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現金給与、8カ月連続の実質減 減少幅も8年半ぶり水準、毎勤速報
コロナの規制緩和でサービス業の就労増
厚生労働省が1月6日発表した毎月勤労統計の昨年11月速報値(従業員5人以上)によると、労働者1人あたりの現金給与総額は28万3895円(前年同月比0.5%増)で11カ月連続のプラスとなりました。しかし、物価上昇分を差し引いた実質賃金指数(2020年=100)は85.3(同3.8%減)で、昨年4月以降8カ月連続のマイナスとなりました。マイナス幅も拡大しており、4月当時の1%台から10月には2.9%になり、11月は3%台に突入。物価上昇に対して賃金の上昇が追いつかない局面が拡大しています。
3.8%の落ち込みは消費税率が5%から8%にアップした直後の14年5月の4.1%に次ぐ水準です。12月は大手を中心に冬ボーナスを増額した企業が多かったことから、マイナス幅は縮小する可能性がありますが、基調自体に大きな変化はないと予想され、今年の春闘の賃上げの動向がこれまでになく注目される展開となっています。
就労形態別の現金給与額は、正社員が中心の一般労働者が36万8358円(同0.2%増)、パートタイム労働者は10万1888円(同2.2%増)となりました。残業代などの所定外給与が一般労働者は2万7350円(同5.0%増)、パート労働者は2792円(同7.4%増)となり、伸び率は鈍っています。
産業別の伸び率では「飲食サービス等」が人手不足を反映して同5.6%増と最も高く、「鉱業・採石等」が同5.3%増、「運輸・郵便」が同4.3%増と伸びたものの、「教育・学習支援」が同3.5%減、「製造業」も同2.0%減など4つの産業でマイナスになりました。 月間総実労働時間は139.1時間(同0.2%減)で2カ月連続の減少。常用雇用者数は5172.1万人(同1.1%増)で、パートタイム比率は31.77%(同0.04ポイント減)でした。
専門型に「M&Aアドバイザー」、裁量労働制に追加提示
労働政策審議会の労働条件分科会(荒木尚志分科会長)は昨年12月27日、「今後の労働契約法制及び労働時間法制の在り方について」と題する報告書を出し、その中で金融機関の一部職種について裁量労働制の適用拡大を盛り込みました。厚生労働省は報告書を受けて省令改正作業に入り、早ければ24年にも実施したい意向です。
同報告書は、銀行や証券会社で企業合併・買収(M&A)や事業承継を助言する「M&Aアドバイザー」について「専門型の対象とすることが適当」と判断。同時に「本人同意を得ることや、同意しなかった場合の不利益な取り扱いをしない」ことを規定しました。
新型コロナに伴う不況で事業再編が加速し、M&Aアドバイザーの需要が高まっていることから、使用者側の経団連は「銀行や証券会社で企業の調査・分析やM&Aの戦略作り、提案をする業務」として適用拡大を要望していました。しかし、対象業務のなし崩し的な拡大を警戒する連合など労働者側は「追加は遺憾」と反発しています。
裁量労働制の対象には「企画型」と「専門型」の2種類があり、対象業務の追加には企画型は法改正が必要ですが、専門型は省令改正で対応できます。