あなたの会社は働きたいと思われていますか?~優秀な人材を集めるためのエンプロイヤーブランド事例~

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あなたの会社のエンプロイヤーブランド(働きたいと思われる企業の魅力度)は、優秀な人材を集められていますか?参考になる海外事例をご紹介します。

 

すべての企業のCEOが、人材獲得競争を勝ち抜くには魅力あるエンプロイヤーブランドが欠かせないと知っています。ですが、すべての企業が魅力あるエンプロイヤーブランドを構築できているわけではありません。あなたの会社は、キャリアサイトで求職者に注目され次々と応募がありますか?それとも全く注目されていませんか?もし自社ブランドがプラスではなくマイナスになっているようであれば、2020年はそれを見直すべき時です。

魅力あるエンプロイヤーブランドは、今日の厳しい人材市場において必要不可欠です。優秀な正社員人材の関心を引き、獲得する助けになるだけでなく、有期雇用の場合も人材にアクセスしやすく、採用コストと離職率を抑えるメリットがあります。さらに、エンプロイヤーブランドはコーポレートブランドや製品ブランドとも密接に関係していることが多いため、「選ばれる職場」という地位を得ることは売上やカスタマーロイヤリティにも良い相乗効果があります。

ところが、多くの企業がエンプロイヤーブランドの構築や活用に苦戦し続けています。その課題が有効な従業員への価値提案(EVP)を構築し、それを伝えることと関連しているケースは少なくありません。あるいは、エンプロイヤーブランドを有効化するための戦略が不十分なのかもしれません。企業によってはブランドビルディングを一元管理していないがゆえに、個々のアプローチやメッセージがちぐはぐになっていることもあります。問題点が何であれ、不十分な戦略と実行は失敗のもと。優秀な人材と関係性を築くことができません。

ランスタッド・ソースライトのエンプロイヤーブランディング・人材獲得・採用マーケティング担当ディレクター、フランチェスカ・カンパラニは、求職者に関心を寄せてもらうためには、ブランドを通じて何を伝えるべきかをまず理解する必要があると言います。嘘偽りのない戦略によって、その会社が明確に表明した使命や価値観に自分がなじめるかなじめないかを将来の従業員候補者たちがつかめるようにしなければなりません。

ランスタッドのエンプロイヤーブランド・リサーチ「Standing Out(英語版)」の中でフランチェスカ・カンパラニは次のように述べています。「エンプロイヤーブランディングは、その組織がなぜその活動を行うのか、なぜそこに仲間入りしたいと思えるのかを凝縮したものです。私は、企業が一体感を醸成し、人々を鼓舞する目的意識、所属意識、誇りを抽出して伝えられるよう、そのお手伝いをしています」

そのための企業リーダーへの助言は、企業としての目的意識、アイデンティティを伝えるためにストーリーテリングを活用すること、ダイナミックな視点でブランドビルディングに取り組むこと、そして私たちはポストデジタル世界にいるという事実を忘れないことです。ポストデジタル世界でエンプロイヤーブランドを強化するためにはソーシャルメディアやテクノロジーに相当の配慮が必要です。「魅力あるエンプロイヤーブランドストーリーは、自分が好きだと思う組織に属する喜びを伝えます」(カンパラニ)。

では、うまく機能することが証明された方法で説得力のあるエンプロイヤーブランドを構築するにはどうすべきでしょうか。ボルボアクゾノーベルネスレなどの企業はコンシューマーブランドとしてよく知られていますが、各社の優れたマーケティング力は人材との関係性を構築する領域にも及び、いずれも人材の心を刺激する方法としてのストーリーテリングの活用、ダイナミックな取り組み、ビジネスイノベーション、この3つの原則に従っています (この3社を含むグローバル企業のエンプロイヤーブランドビルディング事例について詳しくは、Standing Out(英語版)レポートをご覧ください)。

CoffeeCup_illustration

エンプロイヤーブランドを構築するための多彩なアプローチ

例えば、塗料・コーティング製品の世界的メーカー、アクゾノーベルのエンプロイヤーブランド戦略には技術進歩への情熱が反映されています。同社のグローバル人材・育成責任者、マルチン・スカルボン氏は、アクゾノーベルでの物語や、アクゾノーベルが人々の生活に与えている影響、塗料分野でのイノベーションや創造性がより良い社会のためにいかに役立っているかを従業員の口から語ってもらいたいと考えたと説明します。こうした努力によって、意欲の高い人材を集めようとしたのです。

塗料に対する私たちの情熱とエンプロイーエクスペリエンスにおける大事な瞬間にフォーカスすることが、当社のエンプロイヤーブランド戦略の軸です。従業員自身に体験を伝えるアンバサダーになってもらおうと考えました。会社が従業員のためにそれを正しく行えば、今度は従業員が優秀な人材の獲得に一役買ってくれます」(スカルボン氏)。

地域社会に発信し、その場所の労働市場での評判を高めるために、同社はアーティスティックに心を動かす方法で地域をサポートし、廃棄物の削減や持続可能性に関する新しい解決策作りのための競争を促し、これらの物語をソーシャルメディアで発信しています。

 

ネスレでのダイナミックな前進

従来の職務明細(job description:職務記述書)を廃止することは、魅力あるエンプロイヤーブランドの構築と正反対に聞こえるかもしれませんが、ネスレのマイケル・ディーン氏は、求職者にとっての関心は職務明細の内容よりも、世界でもよく知られた食品ブランドのカルチャーに自分がなじめるかどうかであると考えています。同社の採用マーケティング・エンプロイヤーブランディング・人材サービス会社管理を指揮するコーポレート責任者として、関係者の生の声、従業員のある日の動画、その他求職者と関係性を築くためのメディアなどを活用して人材を惹きつける非常にダイナミックな方法を採用しています。

「理想の人材に正しく狙いを定めるには、こうした求人のためのコミュニケーションを通じて相手が自分事と感じられる説得力のあるものにしなければなりません。例えばソフトウェアエンジニアを探しているのであれば、退屈な職務明細をずらずらと書き連ねたいとは思いません。最終的には、詳細な職務明細は途中で頓挫するのではないかと思います。求職者は関心を引かれ、その仕事やその会社のことが生き生きとわかるような、その組織の中にいる自分を思い描けるようなコミュニケーションを求めているからです」(ディーン氏)。

これはネスレにおける人材獲得戦略・プロセスの合理化のごく一部です。ほかにも、テクノロジーや地元サポートリソースの活用によるキャンディデートエクスペリエンス(候補者体験)の改善などの策が講じられています。

 

クルマより人を大切に

自動車メーカー、ボルボは安全なクルマ作りで知られ、その評判は世界中に広まっていますが、実は人に対する情熱がさらにそれを上回ります。ボルボの企業文化では従業員の価値を重視し、1台1台の安全なクルマを通じて従業員がいかに世界を変えられるかを強調しています。同様にボルボの従業員価値提案では人の重要性と、責任ある持続可能な事業活動が明確に示されています。同社のグローバルエンプロイヤーブランディングディレクター、マリン・パーランダー・モレン氏は、「ボルボは長い歴史のある企業ですが、当初から明確に人に目を向けていました」と説明しています。

自社のコアバリューに従うことは、エンプロイヤーブランドの構築における大切な道筋です。自動車産業は大きな変化の最中にありますが、モレン氏は家族的雰囲気が以前からの同社の魅力の一つであり、この変化の激しい時期においてもそれはこれからも変わらないと言います。「ボルボは人のために人が作った企業ですので、企業としての私たちの存在や立場を伝えるための最も偽りなく、最も通じる方法が、従業員の言葉を通じて伝えることだと考えています」(モレン氏)。

事業拠点を置く30以上の国でエンプロイヤーブランドを有効に発揮するために、同社には複数の組織を一体化させる世界的雇用主としてのブランドDNAがあるとモレン氏は言います。ただし、その実行や取り組みはローカルで考え、ローカルで行います。それぞれの市場の事情に合わせるためです。また、4万人を超える従業員間のネットワークや対話に配慮し、それが共有したい本物のストーリーを生み出す手助けになっています。

 

今日の厳しい労働市場において、魅力あるエンプロイヤーブランドの構築はどの企業にとっても優先課題です。ブランドビルディングには、選ばれる雇用主になるためのたゆみない育成と投資が必要です。Standing Out(英語版)レポートでご紹介している事例を参考に、評判が良いからこそ享受できるさまざまなメリットを手に入れてください。

また、エンプロイヤーブランドは働き方によって魅力のとらえ方は様々です。今後、日本でのエンプロイヤーブランドの構築事例についても職種や働き方毎に分けてご紹介していく予定です。次回以降も楽しみにお待ちください。

 

エンプロイヤーブランドとは?

「この企業で働きたい」と思われる
「勤務先としての企業の魅力」を意味します。
エンプロイヤーブランドを高めることは、優れた企業イメージを構成すると同時に、職場環境の改善を重ねることで、「働く人、家族、求職者にとって真に魅力ある企業」を目指すことになります。エンプロイヤーブランドは欧米を中心とした海外では、今や主流の言葉です。
ランスタッドは世界の企業が取り組む「エンプロイヤーブランディング」を日本にも広げ、企業の採用活動や組織力向上、そして働く人と企業の双方が真の力を発揮できる労働市場の創造に貢献することを目指しています。

 

ランスタッドが考えるエンプロイヤーブランド(勤務先としての魅力)や人材獲得へのヒントとなる記事はこちら

 

ランスタッドジャパンでも、第三者機関が世界共通基準のもとで世界最大規模の調査を行い、エンプロイヤーブランドの高い企業を調査する試み、エンプロイヤーブランド・リサーチを行っています。日本の働き手が企業に求める価値とは何なのか?そして雇用側の魅力を高めるにはどのようなことが求められているかもご紹介しております。
 
どの企業でも入手可能なカントリーレポートと、該当企業のみ入手可能なカンパニーレポートを用意していますので、ぜひ、企業のエンプロイヤーブランドの強化、その先の人材獲得戦略にご活用ください。

2021年エンプロイヤーブランドリサーチ国内レポートダウンロードはこちら

定期的に様々な企業のエンプロイヤーブランディングに関連する方をゲストスピーカーにお呼びし、これからのエンプロイヤーブランディングについてのブレインストーミングを公開し、皆さんと議論します。セミナー一覧はこちら

エンプロイヤーブランドの構築と優秀な人材獲得戦略への活用方法についての詳しい説明もご用意しています。「Employer Brand Matters」(英語サイト)をダウンロードの上。ぜひご一読ください。

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