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最低賃金、40都道府県で28円アップ “凍結”から一転、7県で目安超え
平均改定額930円、引き上げ額は過去最高
厚生労働省は8月13日、都道府県ごとに決める2021年度の地域別最低賃金について、全都道府県の改定額が出そろった、と発表しました。中央最低賃金審議会(厚労相の諮問機関)は全国一律で3.1%アップにあたる28円(加重平均)の引き上げを目安としましたが、目安通りの結果となった格好。これにより、平均改定額は930円となり、引き上げ額は1978年の目安制度開始以来の最高です。新型コロナの影響で大幅な売り上げ減に見舞われている業種や、中小・零細、個人経営には厳しい着地となりました。新しい最低賃金は10月1日以降、順次適用されます。
28円引き上げるのは東京都など40都道府県で、青森、山形、鳥取、佐賀の4県が29円、秋田県と大分県が30円、島根県が32円と目安を超えています。最高の東京都は1041円、最低の高知、沖縄両県は820円となり、両者の開きは21.2%で、前年より0.6ポイントより縮小しました。
通常、目安は賃金水準の高低によってA~Dランクに分かれ、各ランクに応じた目安が示されますが、同審議会は今回、全国一律の引き上げ額を提示。地域による格差是正の観点から、水準の低いDランクの7県で目安を超える引き上げとなりました。
最低賃金は昨年、新型コロナウイルスの感染拡大による先行き不透明から、同審議会は「現行水準維持が適当」として引き上げの目安を示さず、その結果、1円増の902円、0.1%の引き上げにとどまりました。今年はその"反動"で大幅引き上げとなりました。
6月現金給与総額、4カ月ぶりマイナス
厚生労働省が8月6日発表した毎月勤労統計の6月速報値(従業員5人以上)によると、労働者1人あたり現金給与総額は44万2148円(前年同月比0.1%減)で、4カ月ぶりのマイナスとなりました。昨年4月から今年2月まで11カ月連続でマイナスが続いていましたが、3月から5月まではプラス転換していました。実質賃金指数(2015年=100)も136.8(同0.4%減)で5カ月ぶりのマイナスとなりました。
就労形態別では、正社員が中心の一般労働者が59万1074円(同0.1%減)、パートタイム労働者が10万5399円(同0.2%増)。夏のボーナスにあたる「特別に支払われた給与」が正社員では25万2007円(同2.2%減)と減ったのが主要因です。残業代などの所定外給与は2万4137円(同19.4%増)となり、昨年5、6月の緊急事態宣言による大幅減少の反動増となりました。
産業別の伸び率では、「教育・学習支援業」が同7.5%減、「建設業」の同6.7%減などの減少幅が大きかった一方で、「鉱業・採石等」の同13.2%増、「電気・ガス業」の同8.8%増などが伸びました。
月間総実労働時間は140.7時間(同2.7%増)で、4カ月連続のプラス。常用雇用者は51 9 4 . 8万人で、パートタイム比率は30.70%(同0.03ポイント増)となりました。
中小企業は1.68%増の4376円、春闘
経団連は8月6日、今春闘における中小企業の妥結結果の最終集計を発表しました。それによると、従業員500人未満の370社の過重平均は4376円(前年比1.68%増)で、前年の1.70%増を0.02ポイント下回りました。コロナ禍の長期化により、今年は大企業の場合も伸び率は1.84%で、大手、中小とも2%台を割り込んでいます。
このうち、製造業236社では4633円(同1. 75%増)、非製造業134社では3971円(同1.57%増)で、製造業は前年より0.06ポイント下回りました。
取材・文責
(株)アドバンスニュース