「成長と雇用の好循環の実現」を掲げる政府、新年度の労働政策方針

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厚生労働省は、4月から始まる2022年度の雇用労働政策の柱に、ポストコロナに向けた「成長と雇用の好循環の実現」を掲げます。具体的には(1)雇用維持・労働移動・人材育成(2)多様な人材の活躍促進(3)働きやすい職場づくり

――を政策の中心に置き、「人手不足分野への労働移動の推進」「良質なテレワークの導入促進」をキーワードに、各種施策を講じて企業の取り組みを後押しする考えです。

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(1)の施策としては「雇用の維持・在籍型出向の取り組みへの支援」「デジタル化の推進、人手不足分野への労働移動の推進」など。(2)では「就職氷河期世代の活躍支援」「障害者の就労促進、外国人の支援」など。(3)は「良質なテレワークの導入促進」「総合的なハラスメント対策の推進」などに取り組みます。本年度と類似する項目もありますが、中身を検証すると、コロナ沈静化後のポストコロナを意識した「雇用の守りと攻め」の施策が際立ちます。その視点で掘り下げてみると、下記のように整理できます。

 

(1)雇用維持・労働移動・人材育成

「守り」の施策となる「雇用の維持・在籍型出向の取り組みへの支援」では、各都道府県が実施する業種転換を伴う再就職支援の取り組みに補助金を支給するほか、都市部から地方への移住を伴う再就職支援も後押しします。地方自治体は、一連の再就職支援の事業のスキームや運営について、人材サービス事業者に協力を求める見通しです。

「デジタル化の推進、人手不足分野への労働移動の推進」では、全国の生産性向上人材育成支援センター(生産性センター)にDX人材育成推進員(仮称)を配置して、中小企業のDX人材の育成を図る方針です。また、こうした事業をスムーズに展開するため、紹介や派遣・製造請負の優良事業者認定制度の充実・拡充による「民間人材サービス事業者の推奨」も明記され、予算が計上されています。

 

(2)多様な人材の活躍促進

このカテゴリーに入る「就職氷河期世代の活躍支援」については、2020年度を皮切りとする「3カ年集中支援プログラム」の一環で、新年度が最終年度となります。ポストコロナの施策に絡めて、地方自治体に予算を配分して事業を加速させる方針です。

外国人材については、コロナ収束を見据えた「中期戦略」として、受け入れの環境整備を強力に推し進めます。一方で、農業や漁業など第一次産業の分野で労働基準法違反などが際立つ「技能実習」は、実地検査や相談支援の実施を強め、「特定技能への移行」を促す考えです。

 

(3)働きやすい職場づくり

「総合的なハラスメント対策」や「良質なテレワークの導入・定着促進」「副業・兼業を行う労働者の健康確保に取り組む企業への支援」が施策の軸となります。「ハラスメント」は、4月から中小企業にも適用される「パワハラ防止法」の実効性ある運用促進に注力すると同時に、客から従業員への恫喝や理不尽なクレーム、過剰な要求などを指す「カスタマーハラスメント(カスハラ)」の防止も強化します。ハラスメント対策はこれまでの「企業内」から「対取引先企業、対顧客」へとその対象が広がる流れとなっています。

取材・文責 アドバンスニュース

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