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人材活用のヒント コールセンター編 第7回 センター生産性の向上 Part.2
1.生産性向上を優先したときの弊害
放棄呼発生が壁面ボードに点滅表示された瞬間にSVが立ち上がり、「放棄呼が発生しています!対応は手短に!」とブースを歩き回っている光景を見たことがあります。果たしてこれは正しい対応なのでしょうか。目の前のお客さまをないがしろにしてまでも放棄呼削減を最優先するのでは本末転倒です。
どうすれば放棄呼を出さずにより多くのお客さまに対応できるのでしょうか。簡潔明瞭なトークを身につけATT(平均通話時間)を短縮する。テキパキと事後入力処理(ACW)を行い、次のコールに備える。つまりAHT(平均処理時間)を短縮できれば多くのコール対応ができます。しかし、生産性をやたら上げようとするとコミュニケータの反感を招き、ほとんどの場合失敗します。
まずは、個々のコミュニケータの現在位置を把握することから始めるべきなのです。
2.品質と生産性の現状を知る
モニタリングやテープチェック評価点を「コール品質」、平均処理件数やAHTなどの数値を「生産性」ととらえ、コミュニケータ一人ひとりが全体の中でどこに位置しているのかをプロット図に落とし込むことをまずお勧めしています。問題解決の糸口は必ず現場に潜んでいるからです。
品質を縦軸に、生産性を横軸においてプロットすると、大きく4つのグループに分けることができます。それぞれのグループごとにブラッシュアップ教育のカリキュラムは異なるのです。また、ベンチマークすべきコミュニケータ像も明確になります。
そして、次に着手すべきなのがAHTの妥当性を知るためのコールフロー分析と事後処理フロー分析です。
3.AHT(平均処理時間)の適正分析
【1】ATT(平均通話時間)の短縮
通話時間はお客さま次第なのでコミュニケータの責任ではありません。会話を省略して切り急ぐわけにはいかないからです。しかし、説明の仕方が悪くなかなか理解してもらえない、知識不足で保留が多いというのはコミュニケータの指導育成ができていないセンター側の責任です。
そこで極端に通話時間の長いコールを抽出し、コールフロー分析をすることをお勧めしています。例えば、10分以上かかっているコールを選んで、テープ起こしでテキスト化し、会話全体の流れを工程別に分割して分析するのです。問い合わせニーズを正確に把握しないまま2度3度同じことを繰り返して説明していたり、無意識に専門用語を使って難解にしていたりする現実が見えてきます。適切なスクリプトを作成して研修時に使うことでケース別のロープレ研修ができるようになります。
【2】ACW(後処理時間)の短縮
お客さまとの会話が終了すればあとは社内処理業務です。AHTの短縮を考える場合、やはりここに注力すべきです。長時間コール分析と同様に後処理(ACW)工程の長いコールを中心に業務処理を工程別に分析をしてみると、そもそも事務処理が複雑だったり、他部署への確認が必要だったり、コメント入力欄が多すぎたりすることで長引くことが多いようです。この分析はシステムのバージョンアップ時に大いに役立ちます。わかりやすい入力画面でコミュニケータのACW時の負担を軽減させることが重要です。
処理フローの問題以外に、ACWはコミュニケータ個々の入力スキルに依存することも多いようです。入力の遅いコミュニケータやコメントのまとめ方が苦手なコミュニケータに対して、「PC入力処理訓練」「文章構成スキルアップ研修」を実施することも必要なことが見えてきます。リアルタイム入力ができれば ACWは限りなく短縮することができます。
また、VOC(顧客の声)分析を行なう場合には、お客さまの意見なのか、コミュニケータ自身の認識なのか区別がつかないことも多いので、明確に入力欄を分けることも必要でしょう。コメント入力方法で悩むコミュニケータも多いのです。
著者プロフィール
コールセンター専門コンサルタント 鈴木 誠 (すずき・まこと)
コールセンター新規設立やセンターの現状分析、改革に関するコンサルティング業務の中で、戦略立案、センターマネジメント確立、人材育成、品質向上、生産性アップ、スクリプト開発など幅広いノウハウを実務レベルで提供。セミナー講演やJTAスクール「スクリプト作成講座」の常任講師も担当。
*本記事は過去に公開した内容を再編集して掲載しております。