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従業員に選ばれる会社になるための「EVP」とは?
EVP(従業員価値提案)とは?
ランスタッドは2025年1月に新EVPを公表
ランスタッドは世界をリードする人材サービス会社として改めてEVPを見つめ直し、2025年1月に「5つの柱」に基づいた新たなEVPを公表しました。
あらゆるビジネスで人材が不足している時代、人材に選ばれる会社になるためにも、強固で特徴的なEVPを持つことはかなり重要です。もはや「あれば望ましい」というものではなく、「ビジネスに不可欠」なものとなっています。この記事では、この「EVP」について解説します。
▼ランスタッド ニュースリリース |
そもそも「EVP(従業員価値提案)」とは?
EVPとは、英語の「Employee Value Proposition」の頭文字を取った略語で、直訳である「従業員価値提案」と呼ばれることもあります。ただし、提案されるのは従業員の持つ価値ではなく「企業が従業員に対して提供できる価値」です。
ビジネスにおいては、長らく「従業員が企業へどのような利益をもたらすか」という視点が主となってきました。人材不足に陥っても、まず考えるのは「利益をもたらす優秀な人材を確保する」手段であり、「従業員側も働く企業を選べる」という事実そのものは注視されていませんでした。
これに対して、EVPは「企業が従業員へどのような利益をもたらすか」という視点で考えられます。つまり「従業員に選ばれる企業になる」ために、「この会社で働く価値を提案し、優秀な人材を確保する」のです。
実体的な内容も、概念的な内容も含まれる
従業員が価値を感じる要素にはさまざまなものがあります。そこで、EVPにも社内制度などで実体的に金銭や体験として得られる内容と、ステートメントなど概念的に働きがいや働きやすさを作る内容の両方が含まれます。
・実体的な内容の例:「成長環境」「職場環境」「報酬や待遇」「福利厚生」など ・概念的な内容の例:「ミッションやビジョン」「企業文化」など |
EVPを公表するメリットは?
社員のリテンション、離職率改善
転職のきっかけが「今の会社より、他の会社で働く方が良さそう(得られる価値が高そう)」と感じたから……というケースは珍しくありません。裏を返せば、EVPを示すことはリテンション施策の1つでもあり、「他の会社へ行くより、今の会社で働く方が良さそうだ」と感じてもらうことで、離職率を抑えることにつながります。
採用活動での優位性、競争力アップ
EVPを示すことで「他の会社より、この会社へ入社する方が良さそうだ」、「今の会社で働き続けるより、この会社へ転職する方が良さそうだ」と感じてもらうことは、採用活動でも効力を発揮します。EVPは既存の従業員に自社の価値を示すだけでなく、求職者へ自社の価値をアピールするものでもあるのです。
従業員エンゲージメント改善や自律キャリア意識の醸成
まだ「従業員が企業へどのような利益をもたらすか」という視点を脱しきれていない企業も多い中、いち早く従業員の意向を把握してEVPに反映し、従業員が納得できる形で示すことができれば、離職防止に留まらず、従業員エンゲージメントの向上も望めます。
EVPによってエンゲージメントが高まる従業員は、給与や待遇だけでなく「ミッション・ビジョン」の遂行や「成長環境」を活かしたキャリアアップにも関心が高い傾向があると見ていいでしょう。成長環境の一環として、自らのキャリアについて考えるための支援を行うことで、会社や事業に貢献しながらキャリアアップできる道のりを見出してくれるはずです。
ランスタッドのEVPに見る「EVPの具体例」
ここまでEVPの概要を見てきましたが、具体的にはどのような内容が考えられるのか、ランスタッドの新EVPを例としてご紹介しましょう。
全体のテーマと「5つの柱」
ランスタッドのEVPは「together we grow(共に成長する)」というテーマのもと、5つの柱から構成されています。5つの柱は「パーパス(目的)」、「企業文化」、「成長とキャリア」、「ウェルビーイング」、「報酬」と、実体的な内容と概念的な内容をバランスよく含み、従業員から求職者まであらゆる働き手に響くようになっています。
ランスタッドのEVP(従業員価値提案) |
purpose―会社のパーパスを体現する
ランスタッドはED&Iを会社の重要なミッションとして位置づけ、公平性を担保する人事制度を取っています。例えば、2023年4月より「マネージャー以上のポジションを人選する際には、候補者の中に女性が一人以上いるようにする」というルールを運用。女性管理職の比率は25%→30%まで高まりました。こうしてインクルーシブな職場環境を構築することで、従業員の成長とキャリア開発をサポートしています。
culture―開かれた企業文化
経営陣が主催し、直接従業員とコミュニケーションを図る場として設けられている「全社タウンホール」は参加率90%を誇ります。他にも、派遣スタッフの日ごろの活躍を称える「サンキューイベント」、お互いに感謝の気持ちを伝え合う「勤労感謝ウィーク」などを実施。EVPの社内浸透についても、グローバルでのセルフィーキャンペーンやEVP記念置物の配布、EVPのバリューピラーを学べる日本オリジナルの「EVPカードゲーム」などユニークな施策を実施し、企業文化への理解を深める機会を設けています。
growth & careers―成長を後押しする仕組み
4半期ごとの1on1ミーティング「グレート・カンバセーション」で、ビジネスと個人のゴール、および将来のキャリアについて従業員がマネージャーと確認し合う機会を設けています。また、独自のタレントマネジメントプログラム「ピープル・レビュー」や多様な研修機会などで従業員の成長を後押ししています。
wellbeing―働き方を自分でデザイン
ジョブ型雇用を徹底した人事制度、コアタイムを設けない「スーパーフレックス制度」や「テレワーク制度」、社内で人材募集を行い自由に応募できる「社内公募制度」、管理職の空席ポジションの80%を、外部採用人材ではなく社内で経験を積んだ社員から選ぶことを目指す「80%ルール」など、従業員が働き方を選べる柔軟性に富んだ制度を用意。短時間勤務の実現や、育児から復帰した従業員のサポートをしています。
rewards―功績を承認し報いる
チームと個人両方にインセンティブが付与される「インセンティブ制度」や、全社から選ばれたハイパフォーマーが招かれるイベント「CEOクラブ」などの「リコグニション制度」を充実させ、従業員の功績を称える場を作っています。
EVPは「人材に選ばれる会社になる」ための「会社の自己PR」
EVPは、従業員や求職者にとっては「自分の働きたい会社像」をチェックするための、会社の自己PRのようなものとも言えます。
ただし、PRになるからと、実際とかけ離れた“盛り過ぎ”は禁物。ありのままを伝える誠実な態度と、今実現できていないことも「将来は期待できる」と思わせる前向きな姿勢が重要です。
ランスタッドでは、人事に関する最新トレンドをタイムリーにお届けするメールマガジンを発行しています。EVP関連を含めた、人事分野の情報収集に関心の高い方のご登録をお待ちしています。