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人材活用のヒント コールセンター編 第13回 アウトバウンドの効果的手法
1.DMフォローコールの落とし穴
日本のアウトバウンドアプリケーションのひとつにDMフォローコールがあります。例えばセールス系のアウトバウンドで事前にDMを送って到着時期をみてフォローコールをする手法です。インバウンドでの資料請求者に資料を送付し、その後のお伺いコールを実施するケースも多いようです。
DMフォローコールで重要なのは、DMの発送とフォローコールのタイミングです。DMはまとめて一括発送すれば少ない手間で済み、バルク割引で郵送費も低減できます。しかし、本当にそれでいいのでしょうか。1万通のDMを発送したとき、その1万人目の顧客にはいつフォローコールできるのでしょうか。本人が忘れた頃にフォローコールをしてもその効果が半減することは明らかです。
コール開始の週に、はたして何名の人員で何コールできるのかを予測し、それに見合った数量を前週に送付するべきです。また、DM送付の結果、問い合わせがインバウンドで入ることも予測しなければなりません。その顧客はアウトバウンドリストから適宜はずすという作業が必要になります。
2.アウトバウンドの命はスクリプト
アウトバウンド業務の成功可否の50%はスクリプトの出来で決まります。とは言え、スクリプト作成時に完璧を求める必要はありません。スクリプトはあくまでもガイドラインです。一定のストーリーに基いて全体のトークの流れを示すツールです。スクリプト作成者は、「自分がこの電話を受けたらどう反応するか」「自分がこのDMをもらったら何を疑問に思うか」といった顧客視点をまず持っていただきたいものです。さらに重要なのは、センター内での初期インストラクション時にスクリプトを受け取ったコミュニケータに受け入れてもらえたスクリプトであるかどうか、です。
「こんなに話さなければならないの?」「専門用語が多くて自信がない・・」「大変そう・・」と思われてしまった瞬間、そのコール業務自体失敗することが多いのです。いかに「私でもできそう・・」「何とかなりそう・・」と思ってもらえるかなのです。コミュニケータにさえ受け入れてもらえないスクリプトでは、お客さまに真意を伝えることは困難です。スクリプトはシンプルに!あとはFAQで補完するべきでしょう。
また、アウトバウンドの場合、お客さまは「YES」より「NO」の反応が多いことが実態です。「NO」の流れに入ったときにいかに「次回につなげる話法」をきれいに述べるか、も重要な要素です。コミュニケータは「また次もきっと断られる・・」というマイナスのスパイラルに陥ります。コミュニケータのモチベーション維持にもスクリプトは重要な役割を果たすのです。
3.いかに成果をあげるか
アウトバウンドにおいて成果を上げるためのキーワードは「コンタクト率」と「承諾率」です。
まず、話をしたい本人と接触できなければ意味のないコールになります。「不在完了」という結果が多くを占めるようでは失敗でしょう。コンタクト率を上げるためには、架電リストを詳細に分類・分析して、架電すべき時間帯・曜日をいかに正しく認識するか、という予測作業が必要です。BtoCであればお客さまの住所・職業・年齢・家族構成などから、BtoBであれば会社規模・職種・役職などからある程度推定できます。もちろん過去のコンタクト履歴の集積が重要なことは言うまでもありません。また、コンタクト率は2時間ごとにチェックすることをお勧めします。方向修正をしながら最終成果に結びつける必要があるからです。
本人コンタクトができれば次は「承諾率」です。いかに「OK」をもらうか、そのためにはスクリプトに盛り込まれた説得性、納得性が必要です。カタログに羅列されているようなSales Pointをいくら並べても効果はありません。顧客の立場に立った「Buying Point」に言い換えて初めて心の琴線に触れることができるのです。FAQもここで大いに効果を発揮します。
お客さまは自分の意思で最終決定したいのだ、ということを肝に銘じてください。
著者プロフィール
コールセンター専門コンサルタント 鈴木 誠 (すずき・まこと)
コールセンター新規設立やセンターの現状分析、改革に関するコンサルティング業務の中で、戦略立案、センターマネジメント確立、人材育成、品質向上、生産性アップ、スクリプト開発など幅広いノウハウを実務レベルで提供。セミナー講演やJTAスクール「スクリプト作成講座」の常任講師も担当。
*本記事は過去に公開した内容を再編集して掲載しております。