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「子育て支援金」、今国会で成立へ 出生率1.20の過去最低予想
若い世代の所得向上や支援拡充など3本柱の政策
「子育て支援金」を中心にした子ども・子育て支援法などの改正案が4月19日、衆議院で可決され、参議院に送られました。政府が「少子化対策の切り札」と位置付ける改正法案で、今国会の目玉政策のひとつです。2016年に出生数が初めて100万人を割り込んだまま減少が続き、23年は過去最低の75万人台まで下落。合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の数)も18年までは1.4台を維持していましたが、19年に1.36へ落ちてからは毎年下がり続け、23年は1.20の過去最低が予想されています。
政府はこれまでさまざまな対策を講じてきましたが、少子化に歯止めがかかっていません。この反省に立って今回打ち出した「こども未来戦略~加速化プラン3.6兆円」は、24年度から3年間に集中的に実施する包括政策で、(1)若い世代の所得向上に向けた取り組み=主に2025年度から(2)全てのこども・子育て世帯を対象とする支援拡充=24年度から(3)共働き・共育ての推進=主に25年度から――の3本柱で構成しています。
(1)は児童手当の拡充により、親の所得制限を撤廃し、対象を従来の中学生から高校生まで延長。子ども2人目まで3歳未満は月1万5000円、3歳~高校生は同1万円を支給し、3人目以降は同3万円に引き上げます。同時に、妊娠・出産費用の軽減、大学など教育費負担も軽減します。
(2)は時間単位で通園できる「こども誰でも通園制度(仮称)」の創設、保育士の待遇改善などによる保育所の質向上に加え、障害児・医療的ケア児の支援を強化します。
(3)は男性の育児休業取得率目標を30年までに85%へ大幅に引き上げ、育休時の給付率の手取り10割相当に引き上げる計画です。
これらの予算については24年度から3年間で(1)に1.7兆円、(2)に1.3兆円、(3)に0.6兆円程度が必要で、合わせると3.6兆円。政府は「子ども・子育て支援金制度」の創設にあたり、こども家庭庁の下に「特別会計(こども金庫)」を設けて一元実施する考えです。これらを完全実施すると、日本の1人あたりの家族関係支出額はOECD(経済協力開発機構)トップのスウェーデンの15.4%に匹敵する水準になるとアピールしています。これらの政策が軌道に乗れば、政府の描く少子化対策としてかなりの効果が期待できることは確かです。
これに加え、男性の育休取得の推進に向けて、育児・介護休業法も改正します。