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男性育休、普及の方策を探る 「事前の準備がカギ」、労政フォーラム
来春から順次施行の改正育介法を控え討論
労働政策研究・研修機構の労働政策フォーラム「男性の育児休業」が10月8、11日の両日開かれ、男性の育休取得の課題について議論しました。同機構の池田心豪・主任研究員が「男性育休の考え方」と題して問題提起し、厚生労働省の古瀬陽子・職業生活両立課長が育児・介護休業法の改正ポイントを解説、同機構の藤沢美穂・統括研究員が企業13社からのヒアリング結果を報告しました。男性の育休取得率は年々上昇し、20年度は12.65%の二ケタに乗せたものの、女性の81.6%に比べればまだ超低率で、取得期間も大多数が2週間未満と短いのが現実です。
これを打破するため育介法を改正して、産後8週間以内に最大4週間、2回の分割取得を可能にし、企業に説明を義務付けるなどの措置を講じました。来年春から順次施行されますが、「今後は育休の取り方という質が課題になる」(池田氏)見通しです。
先進事例集では日本生命の宇田優香・人材開発部室長▽積水ハウスの森本泰弘・ダイバーシティ推進部長▽IT企業、コーソルの松浪暁子・支援本部長の3人が報告しました。宇田氏によると、日生が13年度から始めた「男性育休100%取得」運動により、20年度までに男性社員の4人に1人にあたる累計約1900人(平均取得日数8日)が取得。森本氏は、同社トップが北欧の実態を見て18年度に「男性社員1カ月以上の育休完全取得」を宣言。トップダウンが奏功し、累計で全対象者の男性1052人が1カ月以上の育休を取った、と説明しました。
松浪氏は、社長らのトップと社員の個別面談など、社員148人の中小企業ならではのきめ細かい取り組みを続けた結果、今年度は全男性が長期休暇を取得する(累計平均日数58日)という成果を披露しました。
パネルディスカッションでは育休取得の意義や実務的な課題が取り上げられ、3社とも社内評価としては賛否両論があるとしながらも、「取得期間の予定や仕事の割り振りなど、事前の準備をしっかりしておくことが重要」(森本氏)、「上司面談などを通じて予定を伝えておけば、職場の理解を得られる」(宇田氏)などの意見が出た。また、「なぜ有給休暇ではなく育休なのか、という目的意識を持つことがカギになる」(宇田氏)との指摘もありました。
育介法の改正については、「今でも4分割取得者が多く、改正法による分割取得は当然」「労務管理上の課題はあるが、取得しやすくなることは間違いない」といった意見が出た一方で、「有給化」については「育休以外の休暇とのバランスや財源上の問題もあるので、実現は今後の課題」(宇田、松浪氏)としています。
中小企業が踏ん張って「減収増益」
東京商工リサーチが10月13日発表した全国企業約17万社の21年3月期決算は「減収増益」となりました。コロナ禍で売上高は減ったものの、人件費削減などの企業努力や各種支援金などの下支えによって利益を確保したとみられます。同社は「1年半以上に及ぶコロナ禍で企業の疲弊感が募る中、緊急避難的な支援はいずれ終了するため、支援頼みの経営は限界に来ている」と厳しい見方をしています。
増収企業の割合は、大企業が32.1%(前期比15.8ポイント減)、中小企業が37.5%(同9.8ポイント減)で、企業規模を問わず大きく減少。しかし、利益総額(当期純利益)は38兆8709億円(同5.2%増)と増え、大企業の増益比率が同1.1%減だったのに対して、中小企業は同44.6%増と大幅改善したのが目立ちます。
同社によると、大企業は売り上げ不振、設備などの減損処理などで最終赤字が膨らむ企業が多かった一方、中小企業は固定費の圧縮効果、雇用調整助成金や持続化給付金の補助が増益につながったとみられます。
取材・文責
(株)アドバンスニュース