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70歳までの就業機会、企業が選ぶ「7つの選択肢」とは
70歳までの就業機会の確保が、高年齢者雇用安定法の改正で今年4月から企業の「努力義務」になりました。将来的に完全義務化となる可能性もあります。最大の特徴は、単に定年延長などの継続雇用だけでなく、フリーランス契約、個人の起業支援が機会確保の選択肢として加えられたことです。
従来までの高年齢者雇用安定法では、希望者全員に対し65歳までの雇用が義務付けられていました。今回の改正で、65~70歳までの雇用を企業の努力義務にしました。
●企業が選ぶ「7つの選択肢」
これに対応するため、企業には「7つの選択肢」があります。冒頭にも記した通り、「雇用以外の対応」という新しい観点も盛り込まれています。
まず、雇用によるものとしては、
(1)定年制の廃止
(2)70歳までの定年延長
(3)継続雇用制度の導入
(4)他の企業への再就職支援
があります。
また、雇用以外の対応として
(5)フリーランスに転向する高齢者への業務委託
(6)起業する高齢者の業務委託
(7)社会貢献活動への従事を支援
――が挙げられます。
(1)と(2)はハードルが高く、就業規則を変更して実現するには数年かかりそうです。(3)は子会社やグループ会社での雇用確保でも可能。(4)は70歳まで他の企業で働けるように企業間で雇用契約を締結する仕組みです。
(5)と(6)の対応は類似しており、定年後や65歳までの雇用終了後にフリーランスまたは起業する人と70歳まで継続的に業務委託契約を締結する手法です。そして、馴染みが薄いのが(7)です。これは、企業で実施する事業か、企業が委託・出資(資金提供)する事業に有償で70歳まで従事してもらうものです。(4)から(7)を組み合わせて70歳になるまで運用することも認められています。
●対象者を限定することも可能
65歳以降の高齢者は、体力や健康状態のほか、本人を取り巻く状況が多様であるため、企業は雇用延長の対象者を限定することが認められています。その際は、基準を労使間で合意しておく必要があります。
意欲のある人が働ける環境を整えることを目的にした改正法ですが、厚生労働省によると、「60~64歳」で就労を希望している人は68.7%、就業率は66.2%と意向がほぼ一致。一方で、「65~69歳」になると、希望が65.4%なのに対し就業率は44.3%とズレが生じています。この差を埋めるために、まずは努力義務でスタートしたものです。
取材・文責
(株)アドバンスニュース