働きたいと思われる企業になるには?採用力を向上させる取り組み実例

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優秀な人材を惹きつけ、引き込み、定着させる。それは企業が成長していくために非常に重要な要素であり、人事担当者にとっての重大なミッションであることは間違いありません。

 

ランスタッドが毎年行なっている、働きたいと思われる企業かどうか、企業としての魅力度を測る世界最大規模の調査『エンプロイヤーブランド・リサーチ』。第三者機関が世界共通基準のもとで実施し、エンプロイヤーブランドの高い「勤務先としての魅力度」を調査します。今年の調査結果によると、働き手の50%が「給与が増えても評判の悪い企業には勤めたくない」と回答。また、雇用主としての魅力度を備えた企業は、そうでない企業と比べ採用にかかるスピードが2倍近く早まるケースも出ています。
裏を返せば、募集しても欲しい人材が集まらないなら、求職者にとって魅力のない企業ということかもしれません。

 

では、求める人材に「ここで働きたい」と思われる“選ばれる”企業であるためには、どうすれば良いのでしょうか。勤務先としての魅力「エンプロイヤーブランド」向上を成功させた、ランスタッド取引先企業の事例をご紹介します。



働き手が求めているものは何か?『エンプロイヤーブランド・リサーチ 2021』

 

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2021年1月~2月にランスタッドが実施した『エンプロイヤーブランド・リサーチ ~働きたい、と思われる魅力ある企業へ~』によると、働き手が勤務先を選ぶ際に求めるものの第1位は「給与水準の高さや福利厚生の充実度」。次いで「快適な職場環境」、「ワークライフバランス」という結果となりました。
給与水準の高さや福利厚生の充実はもちろん大切ですが、職場環境やワークライフバランスといった“働きやすさ”が重視されていることがわかります。

 

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出所:「ランスタッド エンプロイヤーブランド・リサーチ 2021」

また、今回の調査では、新型コロナウイルスの影響も浮き彫りに。3人に1人がコロナ禍による働き方の変化を実感。しかも勤務環境に影響があった人のうち15%が転職を検討しており、転職意向が高い傾向が明らかになりました。

 

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出所:「ランスタッド エンプロイヤーブランド・リサーチ 2021」

コロナ禍の企業の状況による仕事配分や人材配置の変化、リモートワークの導入によるコミュニケーション不全により、求心力の低下に危機感を抱いている人事担当者もいることでしょう。この調査結果も、勤務環境の変化に対する不満もしくは将来への不安などが根底にあると推察されます。
企業側としては、従業員の心境の変化を察知し離職の芽を潰すこと、そして人材の流出を未然に防ぐ施策が必要になります。



「ここで働きたい」と思われる企業になるためのポイント

“選ばれる”企業に共通しているポイントは下記の3つ。

  1. 従業員を大切にしている
  2. 従業員の満足感が高い
  3. エンプロイヤーブランドを伝える土台がある
    ①従業員の声に耳を傾ける
    ②正直に発信する

 

上記を実践することで、魅力あるエンプロイヤーブランドを構築できると考えられます。それでは実際に働き手に選ばれている企業はどのように取り組み、そのブランド価値を引き上げているのでしょうか。



「従業員を大切にする」ための取り組み事例

ワークライフバランスを強化し働きやすい環境を整える

休みの取りやすさや残業が制御された環境は、女性がメインの職場では特に満足度が高い傾向にあります。特に子育て中の母親は、学校行事や子供の体調に起因する突発的な休みへの柔軟な対応はありがたいもの。働き続ける意欲へとつながります。

 

休みやすい環境を整える

エンプロイヤーブランドが高い企業では、従業員が休みを取りやすい環境を整備。シフトを組む前に休暇の希望を取ったり、シフトの事前確認をしたりすることで、希望通りの休暇取得を推進しています。

 

残業を制御する

残業が発生しそうな日を事前にヒアリングして調整することで、時間外勤務を減らす取り組みを行う企業が増えています。1日4時間分の残業が発生していたある企業では、残業時間分のみ派遣社員を雇用。結果として社員の残業がゼロになりました。

 

フレックスタイム

始業・就業時間を従業員が決められるフレックスタイム制も、従業員の満足度が高い制度です。業務時間を日ごと・人ごとに柔軟に調整できるため、業務実態に合わせて無駄を排除。ラッシュを避けられるなど、精神的・肉体的な負担の軽減にもつながります。

 

リモートワークの活用(オフィス業務)

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出所:「ランスタッド エンプロイヤーブランド・リサーチ 2021」

コロナ禍で拡大したリモートワークも有効活用されています。完全リモートで働く従業員の29%が、新型コロナウイルス対策を通じて会社へのエンゲージメントが増したと回答。これは、部分的なリモートで働く従業員よりも6ポイント高い数字です。
さらに、会社からの指示でリモートワークを行う従業員の29%が会社へのエンゲージメントが向上しているのに対し、自らの意思でリモートワークを行った従業員では18%。感染症対策を通じて、「会社がどれだけ従業員を大切に考えているか」が可視化され、エンプロイヤーブランドに数字として反映されていることが見て取れます。

 

働き手は“より安心して働ける環境”を求めており、テレワーク推進企業の募集には応募者が集中しています。週2~3日でもテレワークOKという企業は、完全出社よりも入社につながりやすい傾向が。さらにテレワーク関連の手当がある企業は、求職者の人気を集めています。

 

 

「従業員満足度を高める」ための取り組み事例

教育体制を強化し社内環境・風土を醸成

長く働き続けるためには「分からないことを聞ける」「気軽に相談できる」という環境は重要です。風通しの良い社内環境と風を醸成し、働きたいと思われるために行っている企業の取り組みをご紹介します。

 

マニュアルの整備

写真つきで分かりやすいマニュアルを、いつでも見られるように用意。マニュアルは、その通りに行えば誰でも標準レベルの業務ができるように落とし込まれています。

 

困った時に聞ける環境づくり

未経験からの入職の場合や、困った時に誰に聞いてよいかが分かるよう明確化し、安心して働けるようサポート。独り立ちする前に先輩や指揮命令者がマンツーマンで指導し、不安を取り除きます。

 

バディ制度の導入

バディ制度も有効です。「上司や先輩に聞くほどではないが判断に迷う」「ちょっと教えてほしい」という時に気軽に相談できる環境が作れます。

 

カフェスペースの導入

無料で利用できるカフェスペースの設置も効果的。カフェスペースでのミーティングは活発に意見が出やすい傾向があり、コミュニケーションの活性化に役立ちます。

 

評価制度の見える化でモチベーション向上(製造現場)

職場環境を整えるだけではなく、従業員の昇給・昇進、承認・成長を促す評価制度は満足度向上につながります。透明性の高い公正な評価制度を設計し、従業員に広く周知。基準を定量で設定し、頑張りが評価されて報酬に還元されると、モチベーションの向上につながります。
ただし派遣社員は成果を細かく把握されることを嫌う場合もあるため、導入・運用には注意が必要です。



「エンプロイヤーブランド構築の土台を作る」取り組み事例

  1. 「従業員の声に耳を傾ける」ための手法
    匿名で投書できる意見箱を設置し、不満や要望を収集している企業があります。意見への回答や改善のための取り組みを掲示板などで開示し、従業員の声と真摯に向き合うことが大切です。
    日常業務の中にアンケートを取り入れ改善点を拾う仕組みを構築している企業や、週1回のミーティングで不明点・改善を要する点を洗い出し、随時改善策を検討している企業もあります。
  2. 「自社のことを正直に発信する」重要性とその手法
    ここまでご紹介したエンプロイヤーブランド向上につながる取り組みを、社外に向けて発信することも重要です。その際大切なのは、“透明性のある真実の姿”を見せること。偽りのない情報を開示することが、信頼の獲得とエンプロイヤーブランドの向上につながります。
    社外への情報発信には、従業員に自らの言葉で自らのストーリーを語ってもらう手法が有効。会社のことを良く知り、日々をそこで過ごしている従業員が語ることこそ、エンプロイヤーブランドなのです。

 

従業員を大切にしている姿勢や従業員の満足度が高いことを求職者に向けて発信することは、優秀な人材を獲得することにつながっていきます。
一方で、SNSでの悪評や身近な友人・家族などからの悪い噂は、求職者にとって大きなマイナス要因に。せっかく選んだ候補者に辞退される事態につながりかねませんので、情報の取扱は非常に重要になります。

 

働きたいと思われる企業になるためには、従業員を大切にして働きやすい環境を整え、不満や不安を取り除き、公正に評価すること。働き手は、休みやすさや働き方の柔軟性、安全や健康への配慮を重視していることもポイントです。
そして従業員に対する企業の姿勢や取り組みを、正直に発信していくこと。透明性の高さと誠実な姿勢は、“選ばれる”企業に共通する重要な要素になっています。

 

 

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