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医療・福祉の精神障害が大幅増 厚労省の21年度労災補償
労災のうち、脳・心臓疾患の請求件数は753件
厚生労働省が6月24日発表した2021年度「過労死等の労災補償状況」によると、請求件数は3099件(前年度比264件増)で、うち支給決定件数は801件(同1件減)。801件のうち死亡件数は136件(同12件減)に減少しました。労災のうち、脳・心臓疾患の請求件数は753件(同31件減)で、そのうち業務上と認定した支給決定件数は172件(同22件減)となり、認定率は32.8%(同3.6ポイント増)。死亡事故も請求件数が173件(同32件減)、決定件数は169件(同42件減)、支給決定件数は57件(同10件減)、認定率は33.7%(同1.9ポイント増)となりました。
精神障害の労災補償は請求件数が2346件(同295件増)、決定件数が1953件(同47件増)、支給決定件数が629件(同21件増)と増え、認定率は32.2%(同0.3ポイント増)となりました。請求件数、決定件数とも前年度より大きく増え、理由は「上司とのトラブル」「上司らのパワハラ」など対人関係が多数を占めています。業種では「医療・福祉」の「社会保険、社会福祉、介護事業」が最多でした。
このうち、自殺(未遂を含む)は請求件数が171件(同16件増)、決定件数が167件(同12件減)、支給決定件数が79件(同2件減)、認定率は47.3%(同2.0ポイント増)と増えました。一方、裁量労働制下の就労者の労災は決定件数が脳・心臓疾患で4件、精神障害で16件。うち支給決定件数は各2件、7件でした。
企業に男女の賃金差開示義務追加
労働政策審議会の第50回雇用環境・均等分科会(奥宮京子分科会長)は5月24日、企業に対して男女間の賃金格差の開示を義務付ける女性活躍推進法の省令改正案を了承しました。
対象は従業員301人以上の企業で、事業年度終了後から3カ月以内に開示します。公表内容は正規労働者、非正規労働者、全労働者の3区分が必要。7月の施行ですが、3月期決算企業が多いことから、本格開示は来年5月以降からになるとみられます。
同省令では管理職に占める女性比率や男女の平均勤続年数など、10項目以上の中から2項目以上を企業が選んで公表することになっていますが、これに男女の賃金差が加わったものです。
2年連続の大幅アップなるか、最低賃金
厚生労働相の諮問機関、中央最低賃金審議会(藤村博之会長)が6月28日開かれ、22年度の最低賃金改定の議論を始めました。具体的な改定額は「目安に関する小委員会」(藤村会長)において労使の代表者と有識者らが非公開で協議し、4回ほど議論して7月中にも都道府県別に引き上げ幅の目安を示します。
新型コロナによる企業活動の停滞を考慮して、20年は実質据え置きの平均902円としましたが、昨年は3.1%増の930円に引き上げました。今年は景気回復の流れと足元の物価高で賃上げを求める声が例年になく強まる一方、世界経済の先行き不透明を背景に、賃上げに慎重な声もあります。
7日に閣議決定した政府の「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」では、賃金引き上げの必要性を強調し、同審議会に対して「引き上げ額については生計費、賃金、賃金支払い能力を考慮した議論」を要請しています。かねてより「早期に1000円」を目指していることから、大幅引き上げの機運は高まっています。