賃上げ機運高まる、企業の半数が「税制優遇に関わらず賃上げ」 

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今年の日本経済のキーワードは「賃上げ」です。「新しい資本主義」と「成長と分配の好循環」を掲げる岸田政権は、コロナ禍にあっても3%を超える賃金引き上げの協力を経済界に要請しています。1月3日の経済3団体の新年祝賀会では「日本経済の局面転換に弾みをつけるためにも、賃上げに攻めの姿勢でご協力いただけるようお願いする」と求めました。

 

こうした再三の呼び掛けに企業はどうこたえるのか。帝国データバンクの調査によると、政府が賃上げ企業の税制優遇強化に乗り出すことについて、「優遇措置に関わらず賃上げする」と回答した企業は48.6%に上り、「現状ではできない」とするものの、「優遇措置が大きくなれば検討」は22.3%、「優遇措置が大きくなれば賃上げする」が8.5%ありました。「優遇措置に関わらず賃上げできない」は8.1%に留まっています。

 

 ただ、企業規模によって考えが異なり、「優遇措置に関わらず賃上げする」と答えた企業のうち、大企業が53.6%だったのに比べ、中小企業は47.9%、小規模企業は37.6%となっています。

 

 岸田新政権は22年度税制改正で、控除率の引き上げなど賃上げ企業に対する税制優遇措置をさらに拡大します。コロナ禍が収まってきていることで企業の賃上げ意欲が強まっている半面、ここに来て原材料価格の高騰などのマイナス要因もあることから、仮に賃上げしても小幅な賃上げ率にとどまる可能性もあり、3月をヤマ場とする春闘などで労使の攻防が強まりそうです。

 

 調査は、有効回答1651社分を集計。企業規模は中小企業基本法に基づき、製造業の場合は従業員300人超などを大企業、300人以下などを中小企業、20人以下を小規模企業に分類しています。

 

大企業と中小企業の賃上げ優遇税制


賃上げに積極的な企業を支援する「賃上げ税制」の仕組みは、法人税から差し引く控除率を、賃上げに向けた企業の取り組み状況に応じて、現在の15%から、大企業で最大30%、中小企業で最大40%に引き上げるものです。今回の税制改正では、企業の賃上げを強く促すため、賃上げの大きさに応じて控除率を段階的に引き上げる格好に改めます。

 

具体的には、大企業や中堅企業は、継続して働く従業員を対象に給与やボーナスの総額が前の年度より3%以上増えた場合、従業員全体の給与の「増加額」の15%を法人税から差し引きます。4%以上増えていれば控除率を25%まで拡大します。さらに、上乗せ措置として、従業員の教育訓練費を前の年度より20%以上増やした場合には控除率を5%追加して最大30%とします。

 

また、中小企業は、従業員全体を対象に給与やボーナスの総額が前の年度より1.5%以上増えた場合、「増加額」の15%を法人税から差し引き、2.5%以上増えていれば30%まで拡大。上乗せ措置として、従業員の教育訓練費を前の年度より10%以上増やした場合には控除率をさらに10%追加して最大40%とします。

 

取材・文責 アドバンスニュース

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