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人材育成×キャリアパス:成長を促す戦略的アプローチ
昨今、多くの大企業が従業員のスキル向上と成長を促すために、人材育成(L&D)プログラムを導入しています。企業が従業員のスキルアップに投資する理由は、「新たな技術に導入に対応するため」、「生産性や業務の効率を高めるため」、「法改正に対応するため」など様々なものがあります。
しかし、人L&Dは単なるスキル強化にとどまらず、キャリアパスにおいても重要な役割を果たします。従業員がキャリアパス目標を達成するには、スキルや専門性を伸ばし続けることが不可欠であり、そのためには計画的なL&Dが欠かせません。
この記事では、L&Dがキャリアパスにどのように影響するのかを掘り下げ、従業員のキャリア形成においてどう活用できるかをご紹介します。
なぜL&Dが大切なのか
企業は時間とともに変化し、市場や技術の進化に適応していきます。この過程は、従業員や経営層の学びと成長の積み重ねによるものです。それがあたかも自然な流れのように感じられるかもしれませんが、その多くは意図的な学習プログラムによって支えられています。こういった取り組みは、企業全体で実施されることもあれば、チーム単位や従業員が個々に実施することもあります。
また、成長や適応が自然に進むものだからといって、企業が意図的に後押ししなくてよいわけではありません。L&Dに投資することには、以下のようなメリットがあります。
- 従業員の定着率・エンゲージメント・満足度の向上 -
同じ業務の繰り返しで成長を感じられないと、仕事への意欲が下がってしまいます。
当社のワークモニター2025によると、従業員の3人に1人が「今の職場で新たなスキルを習得し、知識を広げたい」と回答しています。さらに、LinkedInの2024ワークプレイスラーニングレポートでは、回答者の7割が「職場での学習が職場への愛着を高める」と回答しています。
しかし、多くの企業はこのような従業員の期待に応えられていません。ワークモニターによると、従業員の3分の1以上が「現在の職場ではL&Dの機会が得られていない」と回答しています。将来のキャリアが開けないと、エンゲージメントが低下し、仕事への満足度も下がります。
その結果、転職を考える人が増え、離職率の上昇や採用コストの増大につながる可能性があります。
- 深刻化するスキル不足への対応 - 企業にとって必要なスキルを持つ人材を見つけるのは簡単ではありません。特に大企業の人材確保の競争はますます激しくなっています。EUの統計機関「ユーロスタット」のデータによると、2023年には75%の企業が「必要なスキルを持つ人材を採用できない」と回答しており、この数字は2018年の42%と比較して大幅に増加しています。
このような厳しい環境では、すでにいる従業員のスキルを向上させることが最も効果的な解決策となります。そのため、L&Dの仕組みを強化することが重要になるのです。
- 技術とビジネス環境の変化への対応 - ビジネス環境は急速に変化しており、ときには大企業でさえ対応が追いつかないこともあります。例えば、新型コロナウイルスのパンデミック時、多くの企業はリモートワークの導入に伴い、マネジメントやデジタルスキルの強化を迫られました。現在では、AIツールの急速な発展に適応するための変革が求められています。
しかしながら、多くの企業がまだ十分な対応ができていません。ワークモニター2025の調査では、36%の従業員が「将来に備えるためのスキル向上の機会がを十分に無いと感じる」と回答しています。従業員のスキル向上は、企業の競争力を維持するためだけでなく、魅力的な雇用主であり続けるためにも欠かせません。
L&Dとキャリアパスの結びつき
ここまでL&Dが企業全体にもたらす主なメリットについて紹介しましたが、キャリアパスの支援という面でもプラスの影響があります。
- L&Dはキャリアの前進に欠かせない要素- L&Dは、キャリアパスの土台とも言える存在です。従業員が管理職へステップアップしたり、専門分野にシフトする過程で、知識・スキルの向上が求められます。L&Dの支援が不十分だと、キャリアの停滞を招き、エンゲージメントの低下につながる可能性があります。しかし、L&Dプログラムが適切に設計されていれば、キャリアの進行スピードに合わせてスキルを習得できるようサポートし、従業員が次の役割へ自信を持ってチャレンジできるようになります。
- キャリアパスがL&Dの方向性を明確にする -全社で行うL&D施策は、業務上必要なスキルの習得には有効なものの、必ずしも全員にとって必要なスキルとは限りません。フォーブスによると、「研修の内容が一部の従業員にしか響かない場合、組織全体の文化や行動を変えるのは難しくなる」と指摘されています。
しかし、キャリアパスが明確であれば、L&Dの内容を個々のキャリアプランに合わせることができます。その結果、従業員にとっての研修の価値あがり、学んだスキルを実際の業務に活かしやすくなります。キャリアパスは、単なる長期的な目標ではなく、今後必要となるL&Dの指針にもなるのです。
L&Dを活用したキャリアパス支援
L&Dの取り組みは、事業内容や優先事項によって幅広く展開されます。特定のチーム向けの施策もあれば、全社的に影響を及ぼすものもあります。L&Dを活用したキャリアパスを考えるうえで、特に重視すべきポイントを見ていきましょう。
次世代リーダー育成のためのスキル習得 - 管理職やリーダー職を目指す場合、専門分野の知識を深めるだけでなく、マネジメントスキルやリーダーシップの習得も欠かせません。
特に、組織の継続的な成長を支える「サクセッションプラン(後継者育成計画)」においては、次世代リーダーの育成が重要です。たとえ特定分野の専門知識やスキルが豊富でも、必ずしも優れたリーダーになれるとは限りません。キャリアアップを成功させるためには、業務遂行能力だけでなく、チームマネジメントやコミュニケーションなどの「ソフトスキル(パワースキル)」も欠かせません。
専門スキル習得のための外部リソース活用 - 社内の知見を活かしたメンタリングやコーチングは、L&Dにおいて有効です。しかし、十分なノウハウがない場合、外部のリソースを活用する必要があります。
たとえば、専門資格の取得、外部研修の受講、さらには他社への一時的な出向などが有効な手段になり得ます。企業としても、業務と学習を両立できる環境を整え、従業員が新しいスキルを習得しやすい仕組みをつくることが重要です。
部門を超えた学びの機会提供 - 社内にある様々な知見を活かし、従業員のキャリア形成を後押しする方法もあります。特定のスキルや知識の習得だけでなく、異なる部門との連携を通じた経験も、キャリアの成長に大きく貢献します。
たとえば、財務部門のメンバーがプロジェクトマネージャーと一定期間業務を共にすることで、プロジェクト計画の立て方、リソースの配分、顧客対応の実務などを学ぶことができます。こうした経験を経ることで、財務部門に戻った際にも、より広い視野を持って業務に取り組めりでしょう。
キャリアパス計画書を活用
L&Dとキャリアパスは密接に関わり合っていますが、まずは従業員のキャリア志向を理解することで、L&Dの方向性を決めることができます。
当社のキャリアパス計画書は、従業員とともに活用できる設計になっており、現在の役割や将来のキャリアについて適切な質問をすることで、計画の土台を築くのに役立ちます。完成後は、継続的なキャリアプランニングの基礎資料として活用できるため、長期的な成長のサポートが可能です。
このテンプレートをダウンロードし、必要に応じて自社の要件に合わせてカスタマイズしながら、従業員の未来をともに築いていきましょう。