ポストコロナ時代を描く~展望2022(1)

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ポストコロナ時代を描く「2022年」がスタートしました。新型コロナウイルス感染防止策として移動制限や営業自粛を余儀なくされ、20年初めから日本経済は低迷。約2年にわたって「コロナとの共存」を探ってきた日本国内には、年始早々から広がるオミクロン株を乗り越え、攻勢に転じる足掛かりの年にしたいとの願いがあります。

2022年はどのような年になるのか。経済や社会などの注目すべき動きを押さえて展望するとともに、企業に役立つ情報として今年施行される改正労働法についてポイントを紹介します。

 

「展望2022~ポストコロナ時代を描く」は、本日12日を初回に、1月19日と同26日の全3回にわたってお届けします。19日は社会、26日は改正労働法となります。

 

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経済~回復軌道の日本経済、生活と仕事の「ハイブリッド型」

新型コロナの襲来は、世界の経済活動を停滞させました。長期間にわたる変異ウイルスとの闘いはしばらく続きそうですが、ワクチン接種の広がりや抗ウイルス服用薬の開発などで、2022年の経済は回復軌道に向かい、マイナス成長からプラスに転じると見込まれています。

 

これは、コロナ前のスタイルに戻ることを意味していません。コロナ禍で緊急避難的に取り込んだ仕組みや手法を活かした「ポストコロナ時代」のカタチです。仕事ではリモートワークなどの変化、生活では「巣ごもり需要」と呼ばれる消費スタイルなどが新しい文化として認知され、コロナ沈静化の流れにあっても従来型とミックスした「ハイブリッド型」が標準となっていくでしょう。

 

コロナ禍での経験は、すべてがネガティブな影響ばかりではありません。例えば、医療や教育をはじめとする各分野や産業でもオンラインの利活用が前倒しで進化し、経済視点でみると、デジタル・トランスフォーメーション(DX化)の加速に向けた投資が拡大します。こうしたコロナ禍を乗り越える術(すべ)を多面的に描いていこうと進む「元年」となるのが、2022年だと言えます。

 

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個人消費の回復が景気浮揚のカギ

ワクチン接種率が人口比で8割近くに上る日本。緊急事態宣言が解除された昨年10月以降でも、オミクロン株の襲来で一進一退を続けていますが、コロナ禍で最も停滞を余儀なくされた飲食や宿泊などサービス関連を筆頭に、国内の経済活動は再開の道を探っています。今年は段階的に経済の正常化が進む展開です。

 

金融機関やシンクタンクの予想をみても、新型コロナ3年目の日本はウイルスとの共存を前提とした再始動の道を歩むとみています。欧州や近隣のアジアの国でも再拡大の傾向があるために予断は許しませんが、日本の地形的条件に加え、昨年までの反省に照らしたワクチンの定期的な接種、PCR検査の拡大、病床数を含む医療供給体制の強化などで、マイナス要素は最小限に抑えられると期待されています。

 

今年の景況を占ううえでカギを握るのが個人消費です。コロナ禍前との比較で、この2年間で40兆円規模が家計に“閉じ込められた”との試算があります。この家計貯蓄がどれだけ消費に回るかがポイントで、春の大型連休をまたいで実施される見込みの「Go Toトラベルキャンペーン」第二弾などの政府支援策も注目されます。観光や飲食、イベント関連ではない産業においても、ポストコロナを探る創意工夫や開発投資のなかで、停滞していた2年間とは異なる景況感を体感できるものとみられます。

 

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雇用労働は業種間で差、人材不足は顕著に

2022年の雇用労働の環境はどのようになるのでしょう。端的に言えば、人材不足が逼迫している業種と雇用過剰にある業種が存在しており、「労働移動の必要性」が一段と高まると予測されます。世界各国に比べて日本の生産性が低い要因は、人材の流動化が鈍いことにあると指摘されていますが、雇用の硬直化に限界がきています。

 

コロナ禍で雇用過剰にある宿泊・飲食サービスなどでは、無人化をはじめとする省力化投資が活発に展開されています。そのため、個人消費の活発化でこれらの分野で需要が回復しても、労働需要はかつての水準まで戻らない可能性があります。都心と地方、若者と高齢者にかかわらず、雇用の最大の受け皿となっていた印象が強い宿泊・飲食サービスですが、人手不足がより強い別の業種への誘導が必要となるでしょう。

 

ただし、需要が減っているのはサービスや販売が中心で、人材確保に旺盛なのはDX人材など専門的・技術的職業となっているため、現状では労働者のスキルに差異があります。労働移動を促すには、単に市場の動きに委ねるのではなく、スキルギャップを埋める政策的支援が不可欠。政府は2025年までにデジタル企業への変革を完了させることを提唱していますが、この実現に向けて企業への推進支援事業を積極的に実施する方針です。世界各国に比べて日本の生産性が低い要因は、人材の流動化が鈍いことにあると指摘されているだけに、雇用の硬直化を打破する政策が活発になる見通しです。

 

<2022年・主なスケジュール>

1月14日~16日:幕張メッセで「東京オートサロン2022」開催

1月28日~30日:東京ビッグサイトで「東京eスポーツフェスタ」開催

2月4日~20日:中国 北京で冬季オリンピック開催

春:日産と三菱自動車が共同開発した「軽EV」車が発売開始

3月4日~13日:中国 北京で冬季パラリンピック開催

3月6日:「東京マラソン2021-2022」開催

4月1日:民法改正で成年年齢が20歳から18歳に引き下げられる

4月中:PayPayとLINE Payが「PayPay」へ統合

5月15日:沖縄が本土復帰(沖縄返還)から50周年

6月10日:銀座 和光本館が改装。「SEIKO HOUSE GINZA(セイコーハウスギンザ)」として新装開業

夏:東京駅八重洲口に「東京ミッドタウン八重洲」が開業予定 

7月:任期満了となる参院選(半数改選)実施

8月31日:お台場パレットタウン内「パレットタウン大観覧車」が営業終了

10月:航空会社「AIR DO」と「ソラシドエア」が統合

12月:木造復元された名古屋城天守閣が竣工

12月:大丸梅田店に「Nintendo OSAKA」がオープン

 

筆者プロフィール

株式会社アドバンスニュース
専務取締役報道局長
大野 博司 氏
 
1970年、青森県出身。中央大学大学院戦略経営研究科(MBA)修士。
1994年、日本新聞協会加盟の地方紙に入社。社会部、教育、核燃料サイクル、水産、港湾物流、政経部を経て2004年に報道デスクに就任。
'05年に東京支社で国会取材担当兼論説委員に就き、主に厚生労働省と経済産業省、内閣府の分野を取材。海外取材は、労働行政や水産・物流をテーマに韓国、中国、オーストラリアを訪問。
'10年にインターネット報道を主体とする株式会社アドバンスニュース(日本インターネット報道協会加盟)の設立に参加し、現職は専務取締役報道局長。
労政ジャーナリスト(日本外国特派員協会)として長年国会や政府関係者に取材、国の労働政策に造詣が深い。

取材・文責
(株)アドバンスニュース

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