優秀なHRマネージャーに求められる5つの必須スキル

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HRマネージャーは幅広い責任を負い、優先課題も常に変化します。あなたがHRマネージャーなら、採用、オンボーディング、キャリア開発、業績評価、報酬・福利厚生、従業員関係、さらにその他多くのことにも責任を負っているかもしれません。

HRマネージャー職は需要が高く、米国労働省労働統計局のデータによる2029年までに雇用数の6%増(※1)が予測され、すべての職種の平均を上回っています。その責務は組織によって異なり、常に変化しますが、HRマネージャーに求められる基本スキルの多くは組織の規模や業種、場所にかかわらず共通しています。そこでこれから優秀なHRマネージャーの5つの必須スキルをご説明します。具体的には次の通りです。

 

    • 機敏さ
    • 分析力
    • コミュニケーションスキル
    • 共感力、思いやり
    • 分別、倫理観

 

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機敏さ

HRマネージャーであるあなたは速やかな変化への対応を求められる場面にしばしば遭遇しているはずです。例えば重要ポジションの従業員が突然退職した時の人員補填や予期せぬリストラの準備など。ビジネスニーズは変化しますので、機敏さはすべてのHRマネージャーにとって大切なスキルです。HRで言うところの機敏さとは、従業員の期待の変化や職場の混乱、ビジネス要件の変化に効率的に対応する力を意味します。

HRマネージャーとして機敏さを発揮する一つの方法は、組織内のタレントモビリティ(人材の流動性)文化の醸成です。ビジネスにプラスの効果があることが実証されています。IBM Smarter Workforce Instituteのデータによると、HRリーダーの80%(※2)がタレントモビリティの推進によって採用コストの抑制、人員補填までの時間短縮、新規採用者が生産性を高めるまでの時間短縮、定着率の改善、キャリア満足度の改善、カルチャーフィットの改善などさまざまな重要なメリットがあると考えています。

効果的なタレントモビリティ戦略が備わっていれば、ビジネス要件に則した従業員のキャリアアップ、熱意、スキルを支援でき、ビジネスニーズの変化に適応できます。従業員は得てしてキャリアをまっすぐな道と考えていますが、まっすぐではなくむしろ格子状です。さまざまな役割や機能領域をまたぎ、新しいスキルや経験を身につけていきます。HRマネージャーは従業員が継続的にスキルや経験を広げ、スキルと職務とを合致させながら組織内を自由に異動するインターナルタレントモビリティの推進に重要な役割を負っています。

タレントモビリティの方法には例えば、キャリア開発配置転換、さらには再就職支援などがあります。

キャリア開発プログラムは将来に備えるためのファーストステップとしてよく用いられます。全従業員にキャリア開発の機会を提供することによって適応力のある人員体制を構築、維持し、イノベーションや変化に対応できる土台を築くことができます。配置転換はビジネスの需要の増減に合わせて、一時的または恒久的に社内の別の役割または職務に異動させる制度です。キャリア開発にしろ、配置転換にしろ、大切な要素はリスキリングとアップスキリング(※3)です。研修講座も、ストレッチプロジェクト、社内ギグワーク、チームプロジェクトなどの実地訓練も、スキル育成は継続学習文化の醸成に役立ち、その結果、従業員の成長型思考を養い、維持し、スキルを広げ、変化するビジネスニーズと合致させることができます。

タレントモビリティは社内の流動性だけの話ではありません。社外の役割へのスムーズな移行を助ける対策も必要です。人員整理は多くの雇用主にとってできれば避けたい最後の手段ですが、優秀なHRマネージャーは一時解雇を想定した事前の計画の重要性を知っています。Randstad RiseSmartの「2021年解雇手当・転職支援ガイド(※4)」によると、雇用主の63%が過去2年に再就職支援を開始しています。グローバル調査報告書、「Skilling Today(※5)」によると、企業の55%が転職支援の一環として従業員にスキリング用リソースを提供しています。この結果に対する回答者の意見は分かれますが、2020年に再就職支援対象者にスキリング支援を行っている雇用主のうち85%は対象者が新しい仕事を見つける手助けになるからと答えています。

従業員を大切にする企業は一時解雇対象者に有効な再就職支援を行う重要性を理解し、組織を去る従業員たちができるだけ早く次の仕事を見つける後押しになっています。

関連コンテンツ:タレントモビリティは道徳的にもビジネス的にも必要不可欠(英語サイト)

 

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分析力

近年、ビジネスリーダーは組織運営の効率化を目的としたテクノロジーの活用にますます力を注いでいます。最新テクノロジーを受け入れ、アナリティクスを理解しているHRマネージャーはビジネス効率をうまく高められ、新しいHRマネージャーを探しているのであれば他の候補者から一歩リードした存在です。

先頃のデロイト・グローバル・ヒューマン・キャピタル・トレンドレポート(※6)では、HRは今後大きく変化すると答えたHRリーダーの75%が、具体的にはHRの説明責任の増大と回答しました。結果の改善に説明責任を負うための一つの方法はデータの活用です。

HRマネージャーとして分析力を発揮し、インパクトのあるデータを駆使しながら採用に伴うコストと時間を把握し、従業員の離職原因のパターンを突き止め、従業員意識調査から共通の傾向やテーマを指摘できます。従業員の退職の際も転職支援を行う際も、やはり分析力(※7)を駆使して再就職支援プログラムの利用、再就職支援に対する投資の効率性、退職者感情についてリアルタイムのインサイトを導き出すことができます。このデータは最終的にエンプロイヤーブランドを守り、否定的なレビューを回避するために取り組みの有効性を改善し、アクションを調整する際の情報源になります。

正しい分析力があれば、HRマネージャーとしてエンプロイーエクスペリエンスを改善するだけでなく、HRチームがいかにデータを駆使し、業績アップに貢献しているかをリーダーシップチームに示すうえでも確かな手段が備わることになります。

 

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コミュニケーションスキル

HRマネージャーは将来の従業員から役員に至るまで日々さまざまな人と接します。従い、話し言葉も書き言葉も、優れたコミュニケーションスキルがあれば有利です。HRリーダーは会社ポリシーを簡潔明瞭に周知する責任を負い、それ以外にも求職者の面接、プレゼンテーション、問題解決など効果的なコミュニケーションスキルを必要とする責務が多種多様にあります。

ありとあらゆるコミュニケーションにおいて、HRマネージャーが意識すべき最重要事項の一つは透明性です。例えば、リストラや人員整理を行う場合、口頭でも書面でも、この先に予想される変化を早めに頻繁に従業員に伝える必要があります。人員体制の変更については、すべての答えや詳細がすぐに手元にない場合でも、憶測を生まないために頻繁に最新情報を提供しなければなりません。透明性のあるコミュニケーションは従業員の忠誠心と信頼を育み、それがひいては生産性の向上と長期的なビジネスの成功につながります。

関連コンテンツ:最適な再就職支援サービスプロバイダー選び:基本ガイド(英語サイト)

 

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共感力、思いやり

多くの企業で、HRマネージャーは従業員が質問や心配事があった時に相談する信頼できる頼みの綱と思われています。一流のHRマネージャーはたいていオープンドア主義(バーチャルを含め)です。従業員が安心し、大切にされている実感を得られる心地良い開かれた環境を用意しています。

HRリーダーとして共感力や思いやりを示す一つの方法は聞き上手になることです。中には心配事を抱えつつも、自分で問題の見当が付いていて、その場で答えがほしいのではなく、自分の考えを聞いてほしいがためにあなたのところにやってくる人もいるかもしれません。例えば、子育てや家族のケアなどのプライベートでの役割と仕事の両立に困っている人もいるでしょう。問題を抱えた従業員が相談にやってきて、フレックスタイム制度などの解決策を提案する場合は、口に出す前にまずは話を十分に聞き、相手の立場から考えてください。

共感は信頼に先立つものです。具体的な問題について1対1で話す場合も、人員整理などの厳しい発表をしなければならない場合も従業員の気持ちを気に掛けている姿勢を示すことによって信頼が築かれます。従業員との信頼関係作りはエンゲージメント、協力、生産性の向上につながります。

 

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分別、倫理観

HRマネージャーは従業員のプライベートやキャリアに関して大量の取り扱い要注意情報に触れることになります。HRマネージャーとして、懲戒や苦情、育成、一時解雇などの個人事項を十分な分別を持って取り扱うことが重要です。有効なHRマネージャーになるためには、取り扱い要注意情報を適切に取り扱い、従業員の最善の利益を念頭に認められた人にのみ情報を明かす能力が必要です。機密性に関して過ちが起きれば従業員の信頼を損ねるだけでなく、コンプライアンスの問題、あるいは法的影響へと発展するおそれがあります。

世界経済フォーラム(※8)は2020年1月に第4次産業革命(インダストリー4.0)の需要を満たすために2022年までにおよそ1億3,300万の雇用が創出され、現在の仕事の遂行に必要なコアスキルの42%は変化するとの予測を発表しました。HRマネージャー職も例外ではありません。ここに取り上げたスキルはHRマネージャーとして成功するために必要な数多くの特徴のほんの一部であり、仕事の世界の変化に伴い、専門スキルについては「常に学ぶ」姿勢を保つことが賢明です。

 
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[参考]

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