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派遣賃上げ「年間を通じて6%」を目安 日本BPO協会、新春講演会で表明
労使と政府、過去最大の賃上げに向け「共闘」の機運高まる
製造物流の請負・派遣事業の業界団体である日本BPO協会(清水竜一会長)は1月24日、2024年新春講演会を開催。挨拶で清水会長は「目下の大きなイベントは賃上げ」と強調し、青木秀登理事長は「派遣社員を組織化しているUAゼンセンが春季労使交渉で掲げる6%が目安になる」と述べました。派遣の場合は春先だけでなく、契約更新時などのタイミングで派遣先企業と価格交渉する傾向にあるため、「年間を通じて6%」を目安に掲げ、会員企業に過去最大の賃上げに向けた料金交渉を呼び掛けました。
今年の春闘で連合は、昨年の5%「程度」から5%「以上」に目標を引き上げ、このうち連合最大の産業別労働組合・UAゼンセンは「6%」を求めていく方針。これに対して、経団連は「物価上昇に負けない賃金引き上げを目指すことが社会的責務」と表明しており、政府も「デフレ完全脱却の正念場」と賃上げに向けた「共闘」の機運が高まっています。また、中小企業においても、人手不足などを背景に全業種で昨年を上回る賃上げを決断する企業が相次いでいる。
新春講演会では、厚生労働省需給調整事業課の中嶋章浩課長が「労働力需給調整事業の現状と課題」、同一労働同一賃金など「働き方改革関連法」の論理的支柱で、政府の主要な有識者会議の委員を務める東京大学社会科学研究所の水町勇一郎教授が「新しい時代の働き方と労働法改革の方向性」と題して講演しました。
中嶋氏は近年の日本の労働市場のひっ迫ぶりについて、データを交えてわかりやすく解説したうえで、業界に対して「自社のビジネスモデルの特徴や得意分野などをわかりやすく情報発信してほしい」と要望。また、「BPO協会の会員企業は自社の優れた訓練施設を活用したり、協会としてポリテクセンターなどと連携して働く人のスキルアップやキャリアアップに積極的に取り組んでもらっている」と評価し、労働市場の活性化に向けてさらなる貢献を求めました。
水町氏は、改革が必要な時代背景に「デジタル化と少子化」を挙げ、政府が昨年掲げた「三位一体労働市場改革の指針」と今年1月から始まった「労働基準関係法制研究会」での議論を要約説明。三位一体については(1)リスキリングによる能力向上支援(2)個々の企業の実態に応じた職務給の導入(3)成長分野への労働移動の円滑化――を一体で進めることの狙いと具体策などを解説しました。同研究会については、工場労働を念頭に置いた労働基準法などが時代に合わなくなり、「労働者とは何か」などデジタル化を見据えた議論を進めていくと解説しました。