わずか5.8%、「勤務間インターバル制度」採用企業 厚労省の就労調査

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厚生労働省が発表した2022年「就労条件総合調査」によると、昨年の年次有給休暇の取得状況は年間付与日数が17.6日(前年比0.3ポイント減)で、実際の取得日数は10.3日(同0.2ポイント増)となり、取得率は58.3%(同1.7ポイント増)でした。1984年以降の過去最高を更新したものの、まだ4割以上の有休を残している状況は変わりません。

また、過労死等防止対策の一つとして有力視されている「勤務間インターバル制度」を採用している企業はわずか5.8%(同1.2ポイント増)で、採用を検討している企業は12.7%(同1.1ポイント減)。導入予定のない企業は80.4%(同0.2ポイント増)で圧倒的多数を占めています。採用企業の平均間隔時間は10時間22分です。

導入予定のない企業に理由を聞いたところ(複数回答)、「超過勤務の機会が少なく、導入の必要性を感じない」が53.5%で最も多いものの、「制度を知らなかった」が17.1%ありました。調査は常用労働者30人以上の企業約6387社を抽出して、22年1月1日時点の状況を聞き、3757社から有効回答を得ました(回答率58.8%)。

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残業規制とセットで実施、EUでは法的規制

2017年に議論された政府の「働き方改革」では、長時間労働の是正と同一労働同一賃金が主要テーマになっていましたが、社員の退社から出社まで一定の休息時間を義務付ける「勤務間インターバル制度」の本格導入も注目を集めました。しかし、企業側の意識は総じて鈍く、普及に時間がかかっています。

 勤務間インターバルは、通常、残業規制とセットで実施され、長時間労働を是正して労働者の労災や健康被害を防ぐ制度。EU(欧州連合)ではすでに法的規制があり、仕事を終えた時刻から翌日の仕事開始時刻まで11時間以上を開けなければならない。しかし、日本では残業自体が事実上の青天井となっており、インターバルを導入している企業はまだ少数にとどまっています。

 導入企業の場合も、インターバル時間帯別ではEUの基準以下の「7時間超~8時間以下」が最も多く、EU並みの時間帯を設けている企業は28.2%にとどまります。仮に午前8時~午後5時(昼休みが1時間)の8時間勤務制で、インターバル時間が8時間の場合、翌日が通常出勤なら前日の残業は午前零時まで可能になる計算です。通勤時間などを考慮すれば睡眠時間は5~6時間程度しか取れず、これが数日続けば通常は疲労で作業効率は落ちるとされています。

 導入している企業は優良大企業がほとんどで、人手不足が深刻化している多くの中小企業にとって、勤務間インターバルを導入する余裕はないようです。

取材・文責 アドバンスニュース

 

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