらためて意識できます。さらにそれを思い切って手放すことで、「前と違うのでやりづらい」、「自分にはなじみがないので嫌だ」といった不平や不満を感じることも少なくなります。

・新しい環境になじみやすくなる

ビジネスにおける「経験」は確かに価値のあるものです。しかしその価値にこだわるがゆえに生まれる「プライド」は、度が過ぎると新しい環境へ適応することを妨げます。アンラーニングは、経験の実利のみを残し、過剰なプライドを捨てることにもつながります。新しい環境での評価も素直に受け入れる姿勢ができ、なじみやすくなるのです。

 

アンラーニングのデメリットは?

対象者の「ネガティブな受け止め」につながりやすい

企業からアンラーニングの対象者に選ばれるということは「変わってくれる」ことへの期待の表れといえます。しかし、変わること自体を好まない対象者には「企業に自分のやり方や考え方を否定された」、「これまでの経験が企業に無駄と判断された」などのネガティブな受け止め方につながりかねません。その結果、「自分は企業に必要とされていない」と感じて無気力になったり、「本人の望まない処遇による遠回しな退職勧奨」と勘違いして離職につながったりする可能性も出てきます。

・企業にも相応の負担が要る

企業はアンラーニングを成功させるためにも、先のような「ネガティブな受け止め」を打開する必要があります。「『新しい学び』はアンラーニングをしてでも取り組む価値がある」こと、「対象者の今後にも期待している」こと、「今前向きに取り組まねばもったいない」ことを、アンラーニングに取り組む前、もしくは取り組む中で納得してもらわねばなりません。

対象者のモチベーションをキープするために、アンラーニングのメリットに関する情報収集を怠らず、取り組みをしっかりマネジメントすること。アンラーニングの成功には、企業にも相応のリソースが必要なのです。

 

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アンラーニングはどのように実践すればいい?

アンラーニングの目的や方法をはっきりさせる

先述の通り企業主導のアンラーニングでは、まずは対象者が前向きに取り組めるよう、アンラーニングを行う価値や必要性を共有し、「既存のスキル・経験の否定」ではないことを納得させる必要があります。「なぜアンラーニングの対象者として選ばれたか」、「アンラーニングを経た後、どのように成長することを期待しているか」や「成長のためになぜアンラーニングが必要なのか」を、早い段階でしっかり説明しておきましょう。転職者が個人でアンラーニングに取り組む場合も、あらためて目的や方法を整理するのがおすすめです。

・対象者が自分自身を振り返る機会を作る

次に、これまでに得たスキルや経験を振り返り棚卸しすることで、アップデートが必要な知識やスキルの洗い出しなどを行っていきます。重要なのは自ら取り組むこと。自分の中に無用な固定観念や、現在の環境に過剰に適応した考え方がないかを自問していくことにもつながりますし、新しい学びへのモチベーションを養うことにもつながります。

・客観的な評価を得る場を作る

振り返りや内省だけでは、なかなか「自分の考え方」の枠から出られません。企業主導のアンラーニングでは、上司や同僚からフィードバックをもらうことが、自分では気づかなかった課題や必要なマインドを知る好機になります。転職者の場合は、転職先でこうしたフィードバックの場を設けられるよう、上司や同僚に働きかけてみるのがいいでしょう。

・新しい知識に触れる場・意見交換の場を作る

捨て去った後にはインプットが欠かせません。新しい知識を得る場、それを踏まえて意見交換する場を作り、刺激を受けることでアンラーニングもより進んでいきます。企業主導の場合は外部講師を招いての研修や、他部署と交流する機会を設けるといいでしょう。転職者の場合はオープンのビジネスセミナーや異業種交流会などに積極的に参加してみましょう。

 

アンラーニングで「常にアップデートされる人材」を手に入れて

対象者を選出してレクチャーする、新しい知識に触れる場を作るなど、リスキリングを踏まえたアンラーニングを実践するためには多くのことをこなさねばならず、人事担当者の力だけでは難しいこともあります。ランスタッド「ライズスマート」では、経験豊富なプロによるキャリアコーチングを提供しています。プロの手を借りて、アンラーニングをスムーズに進める方法もぜひ検討してみましょう。

ライズスマート

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