最近の転職事情。転職で給与が増えた人の割合・採用担当者が求める人材は?

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新型コロナウイルス感染症が経済に与えた影響はいまだ続いていますが、政府の支援もあり、業種・業態によっては回復の兆しが見え始めています。一方、近年はDX推進が課題とされ、デジタル社会の変化に対応するために、専門的なスキル・知識を有するハイクラス人材を求める動きが活発になっています。そこで最近の転職事情と、不足する人材を獲得・育成するための人材戦略について、給与調査のデータを用いてご紹介します。

(このWebページは一部抜粋版になります。全内容はダウンロード資料にてご確認ください。

PDF資料「最近の転職事情」をダウンロード

 

業界ごとの給与・平均年収の分布は?

平均年収は前年から増加傾向

業界の給与水準を知るために、まずは一般的な労働者の平均年収を見てみましょう。 

国税庁が公表している「令和3年分 民間給与実態統計調査の結果によると、民間企業に勤める人(役員含む)の平均年収(令和3年分)は、前年比2.4%増の443万円で、男女別で見ると男性が同2.5%増の545万円、女性が同3.2%増の302万円でした。平均年収の金額別の分布を見ると、ボリュームゾーンは「300万円超400万円以下(構成比17.4%)」と「400万円超500万円以下(同15.0%)」で、「800万円以上」は全体の1割程度にとどまっています。

 

▼平均年収の推移(対前年比)

  令和3年 令和2年 令和元年
全体 443.3万円(+2.4%) 433.1万円(-0.8%) 436.9万円(-1.0%)
男性 545.3万円(+2.5%) 532.2万円(-1.4%) 539.7万円(-1.0%)
女性 302.0万円(+3.2%) 292.6万円(-1.0%) 295.5万円(+0.8%)

出典:国税庁 令和3年分 民間給与実態統計調査

 

業種別の平均年収1位は「電気・ガス・熱供給・水道業」

業種別の平均年収を見ると、最も高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」の766万円、最も低いのは、「宿泊業,飲食サービス業」の260万円でした。また、平均年収が最も高い「電気・ガス・熱供給・水道業」は「年収800万円以上」が全体の41.7%を占めていますが、平均年収が最も低い「宿泊業,飲食サービス業」は「年収300万円以下」が全体の約66%を占めるなど、業種による違いが見られました。

 

職種別の平均年収TOP30は技術系職種が大半を占める

職種別の平均年収を「令和3年賃金構造基本統計調査」をもとに見ると、最も高かったのは「医師」の1,378万円で、「航空機操縦士」と「大学教授(高専含む)」が1,072万円で続いています。TOP10には医師やパイロットのように資格や専門的な知識を必要とする職種が上位にランクインし、TOP30まで見ていくと、「発電員,変電員」(15位)、「輸送用機器技術者」(18位)といった技術系の職種が目立つようになります。

 

▼職種別平均年収 ランキング

順位 職種
平均年収
万円
平均年齢
平均継続年数
医師 1378.3 45.3 7.7
航空機操縦士 1072.3 41.1 11.2
大学教授(高専含む) 1072.1 58.2 17.3
その他の経営・金融・保険専門職業従事者 1029.5 40.4 8.7
法務従事者 945.4 43.9 9.7
大学准教授(高専含む) 856.2 48.7 11.5
管理的職業従事者 840.5 50.7 21.7
歯科医師 787.2 38.7 7.0
システムコンサルタント・設計者 733.6 40.3 13.6
10 研究者 713.6 41.3 13.2

出典:厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査をもとにランスタッドにて試算

 

このように、スキルや専門的知識を必要とする業種・職種を中心に、平均年収は高くなる傾向にあります。人気がある職種や即戦力、ポジションやスキルの高い「ハイクラス人材」の採用では、平均年収を上回る報酬を提示する必要があるでしょう。

 

転職で給与が増えた人の割合はどのくらい?

転職先を選んだ理由上位は「仕事内容に満足」「能力が活かせる」

厚生労働省の「令和2年転職者実態調査の概況」をもとに見ると、30.9%の人が何らかの準備をしてから転職活動を始めており、「産業・職業に関する情報等の収集をした」(42.9%)や「キャリアコンサルティングを受けた」(16.0%)といった回答が目立ちました。また、現在の職場を選んだ理由では、「仕事の内容・職種に満足がいくから」(41.0%)や「自分の技能、能力が活かせるから」(36.0%)といった回答が多く、賃金より働きがいを重視する傾向が見られました。

 

転職後の給与は転職前と同水準、労働時間は減少傾向

転職後の給与は「増加した」(39.0%)と「減少した」(40.1%)が同程度で、全体の約4割が転職前とほぼ同水準(「1割未満増加」「変わらない」「1割未満減少」の合計)でした。ただ、年代別では働き盛りの30代・40代は転職で給与が増えた人が多くなりましたが、50代になると給与が減った人が増えています。 

ちなみに、転職後の労働時間が「増加した」のは26.3%、「変わらない」のは33.6%、「減少した」のは39.3%で、転職後の給与は労働時間増減の影響を受けている可能性もありそうです。

  増加した 変わらない 減少した
全体 39.0 20.2 40.1
参考 労働時間 26.3 33.6 39.3

出典:厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査

 

採用担当者はどんな点を考慮して採用するべきか?

転職者採用の理由は管理・専門性が問われる職種ほど経験・即戦力重視

転職者を採用する際の様子を企業側の視点から見ていくと、転職者の採用理由は「経験を活かし即戦力になるから」がどの職種でも多く、「管理的な仕事」と「専門的・技術的な仕事」でその傾向が顕著でした。一方、「販売の仕事」や「サービスの仕事」は「離職者の補充のため」との回答が他の職種に比べて高く、離職によって生じた欠員を、即戦力で補おうと考えている様子がうかがえました。

  

転職者採用時の処遇は前職賃金よりも「経験・能力・知識」をもとに決定

転職者を採用する際の処遇を決める際には、「前職の賃金・役職」などを重視する事業所は少数派で、「これまでの経験・能力・知識」をもとに決めている事業所が過半数に達しました。転職者の処遇を決める際には、それまでの経験や能力・知識を重視する傾向があるようです。

 

▼転職者の処遇を決める際に考慮した要素

  複数回答
単一回答
最も重視した要素
これまでの経験・能力・知識 74.7% 53.7%

出典:厚生労働省 令和2年転職者実態調査

対象者は無作為に抽出した9,149事業所、調査期間は令和2119日~令和2127
数値は該当する職種で転職者を採用した事業所数を100とした割合

 

リスキリングはこれからのテーマ。ハイクラス人材獲得と並行して推進を

近年はデジタル化で新しい職業が生まれたり、仕事の内容が大きく変わる職業が現れたりしており、変化に対応するためにも専門的なスキルや知識を持つ人材の獲得が欠かせません。しかし、人手不足などの影響で必要な人材を計画通りに採用できない可能性があり、既存の職員のスキルアップで人材不足を解消する「リスキリング」が重要になると考えられます。

リスキリングとは、「働き方や、今の職業で必要とされるスキル・知識の変化に適応するため、必要なスキル・知識を獲得すること・させること」です。政府は日本経済の活性化に向けた「人への投資」の一環として、リスキリングの支援に今後5年間で1兆円を投じる方針を示しており、さまざまな支援が行われることが期待できます。

 

まとめ

近年は、一部の人気職種が売り手市場にあり、平均的な年収を上回る条件を提示しても採用が難しいケースがあります。そのため、魅力的な賃金を提示できるよう準備しておくと同時に、入社後もスキルアップできる体制を用意しておくこと、つまり、リスキリングを推進していくことは、転職者の採用においてもインセンティブになるはずです。

即戦力が必要な場合は、多彩な雇用形態のある ランスタッドの人材紹介サービスへご相談ください。リスキリングについては、今後もランスタッドから継続して情報を発信していきますので、採用戦略のご参考としてお役立てください。

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