派遣「労使協定」、来年度の賃金水準を公表 派遣元と派遣先の協力が不可欠

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派遣法「労使協定」 、厚労省が来年度の賃金水準を公表

 厚生労働省は、派遣元が「労使協定方式」を採用する際に用いる来年度適用分の職種別一般賃金水準を公表しました。昨年4月施行の改正労働者派遣法に基づく対応で、「局長通達」として示しました。来年度適用分の一般賃金水準については、原則通り「直近の2020年(度)の統計調査等を用いる」こととし、雇用の維持・確保の観点から昨年設けた「例外的対応(前年水準の維持)」は継続しません。改正派遣法の施行から来年度で3年目を迎えますが、新型コロナの影響などで運用方法が変わるため、派遣元と派遣先の理解と協力が重要です。

厚労省は昨年、「新型コロナウイルス感染症拡大が経済と雇用に与える影響を見極めたい」として、対応策を検討。その結果、「原則として直近の統計調査を用いる」とする一方で、労使で合意した場合に限り、「現時点で適用中の水準を維持すことも可能」とする例外的対応も示しました。
 これに対して今回は、
(1) 20年(度)の統計調査には新型コロナの影響が反映されている
(2) 直近の派遣労働者の雇用者数(今年4~5月)は前年同月、前々年同月ともに増加している
――を理由に「例外的対応」の措置をとりません。

20年「賃構統計」と20年度「ハロワ統計」を基礎に算出

 いわゆる「同一労働同一賃金」に伴う昨年4月施行の改正労働者派遣法は、派遣労働者の賃金や待遇について「派遣先均等・均衡」か「派遣元の労使協定」のいずれかの待遇決定方式を義務化。この選択制2方式のうち、「労使協定方式」を選んだ場合には、局長通達の一般賃金水準より同等以上であることが要件となっています。派遣元の9割以上がこの方式を選択しています。
 施行2年目の現在運用されている水準は、コロナ禍前の「19年賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金」(賃構統計)と、「19年度職業安定業務統計の求人賃金を基準値とした一般基本給・賞与等の額」(ハロワ統計)の2種類が基になっています。
 一方で、今回公表された来年度適用分は、20年の「賃構統計」と20年度の「ハロワ統計」を基礎とし、一般賃金水準に用いる各指数も更新されています。中身を見てみると、能力・経験調整指数については全体として横ばいかやや下がる職種が多い傾向がみられます。もちろん、いずれの統計を用いるかによって数値は異なり、一般賃金の水準自体は職種ごとに上がったり下がったりしているため、実際に適用される一般賃金の内容を必ず確認する必要があります。
 来年度の一般賃金の概要をまとめると、
(1)賞与指数 0.02(変更なし)
(2)能力・経験調整指数 変更
(3)学歴初任給との調整 12.6%→12.7%
(4)一般通勤手当 74円→71円
(5)退職金割合 6%(変更なし)

「賃構統計の集計方法」「地域指数の算出方法」も変更

 2つの統計を基に職種別一般賃金水準をはじき出すのですが、そうした集計方法などには「乱高下のない安定した運用につながる賃金水準」が望ましいという観点に立ち、今回新たに「賃構統計の集計方法」と「地域指数の算出方法」を単年ではなく3年分の平均値に変更しました。 
 導入前から「複雑かつ難解」(労働政策審議会・公益委員)との指摘も挙がっていた改正派遣法の「労使協定方式」だけに、現場の運用に際しては派遣元と派遣先の連携と情報共有が例年以上に大切です。

【厚生労働省ホームページより】
労使協定方式(労働者派遣法第30条の4)「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00001.html


取材・文責
(株)アドバンスニュース

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