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カスハラの規定めぐり議論、労政審 消費者の権利との調整が課題
「職場におけるハラスメント防止対策の強化」を議論
労働政策審議会の雇用環境・均等分科会(奥宮京子分科会長)は10月8日、「職場におけるハラスメント防止対策の強化」を議論しました。カスタマーハラスメント(カスハラ、顧客、取引先などからの著しい迷惑 行為)の規定が主要議題。カスハラについては、「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会」が8月に出した報告書で下記の3要素を掲げています。
(1)顧客、取引先、施設利用者、その他利害関係者が行う (2)社会 通 念上、相当な範囲を超えた言動 (3)労働者の就業環境が害される |
この日も3要素を軸に議論され、「これまでのハラスメントは企業と労働者に限定されていたが、カスハラは違うので、定義付けは社会全体で進めるべきだ」「カスハラだけが過剰に広がり、消費者の権利を損なうことがあってはならない」などの意見が出ました。
ハラスメント防止については、セクシャルハラスメントとマタニティーハラスメントが男女雇用機会均等法、パワーハラスメントが労働施策総合推進法に盛り込まれ、それぞれ具体的な指針がすでに出ています。カスハラも労働施策総合推進法に盛り込まれる可能性が高くなっていますが、消費者の権利との調整が最大の課題となりそうで、指針の中身が注目されます。
また、この日は就職活動中の学生らに対する「就活ハラスメント」、上司らが部下に商品・サービスを強制購入させる「自爆営業」についても取り上げました。
「賃上げが物価上昇に見合う」はわずか3割
日本生産性本部が10月11日発表した「生産性に関するビジネスパーソンの意識調査」によると、賃上げの実感が物価上昇に見合ったものになっているかどうか聞いたところ、「見合っていない」が57.1%で、「見合う」の32.8%を大きく上回りました。2年連続の大幅賃上げも、物価上昇の勢いにまだ追い付いていないようです。
ただ、役職によって濃淡があり、経営層は「見合う」が53.7%と過半数を超えたのに対して、管理職は「見合っていない」が60.4%、非管理職も「見合っていない」が65.6%の大勢を占めました。一般に役職が下がるほど賃金水準が下がるため、賃上げの恩恵を実感できない層の多いことがうかがわれます。
持続的な賃上げ実現への取り組みについては、「コスト上昇分を価格転嫁して収益を確保する」が30.4%で最も多く、「働く人のスキルアップ・リスキリングなど、能力開発を支援する」が29.2%、「最新技術導入やプロセス改善による生産性の向上」が23.2%となっています(複数回答)。
24年度上半期倒産件数、18%増
帝国データバンクが10月8日発表した2024年度上半期(4~9月)の全国企業倒産(負債1000万円以 上 )集 計 に よ る と 、4990 件( 前 年 同 期 比18 .6%増 )、負 債 総 額 約1兆 3295 億 円( 同16.2% 減 )となり、件数は半期ベースでは6期連続で増えました。コロナ前の13年度当時の水準に並んでいます。
業種別では「サービス業」が最多の1312件(同28 .4 % 増 )で 、「 小 売 業 」が1048 件( 同18 .4%増)、「建設業」が921件(同9.5%増)と続きます。