コスト上昇分の価格転嫁率は43.6% 6割近くが自社負担

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昨年から続く電気代やガソリン・軽油を含むエネルギー価格の高騰は、企業収益を圧迫するなど経営に影を落としています。また、10月から順次施行される今年の最低賃金は大幅増の「全国平均1004円」となり、販売やサービスの値上げがなければ中小企業へのさらなる負担増が予想されます。こうした中、帝国データバンクが発表した「価格転嫁に関する実態調査」によると、7月時点でコスト上昇分を販売商品・サービスなどに「価格転嫁できている」企業の比率は74.5%に上ったものの、転嫁度合いを示す「価格転嫁率」は43.6%にとどまることがわかりました。

これは100円のコスト上昇に対して43.6円を価格転嫁し、残りは自社負担している計算。前回調査(昨年12月)の39.9円より3.7円アップしましたが、依然として6割近くは転嫁できていないことになります。価格転嫁している企業の転嫁率は「5割以上~8割未満」が19.8%で最も多く、「2割未満」が19.0%、「2割以上~5割未満」が16.8%などで、「10割(すべて)転嫁」は4.5%に過ぎません。また、「まったく価格転嫁できていない」企業も12.9%あり、「物価高倒産」の増加を裏付けています。

 

卸売業で価格転嫁が進む、医療や娯楽サービスは低水準

業種別にみると、価格転嫁率が高い業種は「紙類・文具・書籍卸売」が65.7%で最多。次いで、「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」(64.3%)、「化学品卸売」(63.1%)が続き、価格転嫁率が6割を超えたのはいずれも卸売業でした。

一方、低い業種は、一般病院や老人福祉事業といった「医療・福祉・保健衛生」(15.2%)が最も低く、映画・ビデオ制作業やパチンコホールなどを含む「娯楽サービス」(21.6%)や「リース・賃貸」(24.8%)、「農・林・水産」(25.6%)が続きます。

同社によると、競合他社が多く価格が上げづらい業界では「取引企業や最終消費者の顧客離れが不安で価格転嫁に踏み切れない」といった声や、「値上げ交渉自体が行えない」「むしろ値下げを要求された」と値上げが全く進まない実情を吐露する声もありました。一方、独自性のある商品販売により競合他社が少なく、価格転嫁しやすいと回答した企業もあり、同社は「付加価値の高い商品・サービスを提供するための取り組みが必要となってきている」と分析しています。

そのうえで、「物価上昇に賃金が追いつかず、消費の低迷が懸念される中、いかにコスト上昇と価格転嫁のバランスをとるかが、より重要となってくる」とコメントしています。調査は、対象2万7768社のうち1万1265社から有効回答を得ています。

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