科学技術進歩を支える女性たち[女性活躍推進]

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パム・ステンソン(以下、パム)。CIO Executive Council会長。ソートリーダーシップをITプロフェッションの前進に役立てるため、世界中のITトップリーダーコミュニティの広がりに先頭に立って尽力しています。カウンシルチームを統括し、世界トップレベルのサービスの提供、組織の戦略的方向性の決定、カウンシルのメンバーリーダーシップや諮問委員会との密接な協力に努めています。

IT分野での経験は20年以上、2007年2月からカウンシルチームで重要な役割を担い、2009年2月にジェネラルマネージャーに任命されて以降、カウンシルのYouth in IT、Executive Women in ITメンバー作業部会の議長としても情熱を注ぎ、 ITWomen.orgの役員も務めています。

キンバリー・フェイヒー(以下、キンバリー)。ランスタッド、グローバル・クライアント・ソリューションズ担当バイスプレジデント。

キンバリー:CIO Executive Council会長として世界中のITリーダーの育成に取り組んでいらっしゃいますが、グローバルの視点から、女性はどのような領域にフィットすると思いますか? Women in Global Science and Technologyによると、世界主要国の科学、技術、イノベーション分野で活躍する女性の数は極めて少なく、米国を含めいくつかの国では低下傾向さえ見られます。また、科学技術を学ぶ女子学生が増えている国においても、就職の段になってその多くが別の道を選択しています。こうした傾向をお感じになることはありますか?科学技術を学ぶ女子学生が増える一方で、別の仕事を選んでいるのはなぜだと思いますか?

パム:最初の質問(グローバルの視点から、女性はどのような領域にフィットするか)に関しては、この先にまだ長い道のりがあります。ここ米国ではさまざまな協調的努力により目覚ましい前進を遂げていますが、その一方で米国以外の国々では数字が悪化し、多くの文化では課題を認識し始めたばかりで、傾向に関するデータが限られているのが実状です。

後半の質問(科学技術を学ぶ女子学生が増えている国においても、なぜ別の道を選ぶのか)については、個人的な見解を申し上げると、科学技術専攻は男性が圧倒的に多く、この分野を選択している女子学生たちは非常に聡明で勇気のある突出した存在です。科学技術を学んでいれば、ほぼ何でもできます。多様性のある多次元的チームを作りたいと考えている企業のリクルーターはこうした優秀な女子学生を獲得する必要性を認識し、上級学年になると卒業後の獲得競争で逃してしまうことがないよう、契約金付きの魅力ある報酬パッケージを提示します。女性土木エンジニアの場合は特にこうした状況が広がっています。

キンバリー:技術分野の女性にとっての一つの課題は離職と考えられます。Center for Talent Innovationが行った調査では、米国ではSTEM関連職に就いた女性が1年目に辞める割合が男性よりも45%高いという結果が示されています。勤務開始から数カ月内です。STEM関連学位を取得した女性のほぼ5人に1人が就業していません。さらにはSTEM分野のシニアリーダーのほぼ3分の1が、女性が組織のトップになることはないと考えています。IT分野でも同じ傾向が見られますか?女性を技術分野から遠ざけている原因は何だと思いますか?

パム:私が率いている組織では経験豊富な幹部職員の支援を行っていますので、そうした傾向はありません。お話を伺うと確かに気がかりですが、私たちはSTEM分野の女性人材を獲得できています。ただしキャリアのスタート段階での定着には問題があると思います。私はその調査は見ていませんが、私が思うにライフバランスの問題だと思います。ビジネストランスフォーメーションがゲームチェンジャーテクノロジーの活用に大きく左右されるこのデジタル時代では特に、ITは極めて要求が厳しい分野です。

キンバリー:技術分野の女性人材不足は企業にとっても実際のところ不利益だと思います。National Center for Women in Technologyの調査によると、経営陣の女性比率が高いテクノロジー企業はROIが34%高く、技術チームに女性がいる場合、協調的な問題解決力や創造力が高まることがわかっています。女性がテクノロジー企業に与える付加価値について実例を何かご存じですか?技術分野の女性が組織にもたらす特性は何でしょうか?

パム:それなら簡単に答えられます。そのご質問については8年の経験があり、実例を知っています。事実、自分たちの特性や個性、女性が分かち合える物理的違いの活かし方を学んでもらうために、女性向けの総合リーダーシップ育成プログラムを構築しています。第一に女性は協力が得意です。第二に自然と気配りができます。第三に(本当はもっとありますが)マルチタスクに長けています。この3つの特性を組み合わせるだけでも、正しく活かすことができれば、組織にとって大きな力になり、メリットになります。

キンバリー:技術・工学分野の女性人材育成と、支援ネットワークを通じた社会人向けスキルアップ、学生教育、奨学金の提供に取り組むITWomenの諮問委員会メンバーも務めていらっしゃいますが、調査によると、大学でSTEM関連学部に入学した女子学生の5人に4人が高校またはそれ以前に専攻を決めているようです。その一方でフォーブス誌によると、理数系は概して男性の領域、人文学系が女性の領域であるといった無意識のバイアスが存在し、こうしたステレオタイプが女性の理数系に対する興味が育つ機会を妨げています。女性がSTEM分野で歓迎されないという筋書きを変えるためにはどのような方法があるでしょうか?例えば、ニュースフィードやフォトビューアーなど、Facebookのさまざまな機能の裏には女性エンジニアのアイデアやスキルが活かされていますが、こうした事例をもっと発信できれば、STEMに対する若い女性たちの興味をかきたてられるでしょうか?

パム:大きな問題ですね。ITWomenの取り組みは常に進化しています。まず、この素晴らしい組織を取り上げてくださったことに心から感謝します。ITWomenは、このNPOの支援がなければ夢の実現に手が届かない若い女性たちに機会を与えたいと考えた一人の偉大なる女性、ビクトリア・ウシェレンコが立ち上げた組織です。もともとSTEM分野に関心がありつつも、自分の環境では大学で勉強するなど叶うはずのない遠い夢と思っていた若い女性たちに、逆境に打ち勝つための支援を行っています。

ご質問にあった、STEM分野で女性たちが「歓迎」されるための方法ですが、まずは鼓舞することだと思います。この分野の仕事に就くことによって実現できることの人間的な側面を示せれば、つまり心に響くメッセージを届けられれば、志を持てると思います。CIO Executive Council (IDGCEC.com) でもITWomenでも、日頃一緒に働く若い女性たちは自分が努力したらどうなるのかをとても知りたがっています。「わぁ、すごい、かっこいい」と思えることです。言い換えると、STEMがどれだけの命を救っているか、どれだけの飛行機を空に飛ばしているか、今日の飛行機が上空何フィートを飛んでいるのかを計測できるのはなぜか、世界で最も高い建物は何メートルか、大西洋で最も青いマリーナはどこにあるか。こうしたインパクトある事例をうまく示すことができれば、興味がわくと思います。

キンバリー:ご自身のキャリアの中で、MCIに長く在籍していらっしゃったと思います。最後は北東営業・サービス部門のバイスプレジデントとして組織を率い、過去最高収益を達成しました。IT分野で働く女性として歩んできた道のりで一番大切にしている教訓は何ですか?技術職を検討中の女性、リーダーシップ職への昇進を望む女性たちに何かアドバイスはありますか?

パム:教訓は数え切れないほどあります。まずは、「スポンジ」になること。キャリアの浅い時期は特にそうです。個人的には、その時にわかっているかいないかにかかわらず、何か頼まれた時はいつも「やります」と言っていました。とにかくそれをチャンスだと捉え、その先に何があるかは考えませんでした。最近の若い人たちの多くは自分自身にプレッシャーをかけ、壮大なキャリア計画、人生計画を練り、リーダーシップ職を目指すかどうかは別として、それぞれが定義する成功に至るまでのプロセスをしっかりと練っています。私はそんな風に考えたことはありませんでした。私が若い頃はビジネスや物事の機能の仕方を広い視点から捉えていました。立派な経歴書を作り上げる意識はまったくなく、何でも挑戦してみたかったからです。人生は成るように成り、仕事はその一部、必ずしもうまく考えられた計画である必要はありません。私のアドバイスはただそれだけです。

インタビュー原文はランスタッドUSAの公式ウェブサイトに掲載されています。

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