厚労省の「派遣労働者実態調査」 5年ぶり実施、「同一同一」前後の変化

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「製造業」最多、賃金の大幅増や派遣で働く満足度高まる

厚生労働省は「雇用の構造に関する実態調査」の一環として、概ね5年ごとに「派遣労働者実態調査」を実施。派遣元事業者ではなく、派遣先となる受け入れ企業と派遣社員の双方から意識面を含めて把握する大規模調査で、政策の立案や判断材料として重要視されています。直近では2022年の調査結果が公表されており、「同一労働同一賃金」を導入した20年4月施行の改正労働者派遣法を挟んだ「前後の変化」もつかめます。厚労省の見解なども交えながら、「派遣」を取り巻く足元の状況を分析します。

 2022年実態調査の要旨を整理すると、派遣社員が就業している事業所は全体の12.3%(前回17年比0.4ポイント減)、過去1年間に教育訓練・能力開発を行った事業所の割合は69.7%(同10.7ポイント増)。また、派遣社員の平均年齢は44.3歳(同2.3歳増)で、平均賃金(時給)は1510円(同144円増・10.5%増)。「今後も派遣で働きたい」は34.2%(同7.5ポイント増)となっています。賃金の大幅増や派遣で働く意識の満足度などについて、厚労省の政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室は「同一労働同一賃金が導入されたことが要因のひとつではないか」とみています。 

調査結果を深掘りしてみると、派遣社員が就業している産業は、「製造業」が23.6%と最も高く、次いで「情報通信業」が23.1%、「金融業、保険業」が21.0%。派遣社員を就業させる理由(複数回答3つまで)をみると、「欠員補充など必要な人員の迅速確保」が76.5%(同3.4ポイント増)と最も高く、次いで「一時的・季節的な業務量の変動対処」が37.2%(同1.4ポイント増)、「軽作業、補助的業務」が30.9%(同6.4ポイント増)、「専門性のある人材活用」が19.9%(同3.8ポイント減)となっています。

 派遣料金に関する派遣元からの要望の有無と対応 今回新たに、派遣社員が就業している事業所に対して、不合理な待遇差の解消のために派遣元から派遣料金に関する要望があったかどうかを尋ねたところ、

「要望があった」が38.0%、「要望が無かった」が 60.0%。要望があった事業所のうち、求めに応じてとった対応(複数回答)をみると、「求めに応じて派遣料金を上げた」が91.4%と大多数の事業所が派遣料金を上げています。

 過去1年間に同一の組織単位での派遣就業期間が個人単位の期間制限(3年)に到達した派遣社員がいた割合は24.6%。また、個人単位の期間制限への意見をみると、「今のままでよい」が29.0%と最も高く、「制限は不要」が20.9%、「制限は必要だが、3年より延長すべき」が17.2%となっています。派遣社員に聞いたところ、「制限は不要」が31.9%と最も高く、次いで「今のままでよい」が26.0%、「わからない」が25.9%となっています。

 4月から省内の各会議体などで「働き方改革関連法」(労働基準法や労働者派遣法、パートタイム労働法など)の施行5年の見直し議論が本格化しますが、調査結果にある派遣社員や派遣先の意見や要望がど

こまで反映されるか展開が注目されます。

派遣社員の受ける教育研修が就業継続に与える影響とは

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