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企業側による「高額回答」相次ぐ 2025春闘、中小は5%を割り込む
実質賃金が安定的にプラス転換するか微妙
今年の春闘は予想通り、企業側による「高額回答」が相次いでいます。しかし、物価上昇も落ち着く気配はなく、働く人たちの実質賃金が安定的にプラス転換するかどうかはかなり微妙な情勢。
一方、高額回答にこぎつけた企業とそれ以外の企業との格差は拡大傾向を強め、連合の集計によると、集中回答日直後の3月14日時点(760組合)では、加重平均1万7828円、賃上げ率5.46%。そのうち、従業員300人未満の企業(351組合)は1万4320円、5.09%。第2回目の同19日時点では4.92%となっています。
賃上げ要求した3973組合のうち、回答を得たのはまだ半分以下であり、賃上げ額・賃上げ率とも今後さらに動く見通しですが、早期妥結せずに労使交渉が長引く場合は妥結額が下がる傾向にあることから、今後の平均が2回目集計を上回る可能性は低いとみられます。
連合は今回、平均賃上げ率について「5%以上、中小は6%以上」を大目標に掲げて臨みましたが、2回目時点で中小はすでに5%台を割り込んでおり、6%目標の達成はかなり厳しい状況です。
空前の人手不足となっているにもかかわらず、中小企業が大幅賃上げに踏み切れない背景には、大手と中小の間に横たわる賃金や生産性の大きな格差が容易に縮まらない現実があり、業績アップの見通しもないまま人材獲得に向けた「防衛的賃上げ」を余儀なくされている企業も目立ちます。
「今春闘の成否は中小の動向」として、例年になく中小の動向を強力支援する連合にとっても大きな試金石となっています。
帝国データバンクの調査によると、2月時点の企業の雇用動向は「正社員の採用予定がある」企業は58.8%(前年比2.7ポイント減)となり、21年度の55.3%以来、4年ぶりに60%台を割り込みました。規模別にみると大企業は83.6%で採用意欲は旺盛ですが、中小企業は54.4%、小規模企業は35.9%に大きく下がります。
同社によると、採用予定のない企業からは、「賃上げの流れが加速するなか、売り上げが上がらないため賃上げできず、新しい人材を入れたくても入れられない」(機械製造、小規模企業)、「人が欲しいが、雇えるほどの資金余力はない。週2~3日のパートを雇いたいが、採用体制を整える余裕もない」(サービス、小規模企業)などの声が挙がっており、賃上げと雇用の板挟みになっている中小企業の苦境をのぞかせています。大企業と中小企業の格差拡大は年々進んでいるのが実情です。
正社員不足、再び上昇 2月労働経済調査
厚生労働省が3月25日発表した2月の労働経済動向調査によると、労働者過不足判断DI(「不足」から「過剰」を引いた数値)は正社員が48ポイント(前回、昨年11月比2ポイント増)と上昇しました。
昨年2月に過去最高を記録した51ポイントから3四半期は45~46ポイントの高止まりが続いていましたが、今年に入って再び不足度が増した形です。
産業別で不足度の高かったのは「学術研究、専門・技術サービス」の63ポイント(同7ポイント増)、「建設」の61ポイント(同4ポイント増)など。