エンジニア不足、DXできない企業に迫り来る「2025年の崖」

2025年の崖」とは? 「2024年問題」とは別もの?

「2025年の崖」とは?

2018年、経済産業省は「DXレポート~IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~」の中で、「複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存した場合、2025年までに予想される IT 人材の引退やサポート終了等によるリスクの高まり等に伴う経済損失は、2025 年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)にのぼる可能性がある」(本文より引用)と指摘し、この状況を「2025年の崖」と名付けました。

2023年現在においてもITシステムは今や産業を問わず必須となっており、多くの業界でこの問題によるリスクが見込まれるのです。

 

2024年問題」とは?

一方の「2024年問題」には、働き方改革関連法が絡んでいます。同法の施行以来、年間時間外労働の上限規制適用が猶予されてきた建設事業、自動車運転業務、医師などについて、202441日以降は上限規制が適用されるようになります。この規制適用によって発生する人手不足などの問題が「2024年問題」です。

特に、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることで発生する物流業界の問題はかなり深刻とされています。

 

2025年の崖」を引き起こしかねないケースとは?

ここで、2025年の崖を引き起こしかねない課題を抱えている具体的なケースをいくつか見てみましょう。

ケース1:「DXプロジェクトはあるが、なかなか進行しない」

上層部から「DXをやるぞ」と号令され、中身も決めずにとりあえずプロジェクトだけが立ちあげられました。具体的な目的が見えていないので、「DXで何をするか検討する」段階から手探りで始めることになり、遅々として進みません。

ケース2:「既存の基幹システムを維持したままDXを進められないか?」

長年運用していて、すでに老朽化も激しい基幹システム。運用担当者が定年を迎えないうちに更改したいのですが、今さら新しいことを覚えたくないベテラン勢は「費用もかかるだろう、既存のシステムでDXもなんとかならないか?」と反対し続けます。

ケース3:「DX推進を引き受けてくれる先がない!」

システム運用はパートナー企業に一任してきたため、まずは「うちもDXに取り組みたい」と相談してみたものの、「お引き受けできるマネージャーや開発の人材が空いていなくて……」と、遠回しに断られてしまいました。

 

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2025年の崖」はなぜ発生してしまう?

一見、解決法は明確なように思える「2025年の崖」ですが、なぜそれでも発生すると考えられているのでしょうか。続いて、主な理由を見ていきましょう。

 

経営層の中でDXに対するビジョンが固まっていない

 企業の経営層にはシステム運用を担当部署やパートナー企業に任せきりにしてきた人が少なくありません。「DXの概要」や、「今後の事業活動にDXが必要」なことまでは分かっていても、「AIを使って何かをする」、「データ活用を進める」といった手段の理解に留まり、「何をどうするか」といった具体的な目的が見えていないのです。

見えていない自覚があればまだしも、悪くすると無自覚に手段が目的化してしまい「DXの計画を立ててくれ」、「AIで何かやる感じで」という冗談のような号令がかかってしまいます。

 

レガシーシステムが足かせとなりDXが推進できない

幸いDXで具体的にやりたいことが見えていても、既存システムが立ちはだかることもあります。ブラックボックス化、老朽化、肥大化で容易に手をつけられない、いわゆるレガシーシステムの問題が解決できないことからDXを見据えたシステム更改も進められないといったケースです。その場をしのぐため既存のITシステムを稼働させ続けるうちに、状況はさらに深刻になっていきます。

 

人材不足によってDXを推進できる人材がいない

もうひとつ、2025年の崖のファクターとして挙げられるのが人材不足です。レガシーシステムを担ってきた世代は続々と退職を迎えていますが、その下の世代は氷河期で層が薄く、次が育っていないのです。若手のITエンジニアを確保しようにも、彼ら・彼女らは今や引く手あまたですから、そもそもDXに後れを取っている職場には寄りつきません。

IT人材をアウトソースに依存してきた企業では、そもそも社内にDXを担える人材がいないという状況もあります。しかし、既存のITシステム運用はアウトソースできても、業務内容が複雑で多岐にわたるDX推進をまるごと引き受けてくれるアウトソース先は限られています。

 

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到達まであとわずか、「2025年の崖」を乗り越えるには?

経営層が既存のITシステムを把握する

まずは経営者がDXの必要性を認識することが必要です。もちろん「DXをすればなんとかなる」という程度ではなく、既存のITシステムの全体像を把握して、自社に必要なものを見極めていかなければなりません。

経済産業省は『デジタルガバナンス・コード2.0』(旧DX推進ガイドライン)として、中堅・中小企業も視野に入れたわかりやすいガイドラインを策定しています。これを元に、押さえておくべき事項を明確化して、自社のITシステムと向き合っていきましょう。

 

アウトソース先との関係を見直し、システムの刷新を

DXにおいてシステム更改は必須と言えるものですが、2025年の崖が迫る中、まだ具体的な対策が取れていないとなると、もはや自社だけで取り組むことは厳しい潮目にあるかもしれません。

アウトソース先がDXに対して消極的なのであれば、モチベーションを高めるためにも、DXに携わるリスクを軽減するような契約関係の再構築を検討しましょう。従来のウォーターフォール開発にこだわらず、継続的なシステム再構築やアジャイル開発といったDXに適した契約形態を受け入れることで、協力を見込めるかもしれません。

 

社内の人材育成も並行して進める

アウトソース先の確保に加えて、社内での人材育成も進めていくことは、今後のリスクヘッジにつながります。例えば、既存システムの維持・保守業務に従事しているエンジニアをDX分野にスキルシフトする、アジャイル開発の実践を通じ、事業部門人材をIT人材化していくといった形で、今後のことを任せられる人材を育てていきましょう。もちろん教育だけでなく、離職防止の取り組みも欠かせません。

 

新しいパートナーの可能性も視野に入れて

2025年の崖への対策はもはや待ったなし。アウトソース先との関係再構築が難しい場合は、思い切って新しいパートナーを探すことも視野に入れたいところです。ランスタッドでは、テクノロジー分野にフォーカスしたrandstad technologiesとして、高度なスキルをもつエンジニアを提供する人材サービスに加え、革新的なテクノロジー・ソリューション・サービスで2025年の崖への対策をサポートします。詳しくはこちらからご覧ください。

 

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