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新型コロナの特徴は「女性不況」 母子家庭などを直撃、労政フォーラム
調査・事例報告とパネルディスカッションを展開
労働政策研究・研修機構と内閣府による労働政策フォーラムが6月下旬にオンライン形式で開かれ、「新型コロナによる女性雇用・生活への影響と支援のあり方」について調査・事例報告とパネルディスカッションが行われました。同機構の周燕飛・客員研究員が「コロナ禍での女性雇用」と題して課題提起し、今回の事態を「She-cession」(女性不況)と位置付け。非正規の女性が多く就労している対面型サービス業がコロナ禍に直撃され、失業して家庭に入ったり、休業を余儀なくされる人が多く、それが不況の最大要因だとする説で、各種統計を基に解説しました。
東大大学院の白波瀬佐和子教授は、コロナ禍による男女のジェンダー格差は世界的に拡大していますが、日本の場合は元々が賃金などの格差があったところへ、コロナでそれが顕在化したと指摘。内閣府の矢野正枝・男女共同参画局室長、横浜市の植野ルナ・男女共同参画推進協会課長からは調査や相談事例などの報告がありました。
また、困窮家庭の支援活動に関わっているNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」の大西連理事長、同「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の赤石千衣子理事長が、それぞれの活動を通じた実態を説明しました。
大西氏によると、リーマン・ショック当時に比べると、今回は非正規、低収入、住み込み、ネットカフェ生活など、もともと生活基盤の弱い人々にコロナのシワ寄せがのしかかり、女性や若者からの相談や支援要請が急増。赤石氏にも同様に、「生活基盤の弱い母子家庭の困窮がひどい」と指摘しました。
政府や自治体などでさまざまな支援策を講じてはいるものの、PR不足や使い勝手の悪さなどできちんと機能しておらず、困窮者側の生活保護への強い拒否反応などもあり、赤石氏は「転職、職業訓練、副業支援など、どのような支援が有効か迷うケースも多い。また、現在の仕事が不利なことはわかっていても代えられないところまで追いつめられている家庭もある」と現状を訴えました。
大西氏も「今回は企業に対する雇用維持などの政策がメーンで、個人を支援する政策はあまりない。不況が短期で終えるという前提だからと思われるが、もっと使い勝手の良い制度を望みたい」と話しました。
解雇、雇い止め、退職勧奨が急増
厚生労働省は6月30日、2020年度「個別労働紛争解決制度の施行状況」を発表しました。それによると、総合件数は129万782件(前年度比8.6%増)と大きく増えましたが、そのうち民事上の個別紛争相談は27万8778件(同0.2%減)、労働基準法違反が疑われる件数は19万961件(同2.7%減)とやや減少しました。
総合件数はリーマン・ショック直後の09年度の約114万件をピークに減少傾向をみせたものの、15、16年度と2年連続で上昇。17年度は再び約110万件に減少、18年度の再上昇と"一進一退"の状態が続いていましたが、19、20年度と3年連続の増加となりました。
これに対して、民事上の相談件数は一貫して増加が続き、18、19年度と2年連続で過去最高を更新。20年度は微減となりました。このうち、労働局長による助言・指導の申し出が9130件(同7.5%減)、紛争調整委員会によるあっせん申請が4255件(同18.0%減)。コロナ禍で思うように活動できなかったことが主な原因とみられます。
民事上の相談件数(延べ34万7546件)のうち、最も多かったのは「いじめ・嫌がらせ」の7万9190件(同9.6%減)で、次いで「自己都合退職」の3万9498件(同1.5%減)、「解雇」の3万7826件(同9.4%増)などが上位を占め、例年と同じ傾向でした。「いじめ・嫌がらせ」は過去12年で急増しており、20年度は減少したものの、9年連続でトップとなっています。
取材・文責
(株)アドバンスニュース