『Amazonの採用マーケティング×エンプロイヤーブランディング 試行錯誤とこれから』 レポート③エンプロイヤーブランドのための取り組み

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エンプロイヤーブランドを向上させるための活動には正解がありません。前回の「レポート②エンプロイヤーブランド向上のために」では、成果の可視化とこれからの展望についてお話しいただきました。

レポート最終回となる今回は、アマゾンジャパン合同会社 人事部プログラムマネージャー 森本氏とファシリテーターであるランスタッド株式会社 タレントアトラクション部部長 西野に寄せられた質問と回答をご紹介します。

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ゲストスピーカー
森本 麗 氏
アマゾンジャパン合同会社 人事統括本部 人事部 リクルーティングマーケティング プログラムマネージャー
 
人材サービス企業を経て、2014年に中途採用担当としてアマゾンジャパン合同会社に入社。その後プログラムマネージャーに職種変更し、現在は採用マーケティングおよびエンプロイヤーブランディングを担当。

 

ファシリテーター
西野 雄介
ランスタッド株式会社 人事本部 タレントアトラクション部 部長
 
人材会社を経てシンガポールへ移住し、エンワールドのシンガポール法人にて経営人材ヘッドハンティングや同事業の経営を経験。帰国後は事業会社の人事・採用責任者等を経験し現職。Forbes JAPANのオフィシャルコラムニストとして、キャリアや組織についても発信。

 

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エンプロイヤーブランディング/広報・PRの役割分担と協業

――アマゾンジャパンでは“広報・PR部門”として森本さんと別の部署があるのでしょうか。その部署と森本さんとの役割分担と、どのように協業されているのか教えてください

西野:ご視聴いただいている方からたくさん質問をいただいています。初めにこちらの質問です。
 

森本:広報・PR部門は私が所属しているタレントアクイジション(以下、採用チーム)とはまったく別部署として存在しています。
 
ただ、部署は異なるものの、持っているスコープや発信していきたい内容はかなり重複する部分があるのは事実です。
 
たとえばPRの部門でも、アマゾンジャパンの制度や仕組みといった“ワークプレイス”の魅力を社外にアピールすることをスコープに持っている人がいたり、会社としてダイバーシティを重んじているということをもっと知っていただくための活動をしている人がいたり、その他、Amazonの商品やサービスがいかにイノベーティブか、チャレンジングな仕事があるかを世の中に発信することをミッションに持っている人がいたりします。どれも採用チームとしてもすごく候補者の方にアピールしたい内容なんですよね。

ですので、PR部門との協業は必須だと思っています。お互いに重複しているところを持っていることは知っていて、それぞれが作っているコンテンツを共有したりする時もあるのですが、「もっとできる。もっとできそう。」という印象はすごくあります。まだまだ広げていける余地が多いにあると思うので、ここはこれから着手していくべきエリアとして課題認識しています。
 

西野:おそらくここって無限ですよ。PRはPRでたくさん情報を持っていて、「あの情報を発信してくれてありがとう」ということもたくさんあるでしょうし、それを今、目の前の採用に活かしたいということも、きっとたくさんありますよね。
 

森本:ありますね。PR, 採用チームそれぞれが別でSNSのチャネルを持っていたりもするので、お互いが独自で作ったコンテンツを、それぞれのチャネルでシェアし合うだけでも、普段採用チームだけではリーチできないオーディエンスに情報を届けることができたり、逆も然りです。そういう単純な話からでも十分にコラボレーションできるだろうなと思いますね。
 

西野:アマゾンジャパンには広報・PR部門と、エンプロイヤーブランディングを採用側でやる担当と、きちんと両方いらっしゃるということ自体が少し進んでると思います。というのも、「これどっちがやるんだろう」となりかねないと思うんですよ。
 

森本:そうだと思います。会社によっては、PR部門の中にエンプロイヤーブランディング担当がいる場合もあるでしょうね。
 

西野:どっちが正解というのはたぶん無くて、ただ、両方持っているというのが一番理想的で、これからどうやってコラボレーションしていくかが大切なのかなと思います。

これはランスタッドもそうなんですが、広報・PR部門はエンプロイヤーブランディング部門とは別にあります。定期的に情報交換しながらいかに情報発信していくかというのは、「一緒にチームになってやっていく」という気持ちがすごく大事だと思うんですよね。
 
 
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エンプロイヤーブランディングに社員を巻き込むための方法は?

――お二人が社員を巻き込むために工夫していることがあれば、具体的に教えていただきたいです

森本:社員を巻き込んでいきたいという“思い”はお話しさせていただきましたが、これからのお話なので「今現在これがすごくワークしている」という話ができずに恐縮です……。
巻き込むためにやった方が良いと思ってるのは、すごくシンプルな話ですが、ビジネスリーダーから発信してもらうことです。同じ話であったとしても、自分達の部門のリーダーからの発信は、そのチーム内にいる人たちを動かす大きな原動力になると思います。

たとえば「会社の良いところをSNSで発信してください」とビジネスリーダーから単純にお願いするのではなく、「何のためにそのアクションを取ってほしいのか、それに協力することによりどうなるのか」をメッセージとして伝えてもらう。そうすると受け手にとってより納得感が生まれ、自発的にやってくれる人が増えそうな気がします。

たとえば、チームの中で今これだけのオープンポジションがあります。それをいち早く埋めるために採用マーケティングの活動をしていくものの、その活動の効果を最大限に発揮させるためにはエンプロイヤーブランディングが必要で、そこを支えているのは実は社員の皆さんのリアルな声だったりするんです、というような感じで。

今オープンしているポジションが全部埋まれば皆さんの仕事も楽になってハッピーな状態になるので、そのために皆さんの力が必要なんですという、自分達にとってどういうリターンがあるかまで説明するのがベストかなと思います。ビジネスリーダーからの発信というだけでもシンプルに響くと思うのですが、「なぜ必要なのか」「やった結果として何が得られるのか」という理由づけがあるとさらに良いかなと思いますね。
 

西野:何のためにやっているかがクリアになり、みんなの納得感や腹落ちがあれば、どんどんやっていきますもんね。
ランスタッドはリーダーたちがどんどんSNSで発信しているんです。日本のCEOもどんどん発信していて、社員に会うとすぐセルフィーを撮って、すぐ加工して、すぐSNSに載せるんです。

それが派生していきますよね。やってください、と言うよりは、やっているのをみんなが見て影響されていくというのは良いと思いますね。

森本:素晴らしい。CEO自ら! それは良いですね。

 

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女性の採用につながるエンプロイヤーブランディング

――女性の積極的な採用を目指すために、ブランディングとしてやっているキャンペーンなどはありますか

西野:次の質問です。女性の採用、大きいテーマですよね。


森本:どこの会社も苦労されているテーマではないかと思いますね。女性採用については、採用非直結型ですが「女性のキャリアを考える」というテーマでイベントをいくつかやってきました。

その他、日本での取り組みはまだ始まっていませんが、たとえばインドでは妊娠・出産を経て一定のキャリアブレイクがある女性にターゲットを絞り、キャリアブレイクがある女性を歓迎するポジションを特集してうまくマッチさせるなどのプログラムもあります。その取り組みを通じて入社した方々の実際のサクセスストーリーや、活躍ぶりを発信したりもしていて、日本でも近しいことをやっていきたいと思っています。
 

西野:よく見ますね、「アマゾンはこれを何のためにやってるんだろう」という、世の中的にはありがたいイベントを結構やっていますよね。

 


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これからエンプロイヤーブランディングをどう形にしていくか

西野:採用した社員から「あまり情報が出ていない」というフィードバックがある(前回の記事参照)ということですが、「あまり知られていないけど、アマゾンジャパンには実はこんな良いところがある」というポイントはありますか?
 

森本:イメージとしては持っていただいていると思うものの、それがポジティブに捉えられているかは分からないということで言えば、すごくダイバーシティが進んでいる環境であるという点が挙げられるかなと思います。

国籍・性別だけに限らず、色々な区切りがあると思いますが、本当に色々な人が働いていて、色々な価値観の人がいます。外資系はそもそもそういうイメージを持たれていると思いますが、その環境がいかに素晴らしいかという点まではあまり伝えきれていないのではと思っています。

価値観が違う人や育ってきたバックグラウンドが違うさまざまな人が集まることで、幅広いバリエーションのアイデアが豊富に出るんです。自分では思いつきもしなかったアイデアがさらっと出てきたり、まったく想定外の角度からの意見や質問が出てきたりととても新鮮です。

日本で働いていると、日本特有の慣習的なものなど、さまざまなしがらみに邪魔されてしまうこともあると思うのですが、そういうものが極めて少なく、自分の価値観が当然という感覚すらあまり持たなくなる。みんなが違って当然という前提のもと、フラットな目で「慣習的にこうでしょ」「普通こう思うでしょ」という感覚を取っ払ってやり取りができるのはすごくやりやすいですね。
 

西野:今のはまさにエンプロイヤーブランディングだと思うんですよね。これって分からないじゃないですか。お話ししていただいたからこそ感覚も含めて掴めますけれど、文章で読んでもなかなか伝わりづらいですし。
こういうことを、どうやって形にして伝えていくのかというのを考えていく必要があるのでしょうね。
 

森本:「エンプロイヤーブランディングとは」とか「何をやっていくべきか」とか、日々の業務の中では目の前のタスクに忙殺されてしまい、落ち着いて整理して考える時間がなかなか取れずにいました。かつ、私は今日本においてはチームの中で一人でこの領域を担当しているので、なかなか同じくらいの目線でエンプロイヤーブランディングについて深く話し合うという機会が持ちづらい環境だったので、今日は勉強になりました。ありがとうございました。
 

西野:我々二人で話していても限界もあるので、ぜひ今視聴して下さっている皆さんとも一緒にディスカッションをしていければと思っています。

 

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