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広がる外国人就労、「特定技能」「特定活動」の対象拡大
広がる外国人就労、「特定技能」「特定活動」の対象拡大 「自動車運送業」「鉄道」「デジタルノマド」など
構造的な人手不足が深刻化する中、外国人の就労拡大に向けた在留資格の拡充が加速しています。今年に入って政府は、在留資格「特定技能」の対象に自動車運送業や鉄道など4分野を追加するほか、国境を越えて移動しながらIT関連の仕事をする「デジタルノマド」と呼ばれる人材に在留資格「特定活動」を与える方針を固めました。これらの拡充は今年(2024)4月から適用される運びです。
特定技能:創設以来初の分野追加、「2024年問題」も念頭
中長期的な外国人の受け入れを目的とする「特定技能」は、2019年4月の創設から5年が経過しました。現在、「農業」「漁業」「外食業」「介護」「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業(2022年統合)」など計12分野で運用されてきましたが、政府は「自動車運送」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野を追加します。分野の拡大は制度創設以来、初めてとなります。
「特定技能」には、相当程度の知識・経験を要する最長5年滞在の「1号」と、熟練した技能を持ち永住も可能な「2号」があります。追加される「自動車運送」は、バスやタクシー、トラックの運転手などを想定。4月から運送業などの時間外労働の上限規制に対する猶予が切れ、人手不足や輸送能力の低下が懸念される「2024年問題」を迎えますが、政府は将来も見据えて分野拡大を決めました。
「鉄道」については、車両製造や運転士、駅員などの業務を加えたいとの要望が業界から挙がっています。外国人労働力を巡っては「技能実習」に代わる「育成就労」創設の法整備が進んでいますが、この「育成就労」と「特定技能」は対象分野をそろえる方針であることから、「育成就労」にもこれらの分野が含まれていくと見込まれます。
特定活動:6カ月の滞在と就労許可、優秀な人材呼び込み
「特定活動」は、既存の在留資格のいずれにも分類できない活動に従事する外国人に与えられる在留資格です。コロナ禍の緊急対応で弾力的に運用されたこともありますが、本来は優秀なIT人材による新たなビジネス創出などが期待されています。今回、政府は「デジタルノマド」と称される人材を対象に「特定活動」を与えます。一定の条件を満たせば6カ月の滞在と就労を認め、優秀な外国人材を呼び込んで、国内の消費拡大にもつなげたい考えです。
ITを活用して世界各地を渡り歩きながら働く「デジタルノマド」は、リモートで場所を問わず働ける点が特徴。フリーランスや海外企業に籍を置く人が多く、今回の拡充で海外企業から報酬を得るエンジニアらが日本で活動する場合などをイメージしています。取得要件は(1)ビザ免除の対象で、日本と租税条約を締結する国・地域の国籍を有する(2)日本滞在期間を含めて年収が1000万円以上(3)民間医療保険に加入――など。配偶者や子どもの帯同も認める見通しです。
また、注目度の高い「技能実習」に代わる「育成就労」創設については、技能実習適正化法と出入国管理・難民認定法の改正案を今国会に一括上程し、4月から審議入りします。こちらも、外国人就労の適正化と拡充整備に向けた動きとなります。