- 総合人材サービス ランスタッドTOP
- 法人向けHRブログ workforce Biz
- 試用期間にミスマッチが判明したら?知っておきたい試用期間と解雇の考え方
試用期間にミスマッチが判明したら?知っておきたい試用期間と解雇の考え方
※本記事は2024年8月14日の内容に、2026年4月時点の最新情報を加えてアップデートしたものです。
採用した社員の能力不足や勤怠不良が気になる場合、「本採用を見送りたい(解雇したい)」と考えることもあるでしょう。しかし、試用期間は「お試し期間」だからといって、自由に従業員を辞めさせられるわけではありません。
本記事では、試用期間の基本的な考え方から、2024年4月の法改正に伴う注意点、不当解雇リスクを回避するための実務的なステップを解説します。
1. あらためて知っておきたい「試用期間」の正体
本採用を判断するための「留保付解雇権」
試用期間とは、企業が従業員の適格性を判断するために設ける期間です。法的には「解雇権留保付労働契約」と呼ばれます。契約自体は入社初日から成立していますが、適格性がない場合に契約を解約する権利を会社が「留保」している状態を指します。
試用期間中解雇または本採用拒否が認められる基準
「留保」されているとはいえ、会社が自由に解雇できるわけではありません。本採用拒否や試用期間中の解雇が有効とされるためには、「客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上相当として認められること」が必要です。通常の解雇よりは広い範囲で認められる傾向にありますが、慎重な判断が求められます。
2. 【近年の法改正】労働条件明示のアップデート
2024年4月からの法改正により、採用時の労働条件明示が厳格化されました。ミスマッチによるトラブルを防ぐため、以下の項目を契約書や求人票で明確にしているか再確認しましょう。
- 業務内容・就業場所の「変更の範囲」:試用期間中だけでなく、将来的な配置転換の可能性を明示する必要があります。
- 試用期間中の条件:本採用時と給与や待遇が異なる場合は、その内容を具体的に記載しなければなりません。
あわせてチェックしておきたい実務ガイド条件や業務範囲の明示方法について、「具体的にどう記載すべきか」を社労士が解説した専門資料を公開しています。法改正に対応した体制づくりのチェックリストとしてご活用ください。 |
3. 試用期間中解雇または本採用拒否が認められるケースと判断基準
「なんとなく社風に合わない」といった恣意的な理由は認められません。客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上相当として認められることが必要です。
| 理由 | 判断のポイント |
|---|---|
| 能力不足 | 一般職採用か、管理職又は専門職採用か、で判断基準が変わることがあります。また改善のための指導を尽くしたか、その実績も重要な考慮要素です。 |
| 勤怠不良 | 無断欠勤や遅刻の繰り返し。単なる回数だけでなく、会社側の督促や注意に従わなかった事実が重要です。 |
| 経歴詐称 | 学歴・職歴・保有資格、懲戒処分歴などをわざと偽った場合に、その詐称が「その事実を知っていれば採用しなかった」と言える程度に重大な要素であることが必要です。 |
| 健康状態 | まずは休職を勧め、復職の可能性を検討します。完治の見込みがなく、業務継続が不可能と医師が判断した場合に検討対象となります。 |
4. 解雇トラブルを回避するための「主な実務アクション」チェックリスト
裁判や労働審判では、解雇理由の有無だけでなく、「会社がどれだけ救済の手を尽くしたか(プロセス)」が厳しく問われます。以下の項目をクリアしているか確認してみましょう。
- 指導の記録(エビデンス)がある:口頭注意だけでなく、メールや面談記録など「いつ、誰が、何を指導したか」を形に残している。
- 改善機会を提供した:具体的な改善目標を提示し、様子を見るための十分な猶予期間を設けた。
- 本人の弁明を聞いた:一方的な通告ではなく、本人の言い分や事情を聴取する機会を作った。
- ハラスメントの有無を確認した:上司の過度な叱責がパフォーマンス低下の原因になっていないか調査した。
- メンタル不調の可能性を考慮した:勤怠不良の裏に、うつ病等のメンタルヘルス不調が隠れていないか確認した。
5. 解雇を決めた後に漏らしてはいけない事務手続き
「解雇」という決断に至った場合、人事担当者は速やかに以下の手配を行う必要があります。
解雇予告と「14日以内」の特例
労働者を解雇する場合、原則として「30日以上前の予告」または「30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)の支払い」が必要です。
ただし、労働基準法第21条では、「試みの使用期間中の者」については、入社から14日以内であればこの解雇予告の手続きが不要とされています。一般的な「試用期間」は数ヶ月に及ぶことが多いですが、この解雇予告が免除される法的な期間は「雇い入れから14日以内」に限定されている点に注意が必要です。14日を超えて引き続き雇用した場合は、たとえ企業の定める試用期間中であっても、通常の解雇予告の手続きが必要になります。そのため、カレンダー上での厳密な日数のカウントが欠かせません。
離職票の発行
試用期間中の解雇であっても、雇用保険の加入条件を満たしていれば離職票の発行は必須です。「会社都合」の解雇となるため、助成金への影響なども考慮しておく必要があります。
6. まとめ:「お試し採用」という意識を捨て、見極めの精度向上を
試用期間中の解雇または本採用拒否は、企業にとって多大な法的リスクとコストを伴います。
「試用期間中に判断すればいい」と安易に考えず、採用段階での適性検査、構造化面接、リファレンスチェックを徹底し、ミスマッチを最小限に抑えることが、健全な組織運営の鍵となります。
ランスタッドでは、最新の労務トピックや採用成功のヒントをメールマガジンでお届けしています。より安全で効果的な人事戦略のために、ぜひご登録ください。
![]()
【実務に役立つ無料ガイド】労働条件明示ルールの改正・徹底解説資料
試用期間中の条件や業務範囲の明示に不備があると、後のミスマッチや法的トラブルを招く恐れがあります。社労士が監修した本資料では、2024年4月施行の改正ポイントから実際の明示方法までを具体的に解説。不当解雇リスクを抑えるための体制づくりに、ぜひお役立てください。
