個別の論点で議論一巡、雇用仲介研究会 今夏の報告書策定に向け加速

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来春、国会提出する職安法改正案の「たたき台」

 厚生労働省の有識者会議「労働市場における雇用仲介の在り方に関する研究会」(鎌田耕一座長)は6月8日、第15回会合を開き、5月25日から進めている個別の論点のうち、「職業情報・募集情報等の共通フォーマットの整備」「公共の役割」「求職者等の特徴・保護」「人材サービスの役割」「業界団体の役割」の5項目について議論を深めました。
 これで、全8項目にわたる個別の論点に関する議論は一巡。1月6日にスタートした有識者研究会(学者を中心に7委員で構成)は、次回以降、報告書の策定に向けて大詰めを迎えます。

 同研究会の議論は、来年の通常国会に提出予定の職業安定法改正案につながるもの。月3回程度のハイペースで精力的に会合を重ね、現状の実態把握と同時に課題を浮き彫りにしながら、その打開策などを探ってきました。報告書は、今秋にも始まる労働政策審議会の「たたき台」となる見通しです。
 個別の論点は、「ハローワークや職業紹介事業者に加え、求人メディアや新たな雇用仲介サービスを含めて労働市場の全体像を把握」「働く意欲を持つ人の立場に立ち、雇用仲介サービス事業者が守るべきルールの整備」「IT技術を駆使してマッチング機能を高めている新たな雇用仲介サービスについて一定の役割を評価し、イノベーションを阻害しないことに留意しつつユーザーが安心して利用できる環境整備」――を基本的な考え方に据えて検討。5月25日には「人材サービスの整理」、6月1日は「情報の的確性」「個人情報等の保護」をテーマに活発な議論を展開してきました。
 この日の議論で特筆されるキーワードは、「業界団体」「ハローワーク」「苦情処理」「リコメンド」「求人メディアの新形態」「法規制は薄く広く」――など。「職業情報・募集情報等の共通フォーマットの整備」では、厚労省が昨春開設した「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」について、「共通フォーマットとしては職業検索の種類がいささか古い」「就業前の若者には役立つが、年配の人にはいかがか」「衰退産業から成長産業の仕事に就くためにはどんなスキルが必要かなどの記載があると役立つ」など、同サイトをより効果的に運用するための助言が相次ぎました。また、労働条件以外の募集情報や求人者の職場情報などの開示が望まれる、との意見が多く聞かれました。
 「公共の役割」では、「ハローワークが障害者や高齢者など就職困難者のサポート支援を積極的に継続すべき」との認識で一致。「求職者等の特徴・保護」は、求人案内のリコメンドが応募やマッチングに有効に機能していることなどを共有しました。
 「人材サービスの役割」「業界団体の役割」では、同研究会の主題のひとつである「求人メディアの新形態サービス」などに触れ、「法規制は薄く広く。あまり細かいところまで規制すると自由度が損なわれて、先に進む動機付けを失う。労働市場の活性化と求職者の利便性向上にはマイナスだ」などの意見がありました。今後詰める報告書において、「法規制は薄く広く」の程度やレベルがどのような範囲に留まるのか、あるいは広がるのかといった点がポイントになりそうです。

4月現金給与総額、2カ月連続のプラス

 厚生労働省が6月8日発表した毎月勤労統計の4月速報値によると、労働者1人あたり現金給与総額は27万9135円(前年同月比1.6%増)で、2カ月連続のプラスとなりました。昨年4月から今年2月まで11カ月連続でマイナスが続いていました。実質賃金指数(2015年=100)も86.9で3カ月連続のプラス。正社員が中心の一般労働者が同1.2%増、パートタイム労働者も同4.8%増とどちらも増加。昨年4月の緊急事態宣言で、企業活動に急ブレーキが掛かり、残業代が減少して給与が同0.6%減少したのに対して、今年は"コロナ慣れ"でそれほどの落ち込みがみられなかったのが主要因です。


取材・文責
(株)アドバンスニュース

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