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「職員を増やせない」その限界を超えるために。行政サービスの質を官民連携で守り抜く「第3のリソース」活用論
はじめに:変革期にある行政が直面する「人材」の課題
少子高齢化、DXの推進、多様化する住民ニーズ──。 国民の暮らしを支える行政サービスは今、かつてない構造変化の波にさらされています。現場では「業務の高度化」が進む一方で、それを担う「人材の確保」は年々困難さを極めています。
「定型業務に追われ、政策立案などのコア業務に手が回らない」 「突発的な業務増に対応できる余力が、もう組織に残っていない」
今この時期も、年度末業務や予算策定、総合経済対策に加えて衆議院解散総選挙が決まり、多くの自治体様から聞こえてくるのは、使命感だけではカバーしきれない現場の悲鳴にも似た声です。この現状を打開するには、従来の「内部努力」だけではない、新たなリソース戦略が必要です。
本記事では、限界を迎えつつある行政現場の課題に対し、外部リソース(BPOサービス)の活用がどのように「職員の負担軽減」と「持続可能なサービス運営」を両立させるのか、最新の導入事例を交えて解説します。
1. 行政業務を取り巻く「人材不足」という現実と構造的な課題
外部リソース活用をご検討されている官公庁・自治体の担当者にとって、年々重みを増しているのが「人材確保」の課題です。公的なデータからも、その深刻さが裏付けられています。
1.1. データが示す「過重労働」の実態と、メンタルヘルス不調が招く組織リスク
総務省が実施した「令和5年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査」の結果からも、職員の負担が深刻なレベルにあることを示唆しています。実際、地方公務員の採用競争率は長らく減少傾向が続き、人材確保は低水準で推移しているにもかかわらず、現場では全職員の4.8%が月45時間を超える長時間勤務に直面しています。この過重な業務負荷の結果、令和5年度のメンタルヘルス不調による休務者は47,775人へ増加(前年度比+4,087人)しました。
この「メンタルヘルス不調者の増加」と「長時間労働」の相関は、個人の健康問題にとどまらず、組織運営において以下の「負のスパイラル」を引き起こしています。
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人員不足の悪循環と現場の疲弊:休務者の発生が、残された職員へのさらなる業務集中を招き、新たな健康リスクや離職を生むという悪循環に陥っています。給付金対応などの突発業務が発生した際、もはや現場にはそれを吸収する「余力」が残されていません。
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「未来への投資」の消失:目の前の膨大な定型業務や窓口対応(ノンコア業務)をこなすだけで手一杯となり、本来注力すべき政策立案や市民サービスの改善といった「コア業務」へリソースを割くことが物理的に不可能になっています。
1.2. 求められる専門性の多様化と人材確保の難しさ
現場が疲弊する一方で、行政の役割は多様化し、求められる専門性も複雑化しています。
内閣府の「令和元年地方公共団体の働き方改革に関する調査」などでも、「業務に必要な専門的なスキル・知識を有する職員の確保・育成」が課題として挙げられており、行政内部でこれらの専門人材を迅速に育成・確保することは困難です。
例えば、医療統計データ入力やICTサポート/ヘルプデスク、戸籍データの振り仮名記載支援といった業務には、特定の知識や技術が不可欠です。外部リソースの活用は、これらの専門性を「必要な時に必要なだけ」外部から調達し、安定的な行政運営を実現するための現実的な解となります。
1.3. 団塊世代の退職と若手職員のキャリア志向による「人材定着」の危機
公務員の世界でも、団塊の世代職員の大量退職による「技術・知見の継承」が深刻な問題です。さらに、若手職員はワーク・ライフ・バランスを重視する傾向が強く、特定の業務に負担が集中することで、早期離職のリスクも高まります。業務の平準化と負担軽減は、人材の定着という観点からも不可欠です。
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2. 公的データが示す外部委託の重要性とBPRへの貢献
行政における外部委託の推進は、国としても重要な戦略として位置づけられています。
2.1. 行政サービスの質の確保と生産性の向上
総務省の「行政事業レビュー」や「行政評価」における各種データでは、業務の効率化とサービスの質の向上が一貫して求められています。特に、定型業務や外部ノウハウを活用すべき分野においては、民間事業者の知見や効率的なオペレーション設計を取り入れることが、全体の行政コスト削減と生産性向上に直結するとされています。
2.2. デジタル化時代の業務再構築(BPR)の基盤
デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進においても、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)は不可欠なプロセスです。
デジタル庁の提唱する行政のDX推進においても、デジタル技術を活用する前に、まず業務を標準化し、非効率な部分を徹底的に見直すBPR(業務改革)が強く推奨されています。
「業務プロセスを可視化し、非効率な業務やルールを廃止・合理化(BPR)した上で、デジタル技術を活用することが不可欠である。」(出典:デジタル庁「デジタル社会の実現に向けた重点計画」より要約)
外部の専門企業は、既存業務のプロセスを客観的に分析し、行政特有の法規や手順を遵守しながら、標準化されたオペレーション設計を提案します。行政向けのBPOサービスは、このBPRの視点に立ち、人材、オペレーション設計、教育体制をパッケージとして提供し、職員の担当者の課題解決とDX推進の基盤構築をサポートします。
<現場の声を知るコンサルタントからのメッセージ>
オンサイトビジネス事業部 ガバメントビジネスグループ
オペレーションマネージャー 大藤 隆一
自治体様によって解決したい地域の課題や目指したい行政サービスが異なることから、総合計画などを読み解き、困っていることや解決したいことを職員様の目線に立って“知る”ことを大切にしています。
“知る”ことは地域に寄り添ったご提案を実現するだけでなく、職員様が担う所属長様や議会、地域住民の方々への説明責任につきまして、共に行うパートナーでありたいと考えているからです。
パートナーであるからこそ、ご支援が必要と考えるに至った裏付けされたデータ、近隣他都市での事例やリスク対策などの根拠と前例を基にし、課題解決を一緒に創り出していきます。
また、公平性と透明性を担保しながら、地元の人が地元で働けるよう地域雇用の創出やコンプライアンス遵守と個人情報保護の重要性は大前提として取り組んでおります。
それは安心・安全な運営の担保に繋がり、市民サービスや政策立案などのコア業務に職員様が専念していただけるようになるからです。
人と仕事を結びつけるだけでは解決できない職員様の負担や課題に対し、当事者意識を持って取り組んでおりますので、是非お気軽にご相談いただければと思います。
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3. 「官公庁・自治体 BPOサービス」が解決する課題と実現可能な業務例
ランスタッドが提供する官公庁・自治体BPOサービスは、単なる人手の提供ではありません。行政特有の業務プロセスを熟知した上で、人材、オペレーション設計、教育体制をパッケージとして提供し、職員の担当者の課題を解決します。
【主な対応可能領域】以下のリンクより、詳細なサービスメニューと対応実績をご覧いただけます。
<具体的な導入ケース>
ここでは、ランスタッドが実際に支援した事例に基づき、どのような領域で行政の安定運営に貢献しているかをご紹介します。
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経済対策・給付金関連業務(給付金申請委託):当社が支援した自治体事例では、物価高騰対策や給付金・補助金関連で窓口対応、申請受付/審査、電話問い合わせ対応を支援。大量処理業務における経験豊富なスタッフ配置と進捗管理ノウハウが、迅速な住民サービスを可能にします。
<事例のポイント>類似業務経験者を40%以上配置し、申請件数に応じた柔軟な要員配置を実現。 -
各種調査・統計業務(国勢調査事務外部委託):大規模調査の支援事例に基づき、国勢調査支援として数千世帯分の調査票処理を受託運営。また、願書の受付審査、受験票の送付、試験会場手配から当日の試験監督、合格発表まで一連のプロセスを受託する国家試験11職種BPO事業といった大規模プロジェクトの運営実績に基づき、全国規模のオペレーションを一元管理します。
<事例のポイント>長年の経験で培った要員配置の最適化により、高品質なサービスを最適なコストで提供。 -
短期・単発業務(スポット派遣):選挙期日前投票事務や出口調査、所得税確定申告/市民税申告補助など、必要な時に必要なスキルを持つ人員を柔軟に確保します。
<事例のポイント>業務量が事前に読める短期業務に対し、過去のデータベースから即戦力となるリピーターを配置し、教育期間を最小化。
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4. 外部リソース活用が現場にもたらす定量的・定性的なメリット
自治体・官公庁BPOサービスを戦略的に導入することで、現場には以下のような具体的な効果がもたらされます。
4.1. 業務効率とスピードの向上
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処理スピードの向上:業務フローの標準化と経験豊富な専門人材の投入により、一例では、従来3週間かかっていた申請受付業務を10営業日以内に短縮。
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コスト効率の最適化:繁忙期のみ必要な人員を投入することで、年間の採用・人件費コストを削減することができます。最適な要員配置計画により、無駄のない運営を実現します。
4.2. 職員の負担軽減とコア業務への集中
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職員の負担削減:ノンコア業務を外部委託することで、担当職員の残業時間を30%以上削減した実績。職員を「企画・立案」という行政のコア業務へシフトさせる環境を創出します。
4.3. 住民サービスの品質向上とリスク管理
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業務の標準化・属人化解消:外部パートナーが過去実績に基づいた豊富なマニュアルを整備し、業務の習熟度向上と平準化を図ることで、均一な住民サービスの提供を実現するだけでなく、職員の引き継ぎ負担や特定職員への依存リスク軽減、属人化解消に繋がります。
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危機管理体制:イレギュラーな問い合わせやトラブルに対し、独自の判断基準や明確なエスカレーションルールに基づき、迅速かつ適切な解決を図る体制を構築します。公金取り扱いにおける厳重な安全管理体制(監視カメラ、定期監査など)も徹底します。
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5. 今こそ「外部パートナー」としての選択を
行政機関が抱える課題は、内部職員の努力だけでは解決が難しいほど複雑化し続けています。
信頼できる外部パートナーと連携することは、人材不足解決の鍵であり、安定した行政運営と市民サービスの向上を両立させるための現代的な戦略です。
ランスタッドは、長年にわたり世界各国で培ってきた人材サービスの知見と、日本国内を網羅する広範なネットワークを背景に、多数の自治体支援実績を重ねています。私たちは、確かな実績と専門性を持つタレントパートナーとして、担当者の課題解決に貢献いたします。
また、業務委託(BPO)に限らず、派遣でも特に限られた期間だけの短期スポットや、一定の業務量や期間、人数規模を必要とする場合に適した管理者付き派遣(ユニット派遣)など各自治体の抱える様々な人材課題に寄り添います。
「自分たちの業務も対象になるのか」「隣の課や異動前の組織では活用したけど…」「どのくらいの人員を確保できるのか」などの疑問があれば、まずは一度ご相談ください。ご状況を詳しくお伺いし、最適な体制と具体的な業務設計をご提案いたします。
