【創業期のエンプロイヤーブランディング】 社員の成功を顧客満足と会社のゴールへとつなげる

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セールスフォースにて重責を果たしてきた宮﨑氏は、かつて勤めた会社で会社更生法や民事再生法も経験。決算の重要性を身をもって知っているからこそ、ブラックラインで日本の経理財務や経営への貢献を目指します。

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宮﨑 盛光氏
ブラックライン株式会社(https://www.blackline.jp/
代表取締役社長

新卒で入社したリース会社では、中小企業の決算書から与信・ファイナンスの提案を経験。海外留学などを経て、(株)セールスフォース・ドットコムにてエンタープライズ企業向け営業部門常務執行役員を務める。2021年2月より現職。

 

セールスフォースにて、12年以上にわたりCRMのDXに貢献してきた宮﨑氏。輝かしい経歴のようですが、新卒で入社した会社ではわずか半年で会社更生法の適用を、米国留学を経て帰国後に入社した会社は民事再生法の適用を受けるという苦い経験も味わっています。

経理財務や決算の重要性を身をもって知っている宮﨑氏が、ブラックラインで目指しているのはどんな世界なのでしょうか。大きな可能性と伸びしろを持つ急成長期のスタートアップ企業が取り組む、エンプロイヤーブランディングとは。

 

世界を変えようとするメンバーが集うブラックライン

――ブラックラインのサービスについて教えてください

BlackLineは、これまで人の手を介して処理されていた決算業務の効率化・デジタル化を支援するクラウドソリューションです。経営層が意思決定を正しく迅速に行えるよう、足元の数字をできるだけ精緻に・できるだけリアルタイムに提供する。

企業にはERPと言われるような基幹システムがありますが、経営層や投資家が意思決定をしていくためには、わかりやすい決算書に落とし込む必要があります。しかし基幹システムと決算書作成ツールの間のプロセスが、日本の企業はほぼマニュアル作業。紙で人手を介してハンコをもらったり、監査法人との確認業務はメールとエクセルでやり取りしたりというプロセスがあります。それをすべてクラウド化し、可視化・標準化、自動化や統制強化、決算開示早期化などを支援するのがBlackLineです。

 北米や欧州ではすでに20年以上の歴史があり、大企業の約6割に利用されていてコロナ前からデファクトスタンダード化しています。日本に進出してきたのは3年ほど前でまだ有名ではありませんが、昨今のSDGsの流れでのペーパーレス化や働き方改革、人材獲得競争などを背景に、お引き合いをいただくケースが非常に多くなっています。

 

――ブラックラインの社風を教えてください

私たちは、カルチャーの言語化を目指していて、日本法人の全社員30人に「ブラックラインはどんな会社かな」と聞いてみました。出てきている代表的な言葉としては、一体感がある、自分ごととして捉える、活気がある、笑いが絶えない、世界を変える、ブラックラインに愛着がある、Happy Customerを創出したい、マウンティングされない会社、などです。

中途採用中心なので、社員はプロフェッショナリズムのあるメンバーばかりです。でも決して過去の経験やスキルに依存してマウンティングすることなく、相談にも乗るし、お節介なほど人に教えるということが好きな人が多い。その結果として、こんなカルチャーができあがってきています。

 

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活発なコミュニケーションと言語化でカルチャーを醸成

――一体感はどのように醸成されているのでしょう

コミュニケーションというのはどこかで壁ができたり行き違いが起きたり、特にリモート環境だとテキストメッセージ中心になるので「そういう意図じゃなかったのに」ということがあるように感じます。その辺には私自身が首を突っ込んでいき、見逃さないようにしています。
私は前職では100人ぐらいのチームのリーダーだったので、その辺りの感度が自ずと鋭くなったのかもしれません。常にすぐその場で解決するというマインドセットで向き合っています。

また、先日はマネジメントミーティングで、マネージャーの皆さんに2つの言葉を言わないようメッセージしました。1つは「これは自分の仕事じゃない」ということ。小さい所帯でこれは誰々の仕事と言うとサイロ化が起こるので、オーバーレイしていこうと。私自身もそれはしないしマネージャーもしないように約束しました。もう1つが「リソースが足りないから厳しい」という言葉。創業期なので、全員が厳しいんです。

現場から「そういう言葉が聞こえてきている」というのがあったので話したのですが、その2ヶ月後には「一気に解決された」という声が出てきています。マネジメントも自分ごととして気をつければ、それは現場に伝わる。それも成功の秘訣かと思います。

 

――言語化にこだわっている印象ですね

リモートで仕事をする以上、どうしても対面のコミュニケーションは減ります。今まで対面で伝わっていたコミュニケーション量が10だとすると、オンラインになると2と言われている。さらにテキストメッセージ中心となると、言葉の持つ意味・重みの比重が非常に高くなるので言語化にはこだわっています。

例えば、「今日もすみません、よろしくお願いします」と言うのと「今日もありがとうございます、よろしくお願いします」と言うのでは、日本語では同じ意味かもしれない。でも使うならポジティブな方がいいですよね。

 

――グローバルとはどのような関係でしょうか

この規模感のグローバルカンパニーなので、グローバルとのコミュニケーションは時には負荷に感じることもありますが、ポジティブにそれがあるから入社して働いているというのもあります。特にマネジメントに求めてるのは、それぞれが個々にグローバルのメンバーと定期的にコミュニケーションを取ること。そうすることで、グローバルからのベストプラクティスが直接入ってくるからです。私がすべて集約してしまうと、オーバーヘッドになってしまいますので。

グローバル全体がサポーティブなので、現場のメンバーも定期的に個別にコミュニケーションを取っています。気楽な関係性でチャットしたり、色々な人と接点を持ったり。
まだグローバル全体でも1,500人くらいの所帯であり、さらに約半数が経理財務に携わっていた公認会計士や税理士などのメンバー。「BlackLineでこの世界を変えたい」というマインドセットを本当に持っている方たちが集まり、一丸となっているイメージです。

 

社員のパーソナルゴールを実現させるフィロソフィー

――ワークライフバランスは実現していますか

ここは会社のフィロソフィーとしてとても重要視しています。社員はそれぞれのパーソナルゴールを持っていて、それを会社のゴールに紐づけていくのが社長業、それを実現するためのプラットフォームが会社だと私は思っています。

世の中にどれだけニーズがあり、どれだけチャンスがあろうとも、私たちが満足や成功していないと、きちんとしたサービス・満足できるサービスを提供できない。ですから我々のミッションでは「customer success」だけでなく「our success」も掲げています。

具体的には働く場所にとらわれない「Work from Anywhere」。コロナになる前から、社員の方々に「どういった働き方で、どういった時間に働くことが、自分たちのサクセスにつながるか」を考えていただき、皆さんに働きやすい環境や時間で働ける仕組みを提供しています。

これは言葉にするのは簡単なんですけれど、意外と、特に内資の会社はできてない。でもブラックラインは間違い無く自信を持って「本気でやってます」と言い切れます。

代表的なのがマーケティング本部で、本部長は名古屋に、メンバーはロンドン、館山、大阪にいます。それでも業務が回る仕組みを提供している。絵に描いた餅ではなく、絵に描いたら実現するというマインドでやっています。

さらに社員がそれで本当に満足しているかどうかも定点チェックしています。コンストラクティブフィードバックと言いまして、働きがいランキング5年連続ナンバーワンで有名なコンカー代表の三村さんに教えを乞うて、どうやって社員からのフィードバックを受けるのかというのを教えていただきました。
それをそのまま真似して、社員の方々から建設的なフィードバックをもらい、それをおざなりにすることなく全部対応していく。それで働きやすい環境を実現していっています。

 

――ミッションを実現するための課題感はありますか

採用面接のときに、「御社は『Work from Anywhere』と謳っていますが本当ですか」「リモートワークできますか」という質問をすごく頻繁に受けます。それを目の当たりにしているので、市場での企業を見る目という意味で、このやり方や方針を変えずにどこまでやれるか。もちろん私は変えないとコミットしていますが、今の30人くらいの所帯が50人100人になった時に、Work from Anywhereを実現しながらこのカルチャーをいかに維持していくのかというのが課題ですね。

 

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エンプロイヤーブランディングの取り組みとこれから

――エンプロイヤーブランディングの方針は

色々な会社があり、それぞれいいところがある。それぞれの会社がそれぞれのキャンディデートにとって「価値観」がマッチするという時があると思います。例えば“世の中を変えたい”というキャンディデートが人生を振り返った時に、「この時期にこの会社にいて本当によかったな」「ターニングポイントだった」と転職したタイミングを思い出せるような、記憶に残る仕事場を提供すると私はコミットしてます。「私たちがこの世界を創ったんだ」と誇りに思える日が来る。それがブランディングです。

 

――具体的な取り組みはありますか

エンプロイヤーブランディングを含めたWEBハイアリングセミナーを四半期に一回実施しています。そこでは私やプレゼンテーターが一方的に説明するのではなく、実際に社員がどう感じているのかをセミナー参加者に知っていただく機会を作っています。現場の社員を選抜して、毎回自由闊達に、どんな会社かと色々しゃべってもらっています。

さらに、お付き合いのあるエージェントの方々により深く我々を理解していただくために、リクルートエージェントアワードを作りました。ランスタッドさんが昨年のMVPなんですけど、我々だけでなく仲間を増やしてコーポレートブランディングやエンプロイヤーブランディングに取り組んでいます。
ブラックラインはすごくいい会社で魅力的なコンテンツもすでに揃っているので、あとはそれを知っていただく取り組み、発信の方法などをこれからも工夫していきます。

 

――ブラックラインの未来像を教えてください

明確に掲げているのは、日本でもBlackLineをデファクトスタンダード化するということ。これは「日本のすべての経理財務の方々が、経営の羅針盤となる世界を創る」ことと定義し、全社員一丸となって目指しています。
具体的なスパンで言うと、グローバル全体で2025年を一つのターゲットにしていて、そこに向けて今の約500億の売上を1千億にしていく計画です。

世界のGDP比で見ても、日本の市場には大きなポテンシャルがある。我々がビジネスを成長させ目標を実現することで、日本の経理財務の皆さんに明るい光が当てられると信じています。

(肩書きは取材時のものです)

2021年エンプロイヤーブランドリサーチ国内レポートダウンロードはこちら

 

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