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20年3月卒の大学生は32.3% 3年以内離職率、2年連続上昇
コロナ禍後の景気回復を反映、来年以降も上昇の公算
厚生労働省は、2020年3月に卒業して就職した学生の3年以内の離職状況を発表しました。それによると、大卒の離職率は32.3%(前年比0.8ポイント増)、高卒は37.0%(同1.1ポイント増)、中卒は52.9%(同4.9ポイント減)となりました。大卒は2年連続の増加、高卒は3年ぶりの増加。
いずれも、コロナ禍後の景気回復を反映して上昇したとみられ、来年以降もさらに上昇する可能性が高いとみられています。大卒の場合、1年目の離職率は10.6%、2年目は11.3%、3年目は10.4%です。
2年目の比率が前年より1.6ポイント上昇。高卒の場合は同様に15.1%、11.7%、10.2%で、2、3年目が前年を上回っています。
企業規模が小さくなるほど離職率が高くなる傾向は例年と同じです。大卒の場合、従業員1000人以上の大企業が26.1%(同0.8ポイント増)だったのに対して、同5~29人の中小企業では49.6%(同0.8ポイント増)の半数近くにのぼり、同5人未満の零細企業になると54.1%(同1.8ポイント減)となっています。
業種も例年と同様に、宿泊・飲食サービス業が51.4%(同1.7ポイント増)で最も高く、生活関連サービス・娯楽業が48.0%(同0.6ポイント増)、教育・学習支援業が46.0%(同0.5ポイント増)など。一方、電気・ガス業は10.5%(同0.1ポイント減)、製造業は19.0%(同0.5ポイント増)と10%台にとどまっています。
介護離職者の過半数が公的制度利用せず
東京商工リサーチが発表した「介護離職に関する企業アンケート」によると、介護離職が発生した企業の54.5%で、社員が介護休業など公的支援制度を利用しないまま離職していたことがわかりました。制度の周知が浸透していないことも、背景にありそうです。調査は10月2日~10日に実施、4972社の有効回答を集計。資本金1億円以上を大企業、同1億円未満を中小企業としています。
過去1年(22年9月~23年8月)に介護を理由に退職者の出た企業は10.1%程度で、離職者数は「1人」が最も多い68.8%。男女別では「男性の方が多い」の51.6%に対して、「女性の方が多い」は37.0%。雇用形態別では「正社員が多い」の65.3%に対して「非正規社員が多い」は26.4%でした。
問題は、介護の公的支援制度が浸透していないこと。退職者の中で介護休業や介護休暇のいずれかを利用していた人は「なし」が54.5%の半数以上に上り、規模別では大企業の36.8%に対して中小企業は58.2%と中小企業の利用が低調でした。
また、両立支援に対する企業側の取り組みについても、「十分」と答えた企業は18.5%に過ぎず、「不十分」が38.1%と顕著でした。「不十分」の理由(複数回答)については「代替要員を確保しにくい」が62.4%、「自社に前例が少ない」が51.9%と多く、「制度が社員に浸透していない」も31.1%ありました。同社は「介護休業への支援制度が根付かなければ、社会全体の問題に広がる」と警告しています。