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男性の育休促進に向けて議論、労政審 育休取得が低レベルのまま推移
政府目標「20年に男性13%」はほど遠く
労働政策審議会の雇用環境・均等分科会は10月19日、前回(9月29日)から始めた「男性の育児休業取得推進」について議論を継続しました。女性に比べて男性の育休取得が低レベルのまま推移しており、女性の雇用継続などに悪影響を及ぼしていることから、男性の育休取得を促進するのが目的です。検討項目として、現行の育休より男性が取得しやすい柔軟で新たな仕組みをつくるかどうかを検討。具体的には、対象期間や対象日数、現行の取得できる権利を変更するかどうか、育休の分割取得の可否、取得促進に向けた職場環境の整備――が挙がっています。
これについて、労働者側委員は基本的に賛成で、「企業全体を対象にした研修などを必須にすべきだ」と周知の必要性を強調したのに対して、使用者側委員は「分割取得などは手続きが煩雑になるため、申し込み期限は現行と同じ1カ月前が妥当」「中小企業は代替要員の確保が大変」などと慎重姿勢に終始しました。公益委員からは「日本の育休制度は他の先進国と比べて遜色ないが、柔軟性に欠けるのが欠点」という問題の指摘がありました。
厚生労働省によると、日本の育休取得率は女性の83.0%に対して、男性は7.48%(いずれも2019年度)と男性の取得が圧倒的に少なく、政府目標だった「20年に男性は13%」には遠く及ばないのが実情。利用しない理由として「制度が整備されていない」「育休を取得しにくい雰囲気」「収入減を避けたい」などが挙がっています。厚生労働省は議論を加速させ、社員に取得を推奨することを企業に義務づける法改正に踏み切る構えです。
テレワーク定着で4割が「郊外住居増える」
ニッセイ基礎研は10月15日、第2回「新型コロナウイルスによる暮らしの変化に関する調査」結果を発表しました。9月25~28日に実施し、全国20~69歳の男女2066人に行動変容、生活不安、今後の予測・期待などを包括的に聞きました。第1回調査の6月末当時との比較が中心になっています。
その中で、働き方(回答1438人)については、「オンライン会議や打ち合わせが増えた」人が22.4%(前回比0.6ポイント増)、「在宅勤務などのテレワークが増えた」人も16.7%(同0.2ポイント増)で前回とほぼ変わりませんでしたが、「勤務先への出社が増えた」人が8.8%(同3.8ポイント増)あり、徐々に出社機会が増えている様子がうかがえます。
一方、「上司や同僚とのコミュニケーションが減った」人は22.9%(同6.2ポイント減)と低下しましたが、「上司や同僚との会食が減った」人は34.9%(同3.7ポイント増)に増えました。労働時間については23.8%(同3.3ポイント減)が「減った」と答えました。
今後の見通し(2066人)については、「生活基盤を支える職種が評価されるようになる」が48.8%(同3.7ポイント減)と最も多く、次いで「在宅勤務が増え、時間管理型から成果主義へ変わる」が38.2%(同0.6ポイント増)、「郊外の住居が増える」が38.6%(同3ポイント増)に増えるなど、働き方をめぐる環境の変化を感じ取っている人が増えていることがわかりました。
監督指導の7割超、6796件の法令違反
厚生労働省が10月9日発表した2019年「技能実習生の実習実施者に対する監督指導状況」によると、全国の労働基準監督署で9455件の監督指導を行い、そのうち71.9%にあたる6796件で労働基準法などの法令違反が認められました。
違反事項の内訳は「労働時間」が2035件(全体に占める比率21.5%)で最も多く、使用機械などの「安全基準」の1977件(同20.9%)、「割増賃金の支払い」の1538件(同16.3%)が上位を占めています。
取材・文責
(株)アドバンスニュース