「賃金デジタル払い」来年度解禁へ 給与の全部または一部、上限100万

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キャッシュレス化の促進や多様な賃金支払いニーズ

キャッシュレス化の促進や多様な賃金支払いのニーズに対応する「賃金デジタル払い」が、来春にも導入される見通しとなりました。9月13日に開かれた労働政策審議会労働条件分科会で、労使が概ね合意。厚生労働省は年内にも必要となる省令改正の要綱案を諮問する方針で、指導監督を含む運用体制の整備を進めます。

「労働者の同意」「資金移動業者の指定要件」「指定・指定取り消し」などを中心に、課題や懸念点の払拭に関する議論を展開してきた「賃金デジタル払い」は、解禁に向けて道筋がつきました。

「賃金デジタル払い」は、企業が労働者の希望に応じて、銀行口座を介さずに給与の全部または一部を決済アプリなどに振り込むことを可能にする仕組み。実現するためには、「通貨で直接、労働者に全額支払う」と定める労働基準法第24条の省令改正が必要で、現在、例外で認めている「銀行」に「資金移動業者」を加えなければなりません。

金融庁に登録しているキャッシュレス決済サービス事業者は85社(2022年8月末現在)あり、大手では「PayPay(ペイペイ)」や「d払い」など。解禁する場合には厚労相が安全性などの基準を設けて指定します。指定される資金移動業者は5社前後に絞り込まれる見通しです。 厚労省は昨年4月、制度設計案を同分科会に示しましたが、労働者側が決済アプリを扱う資金移動業者の安全性などを指摘して導入に強く反発。"冷却期間"を経て、今年3月に1年ぶりに再開していました。

この日は、これまで強硬に反対していた労働者側が態度を軟化、安全性に注文を付けるものの、解禁を容認する姿勢に転じました。厚労省が新たに提案した要件は、(1)1つのアカウントの残高の上限が100万円以下(2)業者が破綻した場合でも、速やかに(4日から6日以内)保証機関を通じて全額が払い戻される仕組みを設ける――など。使用者側委員は「中小企業の送金の手数料や活用の際の負担を軽減してほしい」と指摘。労働者側委員は「支払われた賃金の安全性が担保されるよう厚労省や金融庁の体制づくりが急務だ」と注文を付けました。


労働者は賃金を受け取る方法の選択肢が増え、チャージの手間が省けます。一方で、資金移動業者が破綻した際の安全性や個人情報の取り扱いをめぐる懸念もあります。企業側からは、賃金を支払う際の手続きが煩雑になるのではないかといった指摘も挙がっています。「賃金デジタル払い」について政府は、消費の利便性向上や日本で暮らす外国人への対応などを理由にキャッシュレス化を促進しており、決済アプリを使った賃金の支払いの早期実現を急いでいました。解禁後
は、パート・アルバイトや短期派遣などから活用が広がりそうです

 

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大手外食の6割、71社が値上げ

東京商工リサーチが9月14日発表した大手外食チェーン値上げ・価格改定調査によると、大手外食122社のうち、今年1月から9月上旬までに原材料の高騰などでメニュー価格の値上げを公表したのは58%にあたる71社、88ブランドに上りました。値上げの中心は中華・ラーメンの16ブランドです。

取材・文責 アドバンスニュース

 

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