リスキリングやアップスキリングとは違う?「アウトスキリング」とは

アウトスキリングとは?

2022年の流行語大賞にもノミネートされた「リスキリング」が注目されるにつれ、関連するHR用語も話題を集め始めています。その中でも、まさにこれから広まるであろう用語のひとつが「アウトスキリング」。人員整理の対象者や、今後対象となる可能性が高い従業員に、企業がデジタル分野など成長産業への就職に役に立つスキル教育を実施し、新しいキャリアの形成を支援するといった取り組みを表す言葉です。

名前にある「アウト」が示す通り、基本的には「社外への転職を了承、または検討していて、他社・他の産業への転職や、キャリア形成に役立つ新たな分野のスキル教育を希望している」人へ向けて行われます。

 

リスキリング、アップスキリングとの違いは?

リスキリングとの違い

アウトスキリングが「社外への転職」を前提としているのに対し、リスキリングは「社内での配置転換」を前提としたスキル教育です。教育内容はデジタルスキルなどが多く、アウトスキリングとしばしば重複しますが、その目的は「社内の新しい配属先で活用できる」ことにあります。

そのため、基本的には人員整理の対象者の中でも「社外への転職を希望せず、社内へ残留する場合の配置転換と、それに伴うスキル教育を了承している」人へ向けて行われます。

 

アップスキリングとの違い

アウトスキリング、リスキリングの多くが「新しいスキルに挑戦する」ための教育であるのに対し、アップスキリングは「今持っているスキルを向上させる」ことが前提のスキル教育です。社外への転職や、社内での配置転換といったポジション変更とは特に関係なく行われます。とはいえ、今持っているスキルを伸ばすのですから、その目的は「現在の配属先で活躍するためのキャリアアップ」にあると言っていいでしょう。

そこで基本的には「専門職で、常に専門スキルのアップデートが必要とされる人、もしくは経験の浅い社員など今持っているスキルを向上させることでさらなる生産性アップが見込める」人へ向けて行われます。

リスキリング、アップスキリングについて詳しくは、こちらの記事も参考にしてみてください。

 

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アウトスキリングのメリットは?

対象者にとってのメリットは「転職の見通しがよくなる」

人員整理の対象者にとって、先の見通しも立てられないまま転職活動に乗り出すのは不安なものです。アウトスキリングによっていち早く新しい技能を習得し、転職で売り物になる、また転職先で役立てられる能力を身につけることで、転職活動を有利に進める見通しが立てられます。これまでとは違う職種や、別の業界への転職にも前向きに取り組めるようになるでしょう。

 

企業にとってのメリットは「周囲との関係・イメージを良好に保てる」

退職を伴う人員整理には、しばしば「切る」という表現が使われます。「企業は従業員を切り落とすようにスパッと辞めさせ、後のことまで考えてはくれない」といったネガティブなイメージが漂う表現です。現在でも職業紹介や履歴書レビューといった「転職活動そのもののための支援」は見受けられますが、そもそも自社で整理対象になった人員に、新たな価値を付加する長期的な支援にまでは至っていませんでした。

ここで、アウトスキリングによる「市場価値の向上」を提供することにより、整理対象者との関係をより良好に保てるようになります。対象者当人だけでなく、「人を大事にしない」というイメージから残留する従業員のロイヤリティが下がるリスクも回避できますし、ブランドイメージが損なわれることも防げます。

また2023年現在、アウトスキリングは日本企業ではまだあまり見られない取り組みです。先んじて取り組むことでブランドアピールにつながる可能性もあるでしょう。

 

アウトスキリングでは何を学べばいい?

多く学ばれているのは「エッセンシャルワーク」や「IT」など

アウトスキリングで学ぶべき、つまり今、転職を有利にするスキルはどのようなものなのでしょうか。一例として、米Amazonのアウトスキリングプログラム「キャリアチョイス」では、コンピューターサポートスペシャリスト、WEB開発者、看護師、航空機整備士、商用トラック運転手、パラリーガル/リーガルアシスタント、ITセキュリティアシスタント、ネットワーク技術者などのキャリアパスに関わるコースが提供されています。

これらのコース内容を見るに、現在注目されているスキルのひとつは看護師やトラック運転手などのエッセンシャルワークに関するものと言えそうです。さらに日本国内の求人傾向を踏まえ、介護業界も視野に入れておきたいところです。

もうひとつはIT分野のスキル、特にDX関連のスキルが求められる職種の需要が高いと思われます。ITスキルはニーズが幅広く、応用が利きやすいのも特徴です。ITを主とする仕事ではない場合も、オフィスワークであればIT分野の知識が役立つでしょう。

 

キャリア・スキルに合わせた「学ぶべきスキル」の洗い出しを

「新しいスキルを身に着ける」と言っても、人気のありそうなスキルにむやみに取り組むのは得策とは言えません。まずは対象者自身が持っているキャリア・スキルと、需要があり将来性がある業界・職種を照らし合わせ、その業界・職種へ転職するにあたってニーズがありそうなスキルを洗い出すとよいでしょう。

例えばマネジメント経験者なら、現場の介護スタッフよりも、介護施設のマネージャーの方がこれまでのキャリア・スキルを活かせるはずです。そこで、マネージャーに求められる資格を洗い出していく……といった具合です。

 

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アウトスキリングは関わる全員にメリットがある

厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況(令和3年11月発表)」によると、採用担当者が転職者を採用した理由は、職種を問わず「経験を活かし即戦力になるから」の割合が多く、転職者に即戦力を求めている傾向がわかります。

アウトスキリングによる転職者のスキルアップは、人員整理を行う企業側の負担が目立ちがちではありますが、実際には送り出す企業、整理対象者本人、その転職先すべてにメリットがあり、労働市場の流動化推進にも資する施策なのです。ランスタッドでは、省庁の統計調査を基に最近の転職事情を分析したダウンロード用資料を頒布していますので、こちらも参考にしてみてください。

メリットが多いとはいえ、対象者1人1人に合ったアウトスキリングプランを立て、実践するのは人事担当者だけでは難しいこともあります。ランスタッド「ライズスマート再就職支援 プログラム」では、経験豊富なプロによるキャリアコーチングを提供しています。

HRのプロの手を借り、アウトスキリングをスムーズに進めることもぜひ検討してみてください。

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